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M One News 18-03                                                                                   2017/12/27

セルフメディケーション税制


医療費控除提出書類と並んで、2017年度税制改正で新設されたのが、セルフメディケーション税制(2017年分申告から適用)。


従来の医療費控除が「治療」を主な目的にするのに対して、こちらの目的は「予防」。

つまり、健康維持(=病気予防)に取り組む人の医薬品購入を、税制面で優遇しようというもの。

クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life。生活の質)を充実させるだけでなく、国の医療費の膨張を抑える狙いがある。


具体的には、健康診断・メタボ検診・人間ドック・予防接種など自助努力をしている人は、同一生計の家族の市販薬代の金額が年12,000円を超えた場合、その超えた金額の所得控除を受けることができる(Max 88,000円)。



対象市販薬の品目一覧はこちら。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000190037.pdf


見てもらえればわかるが、ひとつひとつ該当するかを探すのはとても面倒だ。

したがって、実際には、ドラッグストアでの購入時に、薬のパッケージに下のマークがあるかどうかで、判断することになろう。


                 

      


健康を維持し、病気を予防するという考え方は立派だが、実務上、集計が簡単であることも大事なポイント。


具体的には、確定申告における注意点は、通常の医療費控除との選択適用という点だ。

つまり、通常の医療費控除の方がトクなのか、セルフメディケーション控除の方がトクなのかをシミュレーションして、どちらを適用するかを判断する必要がある。



                 


当事務所では、どちらの適用が有利かシミュレーションできるよう、また、明細書も自動作成するよう、いずれExcelファイルを提供する予定だ。




M One News 18-02                                                                                   2017/12/27

医療費控除の改正

                 


明細書を提出する代わりに領収書は提出不要。その代わり、いつでも税務署に提示できるよう、領収書原本を5年間保存しておく必要があるというもの。


 


これは実務上、非常な『改悪』だ。


何が『改悪』かといぶかる向きもあるかもしれないが、従来は領収書の合計金額を出すだけでよかったのに対し、明細書には、治療を受けた人の名前(同一生計の家族も含むため)・病院や薬局などの支払先・金額を記載しなければならない。


つまり、従来なら電卓で足し上げるだけでよかったのに、明細書だと一つひとつ記載しなければならず、手間が増えるということだ。記載しないと明細書にならないからだ。


 


もっとも、健康保険組合加入者は、組合からの通知書で明細書の代わりになるので、組合加入者は従来よりも楽になろう。


問題は、国民健康保険に加入している高齢者だ。ただでさえ病気がちで領収書が多いのに、Excelが使えないとしたら・・・。


3年間(20172019年分の申告)は、従来どおりの領収書提出でもいいのだが、その間に健康になっておけ、ということか。



                 

                 

M One News 18-01                                                                                   2017/12/26

天網恢恢、疎にして漏らさず?



『天網恢恢(てんもうかいかい)、疎(そ)にして漏(も)らさず』。


「天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ」(故事ことわざ辞典)

 



最近、脱税摘発事件をよく耳にするようになった。


コンプライアンス意識が高まっている社会風潮や、内部通報制度の整備だけでなく、税務調査が広く浅くというより、怪しいものに対して集中的に行われる方向に変わっているのが、一因だろう。

また、支払調書を含めた情報収集精度が上がってきているのも、影響しているのに違いない。

 


その中で、情報連携の本格運用が2017/11/13に始まったマイナンバー制度は、3年目に突入する。

もう少し具体的に言うと、2018/01/01からマイナンバーが預金口座とひもつきになるのだ。

正確な資産把握を行うのが、国税庁の目的(=納税者のデメリット)。マイナンバー提供は任意だから、イヤであれば拒否できるが、問題は海外。

 


というのは、マネーロンダリング防止や税収確保といった観点から、経済協力開発機構(OECD)が策定した共通報告基準(CRSCommon Reporting Standard)が2018/01/01からスタートする。


これはタックスヘイブン(軽課税国)を含む100以上の国や地域間における自動的情報交換制度で、銀行・証券会社・保険会社・信託の口座を対象とし、納税者の名前・住所・納税者番号・残高・利子配当等を電子ファイルで提供しあうというもの。


この納税者番号が日本ではマイナンバーにあたる。つまりマイナンバー提供は、日本では任意でも海外では義務なのだ。


そして例えば、シンガポールに口座を持っていると、2017/12/末の情報が2018/09までに国税庁に送付されてくる。


集計が面倒で申告をパスする場合はもちろん、パスワード失念等でログインできなければ、本人は金額すら把握できず、もちろん申告もできない。


国内利子の20%課税とは異なり、海外利子はMax 55%課税だから、申告しなければ、期限後のペナルティも含めると、ほとんど手取りが残らなかった、なんて話になってしまう。


 


また、2017/01/01から海外で口座開設時にマイナンバーを求められるようになり、困惑するケースが続発している。


日本人の感覚からすると、「日本ではマイナンバー提供は任意なのに、なぜ海外で提供しなければならないのか」と思うだろうが、海外では義務なのだから、提供しないと口座を開設してもらえない。


海外に渡航する場合にマイナンバーを携える人はまずいないから、もし家族が日本にいて手伝ってもらえなければ、口座開設はできないことになってしまう。


 


CRSにはタックスヘイブンで有名なケイマン諸島・マン島やスイスが入っている一方、米国は加盟していない。


そのため、一部の富裕層に米国に資産を移す動きも出始めているが、国税庁は「米国にも情報交換を要請していく」としているから、安易な対応では税務調査のきっかけになるので、気をつけた方がいいだろう。


何しろ、富裕層に調査に入りたくてしょうがないのだから。不利になるきっかけを自ら与えるのはスマートな人のやることではない。


 


マイナンバーの本格運用開始で、国税庁は「天網恢恢、疎にして漏らさず」と呵々大笑しているだろうが、ジョージ・オーウェルが「1984年」で描いた情報管理社会が身近に迫っているような危惧を覚えるのは、考えすぎだろうか。




M One News 17-12                                                                                   2017/12/26

個人事業主の税務調査のポイント


税務調査が厳しくなっている。いままでは無事通っていたから大丈夫だろう、儲かっていないから、ウチは小さいから、というのは早計だ。


税務署員のお目こぼしレベルが減っているうえ、「このくらいならいいだろう」と少額で始まったいい加減な計上が毎年少しずつ多くなっていくのは、よく知られた人間の心理でもある。


早くても数年後の税務調査時には、金額が多額になっているため、どんなにお目こぼししてくれる税務署員でも、見過ごせなくなってしまうのだ。


7年ぶりに税務調査に入られたA氏のケース。


家族の外食費はもちろん、息子の学費や小遣いまで経費で計上していた。本人もわかっていたはずなのに、「少しぐらいならいいと思って」とは本人の弁。

結局、何も反論できず、ペナルティも含め、数百万円の納税になってしまったのだ。。

 


ぜひ皆さんにはくれぐれもそんなことが無いようにしていただきたい。

特に注意しなければならないポイントを以下にまとめた。参考にしてほしい。




1)自宅の事業割合


店舗がある人はともかく、自宅がオフィスと兼用になっている場合、床面積基準で事業割合を算定するのが原則。


「ウチはよく使うから」と多く計上しようとしても、まず通らない。自宅で打合せをするからと、(例えば)5割計上しようとしても、「では、週何回、来客があるのですか? 来客はまるまる1日ですか?」と突っ込んでくるだろう。


本当に打合せしているのならまだしも、生活感丸出しだと、調査官が家に来れば一目瞭然。たちまちバレてしまう。


そうすると、家賃、水道光熱費、損害保険料、固定資産税、減価償却費などが否認され、影響は大きい。




2)車の事業割合


そもそも、法人でない個人が、車を経費計上するのは難しい。もちろん、利用している部分は落とせるのだが、逆に言えば、利用している部分しか落とせない。


事業利用が前提の法人所有の車とは、ワケが違う。

事業利用が前提でない場合に、事業利用を立証するのは、それなりの努力が求められるということだ。


特に、副業しているサラリーマンが通勤で車を利用している場合は、車経費はおおむね走行距離に比例すると考えられるから、経費計上は少額になるはずだ。それを、一律に(例えば)80%計上するのは無理があろう。


したがって、実態に応じて、毎年、事業割合を検討する必要がある。




3)事業関連性


事業である以上、売上をあげるために経費を使うのが当然だが、そこには何らかの必然性があるはず。プライベートとの境目があいまいなグレーゾーンは、あいまいが故に、目をつけられやすい。


特に、帳簿の摘要で「消耗品」とか「備品代」は、ウソをつきたくない人間の心理が表れており、言わば「逃げている」状態。

本当に事業に利用しているなら、もっと具体的な商品名を記入するからだ。


プロの税務署員なら、見逃すはずはない。それだけを集中的にチェックするベテラン調査官もいるほどだ。




4)帳簿の摘要


3)は摘要に入力あっての話。何も入力されていなければ、もちろん、それ以前の問題だ。

「帳簿」は日付・取引先名・内容・金額が要件とされており、欠けていると、「帳簿」とは言えない。


調査官がやってきても、そんな帳簿で効率的な税務調査などできるはずもなく、すべて否認されるか、整理し直しを求められることになる。

結局、1日で終わるはずが、数日~数週間かかることも多い。


 


また、統計データを利用して、税務調査先がピックアップされるようになった。


したがって、各業種の利益率からかけ離れていると、調査されやすい。「赤字だから調査されない」のは、過去の話ということだ。


かつては、税理士のサインがあれば、よほど目を付けられていないと、税務調査などなかった。

しかし今では、おかしなところがあれば、調査される。調査されると、時間・労力を使うだけでなく、精神的にも良くない。気を付けたいところだ。



M One News 17-11                                                                                   2017/11/24

給与源泉税の計算方法変更②



M One News No.17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更」でお知らせしたとおり、2018/01支給分の給与から、配偶者の「扶養」の概念が変わることで、源泉所得税の計算方法が変更になります。

そのため、扶養控除等申告書の形式も、2017年分と2018年分とで異なっています。


従来は、2018年分の扶養控除等申告書への記入内容で2017年分の年末調整を行っていた会社も、2017年分の扶養控除等申告書と2018年分の扶養控除等申告書の2枚を配布せざるを得ないケースが多いと思われます。


TKCPXまいポータルを利用している会社は、Webで扶養控除等申告書の回収が終わり、非常に簡単ですが、そのポイントは2点。


12017年分と2018年分とで分けて入力


         

2)配偶者がいる場合、『質問形式による扶養区分』で判定がベター

       

            

M One News 17-08                                                                                   2017/11/17

年末調整もすべてオンラインに



国によるICTInternet Communication Technology(情報通信技術))活用の第2点目が、年末調整。


確定申告同様、年末調整もオンラインになる方向です。


保険会社から発行される保険料控除証明書、銀行から発行される住宅ローン控除証明書などがオンラインで発行され、既に電子化が認められている扶養控除等申告書等と合わせ、オンラインで年末調整が完結します。


         

それがこのように変わります。

       

            




また、年末調整後の毎年5月頃に発行される住民税の特別徴収額通知書(給与から天引きする住民税の通知書のこと)の社員分も、電子化が検討されています。


現在は、市区町村から紙で送付され、自治体側は印刷・封印・送付、会社側は開封・確認・システム入力・社員への配布・保管等、膨大な作業が発生しています。


これこそ、最も電子化すべきものでしょう。



         



売上に直結しない間接部門は、経費が即、利益に反映します。人不足が事業のネックになる現在、間接部門の生産性を今後、いかに上げるかは、ICTをどう活用するかにかかっています。


経営者も、ITリテラシーがますます求められる時代になりました。




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M One News 17-07                                                                                   2017/11/17

スマホで確定申告、いよいよ実現へ



マイナンバーの本格運用がいよいよ、2017/11/13から始まりました。

自治体間で情報を連携させることにより、1872項目の事務手続のうち46%853項目で申請に必要な添付書類が減るそうです。


マイナンバーカードの取得率こそ9.9%と低いものの、国によるICTInternet Communication Technology(情報通信技術))が本格化しつつあるということです。



ICT活用で現在、政府税制調査会において具体的に検討されている第1点目は、スマートフォンによる確定申告。

現在、個人の確定申告の電子申告ソフト「e-Tax」利用率は52%。ただこれには、税務署のPCで申告する場合も含まれますから、自宅PCで申告する人は実際には少数と思われます。

それを改善すべく、2019/01からスマホで確定申告ができるようになります。

生命保険料控除証明書ハガキや住宅ローン残高証明書などの電子化により、確定申告も電子化できます。


具体的には、マイナンバーカードを取得しているかどうかで2つの方法を検討しているようです。

現行方式はこちら。



         

マイナンバーカードを取得しても、ICカードリーダーライターを別途購入しないと、ネットで申告できません。

それがこのように変わります。

       

         

つまり、マイナンバーカード取得者は、マイナンバーカードの電子証明情報を読取可能なスマホを持っていれば、スマホだけで確定申告できるのです。

現在、電子証明情報読取可能なスマートフォンは22機種(AndroidiPhone不可)しかありませんが、徐々に増えていくことでしょう。


一方、マイナンバーカード未取得者は、国税庁HPから、ID・パスワードのみで確定申告します。

ただ、後者は「厳格な本人確認に基づき」という表現があるため、パスポートのように事前に本人確認書類を自宅に郵送するとかの手続が想定されます。

こうなると、マイナンバーカードを取得しておいたほうがいいと言えるでしょう。

 

スマホ申告でことが足りる簡易な申告、医療費控除の申告や2ヶ所からの給与がある場合などには便利になります。

もちろん、個人事業主のように決算書を添付する必要があったり、不動産を売却したときのように添付書類が多かったりする、複雑な場合は、従来どおりの電子申告や紙申告になりましょう。

       

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M One News 17-06                                                                                   2017/11/14

給与源泉税の計算方法変更


2017年税制改正で決まった配偶者控除等の見直し。2018/01支給分の給与から、源泉所得税の計算方法が変更になります。


改正のポイントは2点。

(1)配偶者の所得要件の緩和 減税

(2)世帯主の所得制限 増税


 詳しくはこちら。

M-One News 17-01「税制改正:配偶者控除等の見直し①」

M-One News 17-02「税制改正:配偶者控除等の見直し②」


増税と減税が入り混じっていますが、年収1,220万円以上で配偶者控除が一切取れなくなるなど、高収入者に厳しい改正となっています。

 

例えば、年収1,220万円のサラリーマンの場合、増税額は年12.5万円。月額の手取りベースで1万円以上減ることになります。


昨年発表されたときは減税ばかりが報道されていましたが、増税の影響はかなり大きいと言えましょう。


年収1,220万円未満のサラリーマンは、増税・減税どちらに転ぶかはわかりませんが、給与計算上、本人の年収と配偶者の年収の組合せで、配偶者控除 or 配偶者特別控除を適用するかどうかが決まるのです。


それを表にしたのが次ページ。



         

注意しなければならないのは、その年の見積額で判定するということです。

と言っても、年初に1年間の年収が見積もることができることはそうないと思うので、前年の源泉徴収票や月々の給与明細から推定し、判定することになりましょう。

       

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M One News 17-03                                                                                   2017/07/10

藤井聡太氏の強さ

 


藤井聡太四段の連勝記録が「29」でストップし、肩の荷が下りた31戦目。


守備戦法「穴熊囲い」の破り手で有名な中田功七段相手に、藤井聡太が選択した戦法が、まさかの「穴熊囲い」。

 経験の差もあって苦戦したようだが、最後は解説者も驚く打ち手の連続で、鮮やかな逆転勝ち。見事、30勝目を挙げた。


経営においては、自分の強みを発揮して他社より優れないと、勝ち目がない。したがって、相手の得意なところを避け、自分の得意なところで戦うのが鉄則だ。

アリジゴクがどんな姿をしているか知っている人は少ないだろう。巣から出てこないからだ。そして、巣の中であれば、必ず相手に勝てる。

 そう、自らの強みをフルに発揮して、自分の土俵で勝負することが、勝利につながるということだ。


 しかし、藤井聡太氏はあえて相手の土俵で闘った。
記者からの質問への答えがふるっている。「(勝ちに)妥協するのは面白くない」と。


「名人を超す」ことを目標に置いたのが、小学校4年生のとき。大欲は無欲に見えるというが、名人を超すには、眼前の勝利に一喜一憂してなどいられないのが本音だろう。


31戦目を観戦していた師の杉本昌隆七段は、「勝利よりも内容を重視しているようだ。真正面から行って大丈夫かなと思った」。弟子よりも師の方が、よほど勝ちを意識しているではないか。 


連勝中のときも、周囲の熱狂に惑わされることのない自然体を維持していた。並の棋士なら有頂天だったろう。


本人は言う。「弱点を無くせるように頑張りたい」と。

弱冠14歳にして、驕らず謙虚に学ぶ。遥か先の目標に精進しつづける姿勢。

 強いはずである。


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M One News 17-02                                                                                   2017/03/27

配偶者控除等の見直し②

 


2つ目のポイントは、増税です。


2)世帯主の所得制限 増税


減税の一方で、税収確保のため、世帯主の所得制限が課されました。



対象外


メディアでは(1)配偶者の所得要件の緩和 の報道のみで、税収確保の観点からの(2)世帯主の所得制限 はほとんど報道されていませんので、注意が必要です。

実際、(1)配偶者の所得要件の緩和 による減税と、(2)世帯主の所得制限 の増税とを比較天秤にかけると、夫婦合計では増税の可能性がかなり高いと思われます。


世帯主の所得900万円超で影響が出始め、所得1000万円超になると、配偶者控除が一切取れなくなることにより、確実に増税です。


影響は各人によって異なるのですが、イメージとしては、このような感じでしょうか。


対象外


所得900万円超のサラリーマンや経営者は、特に留意しなければいけません。

サラリーマンは対応しようがありませんが、経営者は役員報酬見直しが必要になりますね。


所得900万円超の納税者は全体の約1割なので、働き方改革への税制面でのサポートのしわ寄せは、結局、約10%の高額所得者にいったと言えましょう。



対象外
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M One News 17-01                                                                                   2017/03/27

配偶者控除等の見直し①

 

現在、国会は籠池氏問題で紛糾していますが、税制改正法案の方が各人には影響が大きいでしょう。

その最大の影響は配偶者控除。

専業主婦が減って共働きが増えており、年収103万円の壁を上げ、より働きやすい環境を整えるべく改正されました。

いろいろ論点が入り混じるのですが、できるだけ平易に解説していきます。

 

今回の改正のポイントは2点。

1)配偶者の所得要件の緩和 減税

2)世帯主の所得制限 増税


いずれも2018年からの適用です。それを図にしたのがこちら。

対象外


1)配偶者の所得要件の緩和 減税


対象外


2のとおり、従来の103万円の壁が150万円に広がりました。


ただ、世帯主の配偶者特別控除適用枠が広がっただけで、配偶者は給与収入103万円超で課税されることに変わりない点に、ご注意を。

 


他の壁と合わせて整理すると、以下のとおりとなります。


対象外


従来は、配偶者の課税される分岐点と、世帯主の控除不可となる分岐点は同じだったのが、異なることになりましたので、混同しないように注意しなければなりません。



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M One News 16-20                                                                                   2016/11/26

信書の安い送付方法は?

 

 郵便料金や発送配達費の節約は、コスト削減には欠かせません。

2015/04/01のヤマト運輸の「メール便」廃止騒動は、「信書」って何?という疑問を多くの人に投げかけました。

「信書」とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」をいい、「民間事業者による信書の送達に関する法律」(通称:信書便法)で規制されています。

 

信書とそうでないもの(以下、信書外と呼ぶ)の具体例を挙げると、

・信書········ 請求書、納品書、申告書、通知書、招集通知、免許証などの許可証、印鑑証明書などの各種証明書、履歴書、給与明細など

・信書外····· 新聞、雑誌、カタログ、DMなど

 


これはいいとして、わかりにくいのが、次のケース。

 

ケース1 取引先から会社宛に送付する請求書は「信書」ですが、本社から支店へ送付するときは信書外


ケース2 給与明細も、本社から支店へ送付するときは信書外ですが、支店から社員へ送付するときは「信書」

 

???ですが、もう少し見てみましょう。

 

ケース3 ダイレクトメールでも、チラシなら信書外ですが、受取人名が文書自体に記載されているDMは「信書」


ケース4 履歴書を応募者から企業に送付するときは「信書」ですが、企業が応募者に返送するときは信書外。ただし、合否通知を同封するときは「信書」


つまり、内容物の重要さではなく、差出人の意思が込められているかどうかが、信書となる基準と言えそうです。

前述の「信書」の定義にあったとおりだということですね。

 

ケース5 キャッシュカード、クレジットカード、会員証、パスポート、航空券、入場券は信書外


意外なのが、クレジットカードやキャッシュカードは信書外という点。航空券や入場券は金券ですらあるのに・・・。

と考えてくると、信書とは別に、損害リスクを考えなくてはならないことに気づきます。

また、実務上、紛失したときに備え、追跡可能性も実務上、外せない点です。


つまり、差出人や受取人は、損害リスクと追跡可能性を考慮し、信書になるかどうかを考えるべき、ということになります。


対象外

 

 送付物の内容に応じて、うまく使い分けたいものですね。

最後にもう1点。

差出人の信用や評価も受取人に見られる点も、注意する必要がありますよ。



                                                  ▲ TOPに戻る

M One News 16-14                                                                                   2016/11/11

住民税の給与天引きが義務化②

 

 M One News 16-13(住民税の給与天引きが義務化)で、東京都の都内全62区市町村が「オール東京特別徴収推進宣言」を共同採択し、特別徴収が原則となることをお伝えしましたが、実は、例外的に普通徴収が認められる場合があります。

対象外


 「(A)2人以下」は、夫婦でお店を営んでいるケースに配慮したのでしょう。

 つまり、人を雇っていれば、特別徴収せざるを得ないということです。


 しかし、上記A~Fに該当する場合でも、1/末の給与支払報告書提出時に、「普通徴収切替理由書」も併せて提出することとされました。

 これは、特別徴収が原則であることを事業主に対して強く認識してもらうために、あえて理由書を提出させているのでしょう。


 上記では「認められる基準」と記載しましたが、東京都・全62区市町村からのお知らせでは「普通徴収を認める基準」と記述され、思いっきり上から目線となっており、何が何でもという意気込みを感じさせます。



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M One News 16-13                                                                                   2016/11/11

住民税の給与天引きが義務化


 現在、総務省が号令をかけ、全国の自治体が企業に対し、社員の住民税を給与天引きにさせようとしています。


 そもそも、社員の住民税の納付方法は、社員自らが納付する「普通徴収」と、会社が給与天引きして納付する「特別徴収」の2種類があります。

 地方税法では、市区町村での特別の事情がない限り、「特別徴収」を原則としています(地方税法321条の3)。

 滞納の少なさ・手続きミスの少なさ・市区町村の手間の少なさ等から、市区町村が「特別徴収」を推奨してきたのは、当然といえば当然でしょう。


 ただ、中小零細企業の事務能力が追いつきませんでした。

 専任の事務員がいればともかく、社長が片手間に事務をこなしている中小零細企業では、負担が大きいのです。

 そのためか、いわばお目こぼしにあずかっていたのが現状です。

 そこへマイナンバーの導入。

 その目的が行政の効率化にある以上、これを機にと、総務省が音頭を取って動き始めたのです。

 特別徴収しかもう行わないと宣言する市区町村が数年前からでてきていますし、ここ数年、税務署主催の年末調整説明会では市区町村担当者が出張説明するなど、タッグを組んだ啓蒙活動が始まっています。


 企業数が多い東京都とて例外ではありません。

 都内全62市区町村は、共同で「オール東京特別徴収推進宣言」を2015/02/05に採択し、2017年度からの特別徴収完全実施に向け、追い込みにかかっています。

         東京都主税局<個人住民税の特別徴収推進ステーション>


 そのスケジュールは次のとおり。

特別徴収スケジュール

    

 「普通徴収を選ぶなら、納得できるだけの理由書を提出せよ」と個別対応のうえ、さらにPRマスコットキャラクターまで作っているのですから、その本気度が伺えようというものです。


 では、企業にとっては、単なる手間の問題だけかというと、そうでもありません。


 具体的には、

(1)社員から天引きした住民税の納付が遅れると、ペナルティが課される。

 会社からすると、社員の税金の徴収を代行しているのに、感謝状どころかペナルティがかかるのは、納得いかないところでしょう。

 一種の社会貢献と考えるしかありません。


(2)入社・退社時に手続きを忘れると、面倒なことになる。

 例えば、社員退社時に残りの住民税を全額徴収し忘れると、会社が負担することになりかねません。

 不承不承、負担すると、今度は所得税で給与扱いされ、さらに税金を納付するはめになりかねず、不本意度が増します。


 社員にとっても、デメリット大です。

(3)所得税の確定申告を行っていると、収入状況が会社にわかってしまう。

 副業がバレるリスクが大きくなること以前に、個人情報満載の所得状況の管理がきちんとされるのか気になります。

 もっともこれは、マイナンバー自体にも共通するところです。


 これだけのデメリットがあるので、中小零細企業への特別徴収がなかなか普及しなかったのですが、今度ばかりは自治体はホンキの模様。

 因みに、市区町村への納付をインターネットバンキングで行うことができますし、(10人未満であれば)所得税同様、半年に1回にまとめられる納期特例もあります。


 義務化の流れが止められないのであれば、賢く対応したいものですね。



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M One News 15-04                                                                                   2015/01/15

海外財産の情報収集

2016/01/01(金) 謹賀新年
       

 昨年から、国外財産調書制度が始まっている。


これは、年末において5,000万円超の海外財産を所有する個人に対し、その海外財産の詳細を、確定申告期限の3/15までに税務署に提出しなくてはならないというもの。


国税庁によると、2012/072013/06までの1年間で所得税の平均申告漏れ額は1839万円であるのに対し、海外取引者だけに絞ると、11,551万円に跳ね上がるという。


そのため従来から、金融機関から提出される海外への送金調書・海外からの送金調書を重点的に調査してきた。ただ、海外で授受されると把握しようがなく、限界があった。


国際課税は、人や資本がグローバル化する過程において発生するTAXの奪い合いという、国どうしの租税競争という側面をそもそも持つ。



が、それをはねのけたのが、2008年に発生した2件の国際的な脱税事件。


1件は、2008/02にリヒテンシュタインの銀行の元従業員が1,400名の顧客情報をドイツの情報機関に500万€(当時約8億円)で売却した事件。

 各国で調査が開始され、ドイツでは有名な実業家の脱税事件にまで発展した。日本にも情報提供され、帝京大学の元総長の相続財産15億円申告漏れが発覚。


もう1件は、スイスUBS銀行が米国人顧客に対して脱税指南をしていたことで、米国課税当局がUBS銀行に対して米国人顧客の情報開示を正式に求めた(召喚状発行)事件。

 この事件は両国の外交問題、さらにはスイス議会・裁判所まで巻き込むまで発展したが、2010年に両国間で租税条約を改正し、スイスが情報提供する形で政治決着。
 
この過程でも、米国人富裕層の一部が制度を悪用して脱税をしていた事実が発覚した。



さらに、リーマンショックが追い打ちをかける。


2008/秋の世界的な金融危機発生により、多額の財政出動を迫られた各国政府は歳入不足を補おうと、タックス・ヘイブン(軽課税国)や情報交換に消極的な国に対して厳しい姿勢を鮮明に打ち出した。金融システムの安定化の観点からも、マネー・ロンダリングを含む不透明な資金の流れが問題となった。


こうしたことから、2009/04G20サミットでは「銀行機密の時代が終了」と宣言、政府間での情報交換の新しい基準「国際的に合意された租税基準」が策定された。


その特徴をざっくりまとめると、

・他国のために情報収集義務を負う
・要請を受けた国は、金融機関保有情報まで開示する
2点。


現在、このOECD(経済協力開発機構)の新基準に基づいて、租税条約が多数改正・締結されている。


この流れを受けて、タックス・ヘイブンとの間では租税条約を締結しない方針だった日本政府もその方針を転換し、2009年以降、ケイマン・バミューダ・バハマ・マン島・ジャージー・ガーンジー・香港などのタックス・ヘイブンとも租税条約を締結し、情報交換によって日本人の海外財産の情報を取得できる体制を整えている。


ナチ戦犯の情報開示を拒否したこともあるスイスとて例外ではない。

改正された日本とスイスの間の租税条約は2011/12/01に発効、情報交換は2012/01/01以降の年度から開始されている。


この情報交換には、「要請に基づく情報交換」「自発的情報交換」「自動的情報交換」の3種類があるが、実際、情報交換件数はうなぎのぼりで、しかも、日本から海外への情報交換の要請件数は海外から日本への件数の約4倍だという(2012/042013/03。国税庁発表)。


この情報交換制度で発覚したであろう、ピエールカルダンジャパン元社長の遺族がスイスUBSやクレディ・スイスに遺産25億円を隠していた2011年の脱税事件も、その1つ。


このようなケースがあるので、国税庁が海外財産の把握にやっきになるのも、無理はない。

 


そして2014/07には、口座情報をオンラインでやりとりするというOECDの新ルールが明らかになった。

従来は、入出金情報をCDで不定期に相手国に郵送していたのだが、その頻度が2年に1回しかない国もあり、情報収集に時間がかかっていた。

この新ルールにより、入出金情報だけでなく、残高もリアルタイムで把握できることになる。2016年までには運用が始まる模様だ。 


さらに2014/12/30に発表された税制改正大綱では、海外移住者の株式含み益にも出国時に課税とされている。

外堀だけでなく、内堀まで埋められつつある。さしずめ大阪夏の陣といったところだろうか。