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M One News 2018

M One News 18-25           2018/12/24 エターナル・サンシャイン

 バレンタインの直前に、あるカップルは喧嘩をして別れてしまう。
 
 彼が仲直りしようと思っていた矢先、「彼女はあなたの記憶をすべて消しました」という手紙がクリニックから届き、ショックを受ける。
 
 彼女に会いに行くと、自分のことを全く覚えていない彼女の態度に、彼女は本当に自分の記憶を消したのだとわかり、さらにショックを受ける彼。
 
 思い悩んだ挙句、つらい記憶を消そうと、彼女同様、そのクリニックを訪れる。
 自分も彼女との記憶を消去するために・・・。
 
 そんな冒頭シーンから始まる映画「エターナル・サンシャイン」。
 
 
 
 誰にもつらい記憶や嫌な記憶はある。
 その記憶が心のとげのようにささったままだったり、ふとしたことで蘇って仕事や勉強が手につかなくなったり。
 忘れようとすればするほど、ますます頭を離れなくなる・・・。
 いっそのこと、きれいさっぱり忘れてしまいたいと願うのは、誰しも同じだ。
 
 「忘却はより良き前進を生む」(ニーチェ)
 
 ニーチェの言葉どおり、記憶を消す手術を受け始めた彼だったが、彼女こそ記憶から消してはいけない大事な女性であると次第に気づき、最後は必死に抵抗を試みる。
 器具につながれ、別れから出会いの新鮮さに遡る記憶を逆行する中で、愛したり、喧嘩したり、葛藤したりした毎日を思い出す。
 
 そして、甘い愛の言葉をささやきあうだけでなく、葛藤や喧嘩などを含めた全体こそが、2人の絆であり、「現実」だったと悟るのだ。
 
 
 
 きっと、2人とも記憶を消したのは1回だけではあるまい。
 医院に行けば、簡単にリセットしてくれる。
 喧嘩してできた心の傷に耐えられない、もうイヤだ!
 と、楽しい記憶もあるものの、つらい記憶の方が多いから、完全に忘れようと、記憶を何回も安易に消してきたはずだ。
 
 にもかかわらず、また出会い、惹かれ、別れ、記憶を消すという、同じ行動を繰り返すことも、映画の中で明らかになる。
 
 失敗を次に生かすのは、難しい。
 特に男女関係はなおさらだ。
 
 
 
 映画では、ニーチェの言葉に続いてもう1つ、言葉が紹介される。
 「忘却は許すこと」(アレキサンダー・ポープ)
 
 2人は徐々に気づき始める。
 過ちは消せばいいってものじゃない、と。
 
 忘れ去るのではなく、乗り越えなければ、前進はない。
 そう、過去を捨てることでは何も生まれないのだ。
 
 つまり、ニーチェの言う「忘却」は、捨て去ることではなく、許すことだったのだ。
 
 今後もきっと、このカップルは大きな喧嘩をするだろう。
 だが、もう記憶消去には走らないはずだ。
 現実を受け入れ、乗り越えることこそが、成長へのステップだと学んだのだから。
 
 
 
 不器用な2人がそれに気づき、お互いに深く理解しあったところで、映画は終わる。
 
 「気持ちを変えて振り返ってごらん。
  気持ちが変われば世界も変わるから。」
 ベックのエンディング曲が心に響く。
 
 アレキサンダー・ポープはこうも言っている。
 「間違っていたと認めるのを決して恥じるべきではない。
 それは、言い換えれば、昨日よりも今日の方が賢くなったということだから」

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M One News 18-24           2018/12/03 カルロス・ゴーン②

 個人的には、ゴーン体制20年は長すぎたように思う。
 
 JALと日産を比べてみる。
 いずれも、技術力は高かったのに、官僚主義で組合が強かったため、経営危機に陥った。
 そして、前者は京セラ稲盛氏に、後者はルノー・ゴーン氏に助けを求め、いずれも大規模リストラを行い、業績をV字回復させた。
 
 異なるのはその後。
 稲森氏は次期経営陣にバトンタッチ、さっと身を引いたのに、ゴーン氏は君臨し続けた。
 
 入れ替わらない水は淀む。
 2014年の業績悪化の責任を志賀俊之氏に取らせて更迭(代取→取)。
 最近ではリコールの責任を西川廣人代取に押し付けたりと、自分の責任は棚上げ。
 
 そして、グローバルに行動するゴーン氏の出社は、当初こそ4割だったが、最近は月わずか数日だったという。
 それでも役員報酬は高止まりのまま。
 
 かつて松下幸之助氏は、諫言(かんげん)役として、ポケットマネーで1人雇っていたという話を聞いたことがある。
 自分が神になったように感じてしまうCEO病は、CEOなら誰しも免れ得ないが、松下幸之助氏の何とバランス感覚の優れていることよ。
 
 

 会社の今後の将来について考えてみよう。
 2017年の世界の販売台数は、右のとおり。
 
 現在、首位に肉薄している第2位グループなのだ。
 ルノーと日産は、開発・調達・生産拠点などをうまく補い合っている。 
 
 

 会社規模で比べると、日産がルノーを大きく凌駕している。
 
 
 
 
 

 ところが、ルノーと日産の資本関係はというと、まるで不平等条約。
 日産のルノー株15%の無議決権は仏国内法のためらしいが、不平等であることに変わりはない。
 
 
 
 日産としては、開発・調達・生産などで補完しあういい関係を維持したいが、資本関係によってルノーに吸収されるのは避けたいところ。
 
 
 
 西川氏はどう出るか。
 
 普通に考えれば、ゴーン氏とケリー氏を取締役から外すこと。
 それは株主総会でしかできない(一方、代表権剥奪は取締役会でできる)。
 しかし、筆頭株主ルノーが43%も所有していると、2位が数%程度では、プロキシー・ファイト(議決権争奪戦)は著しく分が悪い。
 
 いっそのこと、現在の株式15%を25%まで買い増しして、ルノーの議決権を無くしたいと考えているはずだ。
 25%まで買い増しできれば、ルノーの議決権を無くせるからだ(会308①)。
 そうすれば、平等な立場で交渉できる。
 
 ところが、株式の買い増しは、取締役会の専決事項として取締役会で決めなくてはならない(会362)。
 そして、日産自動車の取締役9人のうち4人がルノー出身者。
 残り5人は日本人だが、現時点でも取締役会で株式購入決議を行っていないのは、ルノーの息がかかっている人物がいるからか。
 それとも、ルノーと日産の間に何かしら契約があり、縛られているからか。
 
 ルノーの株主の15%は仏政府。
 株式比率が下がってきたとはいえ、元国営企業で、フランスを代表する企業。
 マクロン仏大統領の意欲ぶりを見る限り、何らかの圧力をかけてくるだろう。
 
 
 カルロス・ゴーン氏、そして日産自動車の行く末はどうなるのか。
 しばらくの間、目を離せない。

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M One News 18-23           2018/12/03 カルロス・ゴーン①

 日産自動車元CEOカルロス・ゴーン氏が2018/11/19に逮捕されてから早10日あまり。
 最初こそ情報が錯綜していたが、ようやく情報が整理されてきた。
 
 どうも、ルノーCEOの任期切れが間近に迫ったゴーン氏が、マクロン仏大統領と密約かなにかで、日産自動車をルノーに吸収する方向で動き出し、それを日々肌で感じて危機感を持った日産自動車と、2018/06/01に始まった司法取引で実績を上げて失地回復を目指したい検察庁の利害が一致し、電撃的な逮捕劇となったようだ。
 
 逮捕後の日産自動車代表取締役の西川(さいかわ)廣人氏の単独記者会見では異様感だけが漂っていたが、西川氏はゴーン・チルドレン筆頭らしい。
 記者会見を見ていた人なら、誰しも「クーデター」の文字が頭をよぎったと思うが、あながち誤っていなかったというわけだ。
 
 
 さて当初、極悪人のようにメディアでは報道されていたが、よくよく情報を整理してみると、役員報酬の単なる後払い。
 コンサルティング契約として、退任後に受け取る形だったとのこと。
 何のことはない、オーナー社長がよくやっていることではないか!
 
 
 メディア報道には注意する必要がある。
 
 「100億円の報酬を50億円に過少記載」と報道されていたが、この100億円は5年分。
 たとえば、年収500万円のサラリーマンが「2500万円の収入をもらっている」と言われたら、おかしいと思うだろう。
 
 また、傾きかけた会社を再建するにはリストラが必要だが、「人を首にしておいて報酬100億円ももらって」と嫉妬心満載で報道するのは、いやらしさにも程がある。
 本当に倒産してしまえば、現在時価総額4兆円を超える現在の日産自動車はなかったのだから。
 
 さらに、全世界に家を会社に買わせたというが、CEOなら全世界で「〇〇邸」「〇〇庵」などで業務使用するのはよくあること。
 
 
 
 とはいえ、無罪と無実は異なる。
 
 報酬の後払い契約は、取締役会を通さなかったそうだし、契約書を秘書室で極秘に管理していたことこそ、わかっていてやった証拠だ。
 業務使用で全世界に接客用に家を買うなら、ファンドやペーパーカンパニーを通さずに堂々と買うべきだ。
 姉へ業務実態のない契約で年1,200万円支払っていたことや、家族旅行の会社負担に至っては、言語道断。
 せこすぎる。
 
 
 金融商品取引法違反になるかどうかは、役務提供が過去分か将来分かの1点に絞られるだろう。
 
 過去の実績に対して、単に後払いにしたのなら、金商法違反であるし、脱税にもなる。
 そうではなく、不満だけれども(高額でいろいろ言われるのがイヤだから)報酬10億円に抑えて、退任後に業務委託契約で、つまり将来の役務提供の分としてもらうのなら、違反にならないし、脱税にもならない。
 
 お膳立てをしたグレッグ・ケリー前代表取締役は米国弁護士であり、お粗末な仕事をするとは考えづらいし、有価証券報告書不記載について金融庁に事前確認済みというニュースすらある。
 また、ゴーン氏やケリー氏は自身の弁護を米国の弁護士に依頼したそうだ。
 スター経営者ゆえ、海外からさまざまな横やりもあろう。
 検察庁の思惑通りにいくかどうかは不明だ。
 
 
 カルロス・ゴーン氏の経営者としての力量は、自他ともに認めるところ。
  ただ以前、ゴーン氏が日産のV字回復を成し遂げたときに、ゴーン氏を招いた塙義一元会長が「手法はありきたりだが、私が実施したら血を見た。ゴーンだからできた」と言っていたそうだ。
 思わせぶりな言い方だ。
 
 また、周囲の協力あっての話。
 贈答品を受け取ったり接待を受けたりしたら、始末書と誓約書を社員に書かせるなどコストカッターに徹する一方で、自分だけには甘くするのでは、社員がついてこまい。
 自分にだけ甘いゴーン氏の実態が白日の下にさらされたら、信奉していた社員が動揺するのは当然だろう。
 
 かつて村上龍がさまざまな成功者にインタビューする企画で、カルロス・ゴーンにだけはオーラを感じないというか、言っていることは間違っていないのだが、迫力というか面白みを感じないと発言していたことを、思い出す。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-22           2018/11/22 マイナンバー提供を拒否されたら?

 社員、士業、講師、大家などからのマイナンバー提供を拒否されたら、会社としてはどうすればいいでしょう?
 
 そうした場合の対処方法として、国税庁はFAQやガイドラインで明らかにしています。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm#a113
http://www.ppc.go.jp/legal/policy/answer/#q4-6
 
 そのポイントは、2点。
・義務であることを相手に伝え、提供を求めること。
・それでも拒否されたときは、経緯を記録しておくこと。

 
 経緯をメモしていないと、マイナンバー記載の無い理由が、相手の拒否にあるのか、会社側の単なる紛失なのかがわかりません。
 つまり、説明責任+記録が求められるということです。
 
 当分の間、税務署提出書類にマイナンバー記載が無くても、書類の受け付けはされるようですが、いずれ、マイナンバー提供拒否に何らかの理由がある、つまり、叩けばホコリが出ると思われ、(マイナンバー未記載者に対して)集中的に税務調査されるでしょう。
 とばっちりを受けないためにも、会社側も記録を残しておくことが大事です。
 
 具体的には、
・拒否された日
・義務であることを説明した日時・方法・人
・それでも拒否された日
などを記録しておくといいでしょう。


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M One News 18-21           2018/11/22 報酬等支払先の法定調書手続②

【Step 2】ピックアップした報酬等支払先へマイナンバー書類送付
 M One News 16-12「マイナンバー収集時の本人確認」で、社員の本人確認手続きを説明しました。
 報酬等支払先も、同様の手続きを行わなくてはなりません。
 
 異なる点は、毎日顔を合わせる社員とは違って、直接、会う機会が少ないという点。
 必然的に郵送等にならざるを得ないため、時間がかかります。
 手続きを誤ってしまうと面倒なため、郵送で収集する場合と、E-mailで収集する場合とで、必要書類やそのポイントをまとめました。

 社員同様、①②③のどれかを送っていただく必要があります。
 住民票にはマイナンバーが記載されていなければなりません。
 そして、その返送には信書便を利用するなどの、リスク対応策を講じる必要があります。
 
 
 信書便は普通郵便・書留・レターパックなどが該当し、ゆうパック・宅急便は信書便にはあたりません。
 コストがかかりますが、会社は「個人番号関係事務実施者」として重い責任が課されているため、やむを得ないでしょう。
 信書便利用は当然として、実務上、追跡機能も欲しいため、窓口扱いになる書留よりも、投函で済むレターパックがお勧めです。
 
 
 返送してもらう書類は、番号確認書類+身元確認書類。
 ただ、以下の書式で送付すれば、身元確認書類だけは省略できるものとされています。

 住民票にはマイナンバーが記載されていなければなりません。
 また、添付ファイルにパスワードをかけ、添付ファイルE-mailとパスワード通知E-mailを分けるなどのリスク対応を行う必要があります。
 パスワードをかけられない、いわゆる「写メ」はダメということです。
 一見、郵送よりも簡単に思えますが、撮った写真にパスワードをかけるのは、ワザが必要なため、難しそうです。
 
 
 詳しくは、「Q&A中小企業のためのマイナンバー制度実務対応ガイドブック」Q10~11を参照してください。
 個人的見解ですが、郵送による収集が無難でしょう。
 さらに、郵送でのやり取りに時間がかかることを考えると(1回でのやり取りできれいに終わるとは思えませんものね)、11/末までに発送できればいいですね。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-20           2018/11/22 報酬等支払先の法定調書手続①

 M One News 16-16「年末調整よりも法定調書の方が大変です」で、法定調書関係の処理量がかなり増えるため、準備に早めに取りかかった方がよいことをお伝えしました。
その概略は、以下のとおりとなります。
 
【Step 1】 マイナンバー収集先のピックアップ
【Step 2】 ピックアップした報酬等支払先へマイナンバー書類送付
【Step 3】 報酬等支払先からマイナンバー入手
【Step 4】 支払先ごとに1/1~12/31の金額集計
【Step 5】 支払調書作成
【Step 6】 法定調書合計表提出
 
 
【Step 1】マイナンバー収集先のピックアップ
一般的には、こちら。

   内容           収集先  金額
報酬、講師謝礼など税理士、社会保険労務士、弁護士、司法書士、講師など 年5万円超
不動産家賃大家年15万円超
不動産仲介手数料不動産屋年15万円超
株主配当金株主年10万円超

 
詳しくはこちら。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2017/pdf/13.pdf
 
 

上記金額以下の場合のマイナンバー収集は禁止なので、ご注意あれ。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-18           2018/11/07 年末調整は早めの準備を

  今年の年末調整におけるトピックは主に3点あります。

(1)税制改正
 共働きを支援しようと、2017年税制改正で、年収103万円の壁が150万円に広げる一方、税収確保のため、世帯主本人の所得制限がなされたのは、既にお知らせのとおり。
 M One News No.17-01「税制改正:配偶者控除等の見直し①」
 M One News No.17-02「税制改正:配偶者控除等の見直し②」
 それにより、毎月の給与源泉税の計算方法も変わっています。 
 M One News No.17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更」
 
 つまり、世帯主の配偶者控除・配偶者特別控除は、世帯主本人の所得と配偶者の所得の組み合わせで決まるのです。
 その数、なんと31通り!
 したがって、本人の所得はもちろん、配偶者の所得をできるだけ正確に把握することが重要になってきます。
  
 
(2)年末調整配布資料

 (1)のため、年末調整資料も変更になりました。

  2種類から3種類に増えたのです。
 単に増えただけではありません。もっともハードルが高いのは配偶者控除等申告書。
 配偶者の所得を5万円単位で把握しなければなりません(M One News No.17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更P.2の表参照)。
 どうりで31通りもあるはずです。
 
 
(3)年末調整時期
 (2)の配偶者の所得は、1年経過していない当初は見積もりによらざるを得ません。そのため、毎月の給与源泉税の計算上、見積りで行っています。
 そしてどうやら年末調整も、見積りで行わなければならないことになりそうです。
 なぜなら、12月はもちろん1月に行う年末調整では配偶者の正確な所得金額が必要となるからです。
 パートに出ている配偶者の所得は通常、勤務先の源泉徴収票で把握しますが、その源泉徴収票の発行時期は翌1月末までとされています。
 ところが、年末調整後に税務署に提出する法定調書提出期限も、翌1月末。
 全く同時期なのです。

  また、年末調整計算開始までに源泉徴収票が、すべての配偶者の手元に届くとはとても思えません。
 面倒だからと自分で確定申告してもらおうとしても、年末調整義務が会社にはあります。
 あちら立てればこちらが立たぬ。明らかに制度設計ミスです。
 
 今後は、実務的配慮として何かしらのアナウンスが国税庁から出てくると思いますが、それを待たずに、会社の方針を決めておいたほうがいいでしょう。
 
 例えば、
・法定調書提出期限1月末を守るのなら、年末調整に使用する配偶者所得は見積額にならざるを得ないが、年末調整資料提出期限をいつにするのか?
・その場合、期限後提出の年末調整資料は処理せず、自分で確定申告を行ってもらうのか?
・法定調書提出期限1月末を守らないのなら、年末調整資料提出期限をいつにするか?
・その場合、源泉徴収票発行遅れはどの程度許されそうか?
 ・・・など。
 
 方針をいずれに決定するにせよ、早めの準備を始めるに越したことはなさそうです。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-15           2018/07/26 西日本豪雨等への対応

  「平成30年7月豪雨」により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
国税庁より、今回の豪雨により被害を受けた方々への支援措置として「平成30年7月豪雨に関するお知らせ」が発表されました。被災された皆様やご関係の方々は内容をご確認の上、ぜひご活用いただければと思います。
 
 
●国税庁「平成30年7月豪雨に関するお知らせ」内容
・国税に関する申告、申請、納付等の期限の延長
・財産に相当の損失を受けた場合の納税の猶予
・災害発生後に期限の到来する予定納税や給与所得者の源泉徴収税額の減額、徴収猶予
・住宅や家財などに損害を受けた場合の所得税の軽減
・消費税簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例
 
詳細は以下の国税庁HPをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0709.htm

 
 
 また、中小企業庁からも、被災された中小企業の皆様が一刻も早く事業の復旧・再開ができるよう、支援策を検討し、その内容をまとめた「被災中小企業者等支援策ガイドブック」が発表されています。
 
 ガイドブックの中では、各種融資の実施や、借入金の返済猶予への対応、資金繰りに関する相談会など、事業の継続、再開に向けた経営全般に関する支援策が記載されております。詳細は以下の中小企業庁のHPをご参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/201807gouu/ 
 
 被災された皆様が、一日も早く普段の生活を取り戻されることを、心よりお祈り申し上げます。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-14           2018/06/15 紀州のドン・ファン③

  今回は、愛犬イブの話。
 野崎幸助氏が亡くなった日が18/05/24。溺愛されていた愛犬イブが亡くなったのは、わずか18日前の18/05/06。
 事件との関りを調査するため、現在、遺骸を掘り起こし、外部の専門機関で検査しているという。
 
 
 野崎氏は愛犬イブに財産を全て遺したいとも言っていたと聞くが、法律的には犬は人間ではないので、財産をもらえない。
 「信託」という形でなら遺すことができる。遺言のようなもので、ペット信託とも言われる。
 つまり、「50億円をイブの世話に使ってくれ。世話人は〇〇。もしイブが亡くなったら、残りの財産はこう処理を頼む」と。
 遺言と異なるのは、1回目の遺す相手を指定できるだけでなく、2回目も指定できる点だ。その意味で、遺言よりも進んでいると言えよう。
 
 
 とはいえ、信託でも遺留分は考慮しなければならない。
 つまり、妻Sさんと兄弟は最低取り分として、法定相続割合の半分が保証されているから、妻Sさんは19億円、兄弟は1人1億円は最低でも受け取ることができる。
 50億円の半分は遺族に、半分は愛犬イブに遺す信託を設定できたということだ。
 
 
 とはいえ、そのイブも没。
 もうすぐ解剖結果が出るだろう。その結果で捜査も進展するに違いない。
 これで犯人が判明すれば、火葬ではなく土葬にこだわった野崎氏の報いた一矢となるかもしれない。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-13           2018/06/15 紀州のドン・ファン②

  M One News 18-12「トピック:紀州のドン・ファン①」では、妻Sさんが犯人だった場合は相続権がなくなると書いたが、それは刑が確定したときの話。
 逮捕・起訴されても、裁判を経ないと刑が確定しないから、長期化するのは容易に想像できよう。
 
 和歌山毒物カレー事件では、1998年に逮捕・起訴されてから2009年に最高裁で死刑が確定するまで、11年もの年月がかかっている。
 今回も同じで、この間、いわば宙ぶらりん状態ということになる。

  今度は、相続税がどうなるかを見てみよう。
 
 妻Sさんは38億円、兄弟6人は1人2億円を相続する。
 そうすると、妻Sさんの相続税は約20億円、兄弟は1人約6,500万円と計算される。
 この相続税は、野崎幸助氏の死亡日18/05/24から10ヶ月以内、つまり19/03/24までに納付しなければならない。
 
 
 20億円納付としても38億円もらうんだからいいでしょ、と思うかもしれないが、そう簡単にはいかない。
 
 銀行の立場に立って考えてほしい。
 相続人1人からの引出し要請に銀行が安易に応じてしまうと、他の相続人から後日文句を言われてしまうかもしれない。そこで、全員の了承を得たうえで、引き出しに応じることにしているのだ。
 通夜・告別式で亡くなった時の状況を親族にロクに説明もせず、スマホばかりいじっていて、親族が声を荒げたとか、不謹慎ないろいろな話が聞こえてくるから、親族が銀行への用紙に全員すんなり押印するとは思えない。
 
 
 とはいえ、相続税は連帯債務。
 つまり、妻Sさんが相続税を納付しないと、兄弟6人が納付しなければならない。感情的には許せなくても、最終的には押印しなければならないだろう。
 銀行も巻き込まれるのを避けたいから引き出しに簡単に応じることはないと思うが、書類がそろっていれば拒否できない。
 
 
 
 また、遺産50億円がすべてキャッシュとは限らない。
 不動産かもしれないし、所有している会社の株式かもしれない。現金化にも時間がかかるから、そうゆっくりとはできないはずだ。
 
 相続税納付期限の方は最初から決まっているから、現金化に時間がかかり、10ヶ月以内に納税できないとしよう。
 すると、年8.9%の延滞税がかかる。
 
 妻Sさんの相続税は20億円だから、年1.8億円の、いわば利息がかかることになる。
 兄弟ですら、1人あたりの相続税6,500万円の利息は約600万円にものぼる。
 
 
 実務家が「もめると損ばかり」と言う意味はここにあるが、はたしてすんなり納税資金を用意できるかどうか、この点からも見ものだ。
 
 
 
 次回は愛犬イブについて。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-12           2018/06/15 紀州のドン・ファン①

  現在、耳目を集めている、和歌山の実業家、野崎幸助氏(77歳)が18/05/24に急逝した事件。
 不審な点が多いことから、警察が捜査に乗り出し、死因は急性覚醒剤中毒、殺人事件として捜査されている。
 野崎氏の遺産は50億円とも言われ、55歳年下の22歳の自称モデルSさんと3ヶ月前に結婚したばかり。
 事件の臭いがプンプンするが、和歌山県警の捜査ではいまだに決定的証拠があがっていないようだ。


 和歌山県警と言えば、直接証拠が乏しいまま状況証拠だけで逮捕・起訴せざるを得なかった1998年の毒物カレー事件を想い起こさせる。
 真相究明を今度こそと雪辱を期す県警は、第一発見者の妻Sさんと家政婦Tさんをウソ発見器にかけたり、会社の従業員まで尿検査や粘膜採取したりと、やっきになっている。
 野崎邸に設置されている38台もの監視カメラに残っている映像も調べているだろう。
にもかかわらず、捜査があまり進んでいないとは本当だろうか。


 それはともかく、この事件を相続の観点から見てみよう。
 相続財産50億円はどうなるのか。

 子供もおらず、遺言もないため、法定相続割合どおり、50億円の4分の3(38億円)を妻が、4分の1(12億円)を兄弟6人が相続することになる。
 妻が多額なのはもちろん、兄弟ですら1人2億円にもなる。 

   仮に妻Sさんが犯人とすると、相続人欠格となり、相続権を失う(民法891①)。
 その場合、兄弟6人が50億円を相続することになる。1人あたりの相続財産が、2億円から8億円と4倍になるわけだ。 

   殺人動機に十分と思うがいかがだろう?
 つまり、妻Sさんをそそのかすか、あるいは妻Sさんが容疑者になるように仕組んだ兄弟が、もしいたとしたら・・・。
 ミステリー小説はだしだが、県警も当然にそう考え、慎重に捜査しているに違いない。


 一方、妻Sさんがもし妊娠していたら、兄弟には一銭も行かず、Sさんが半分相続、Sさんの子供が半分を相続できることになる。 

   妻Sさんが犯人かどうか、他に真犯人がいるかどうか、妻Sさんが妊娠しているかどうかで、財産の行方は大きく変わる。
 当分の間、目を離せない。 

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M One News 18-11           2018/03/22 青色申告特別控除の見直し

 給与所得控除・公的年金等控除引き下げ(M One News 18-08M One News 18-09)に伴う所得控除調整です。
 そのポイントはこちら。

 他も合わせてまとめると、このとおりになります。

 freeeやMFクラウド等のクラウド会計ソフトのほとんどは、電子帳簿には対応していません。
 
 「えっ?」と思う人も多いでしょうが、電子帳簿保存法で規定する「電子帳簿」には、「帳簿」(総勘定元帳・仕訳帳)と、その関係書類の「領収書等」の2種類があり、クラウドソフトで対応しているのは後者だけなのです。
 クラウドソフト会社のHPを見ても、領収書等のスキャナー保存には大々的にアピールしていますが、帳簿の電子保存については記載がなく、注意が必要です。
 したがって、freeeやMFクラウドを使用している場合、総勘定元帳・仕訳帳を紙印刷し、7年間保存する必要があります。
 
 
 そして、基礎控除改正(M One News 18-07)とトータルで見ると、以下のとおりとなります。

 つまり、一見増税に見えるけれども、増税どころか、電子帳簿保存 or e-Tax申告している人を優遇するという減税なのです。

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M One News 18-10           2018/03/23 所得控除調整による配慮

 給与所得控除・公的年金等控除引き下げ(M One News 18-08M One News 18-09)に伴う所得控除調整です。
 そのポイントはこちら。

  「給与年収850万円超の子育て世帯等」とは、給与等収入850万円超で次に該当する人を言います。
 ・22歳以下の扶養親族がいる
 ・本人 or 扶養親族が特別障害者である
 
 給与等収入が1,000万円以下までは増税の影響をゼロ、1,000万円超は増税の影響を緩和するよう調整するというもので、その調整内容は、(給与等収入-850万円)×10%(Max 15万円)を給与所得等から控除することで行います。
 
 子育て世帯等はいろいろ支出もあり負担も大きいことから、今回の増税にあたって配慮したということです。

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M One News 18-09           2018/03/22 年金控除引き下げ

 続いて、公的年金等控除。
 改正ポイントはこちら。

 それに伴い、公的年金の速算表は大きく変わります。

 ご覧のとおり、非常に複雑になります。
 基礎控除10万円引き上げ(M One News 18-07)と相殺され、実質的に影響ないのは給与所得控除と同様(M One News 18-08)ですが、異なるのは、公的年金収入以外の所得が多額の人は公的年金控除が引き下げとなる点です。
 
 年金収入は高齢者の生活基盤となるために控除を多めにとる配慮をしているのですが、年金収入以外に所得が多い人はその配慮を減らしたということです。

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M One News 18-08           2018/03/22 給与所得控除引き下げ

 次は、給与所得控除です。
 その改正のポイントはこちら。

 より具体的に給与所得控除を見てみましょう。

 上記改正ポイントでは、給与所得控除10万円引き下げで「増税」としましたが、基礎控除10万円引き上げ(M One News 18-07)と相殺され、実質的には影響ありません。
 
 影響があるのは、年収850万円~1,000万円のサラリーマンですが、支出がかさみがちな子育て世帯等には別途、配慮されています(M One News 18-10)。

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M One News 18-07           2018/03/22 基礎控除引き上げ

 昨年の今頃の国会は籠池氏問題で紛糾していましたが、その流れで今年は、元国税庁長官である佐川宣寿氏の証人喚問まで事態が進んでいます。
 証言の内容によっては、麻生太郎財務相辞任どころか内閣も飛ぶだけに、例年3月下旬に成立する税制改正法案はどうなるのか、目が離せません。
 
 税制改正のうち、所得税関連で大きな目玉が所得控除です。
 多様な働き方に対応するため、給与所得控除・年金控除から基礎控除に10万円振り替え、そのうえで、税制が本来持つ所得再分配機能を強化し、高所得者層に増税するというものです。
 
 その所得控除の主な改正内容を順次、説明していきます。
 
 
 まずは、基礎控除。
 ポイントはこちら。

 具体的には以下のように変わります。

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M One News 18-06           2018/01/09 国税庁がビットコイン長者のリストアップを開始

 先日、M One News 18-04「仮想通貨高騰と税金」でお伝えしたとおり、「儲けたと公言している億り人は大丈夫か?」と思っていたら、新年早々、国税庁がビットコイン長者のリストアップに着手したとのニュースが流れてきた。

 
 時価総額1位のビットコインは1年間で20倍、2位のリップルは200倍となれば、売却益の申告漏れについて国税庁が放っておくはずがない。
 東京と大阪の国税局ネット商取引専門チームが分析し、重点管理富裕層プロジェクトチーム(富裕層PT)にデータを提供、データベース化を進め、追跡管理体制を取ることになると思われる。
 
 富裕層PTは、富裕層による過度な節税や課税回避への監視を強めるため、2014/07に東京・大阪・名古屋の3国税局に設置された約50人のチーム。
 資産家本人はもちろん、親族や関連企業・団体の国内外での資産の動きを組織的に監視・追跡し、資産の把握と申告の適正性をチェックするもの。
 数年かけてノウハウの蓄積を図ることができたことから、2017/07には増員して全国12国税局に展開・設置された。
 2017/07以降、既に一部の取引業者からデータを入手し始めているという。
 
 仮想通貨取引はインターネットで完結するから税逃れができそうだ、と勘違いした人は多かったのではないだろうか。
 従来の情報収集手段では、確かに難しかったろう。
 だが、ブロックチェーンは、改ざんができにくい信頼性の高い技術。国税庁はそれを逆手に使えるというワケだ。
 
 特に、資金決済法で仮想通貨を「通貨」と認め、取り扱い業者を許可制とし、本人確認を義務化したから、なおさらのこと。
 したがって、取引所さえ押さえれば、首根っこをおさえることができることになる。
 
 法定調書の面ではまだ義務化されていないが、取引所に協力を求めれば、データを入手することができる。
 正当な税務調査手続を行えば、それも可能だ。
 財産債務調書も、その趣旨上、当然ながら記載が必要。
 
 以上の情報を、2018/02~03申告の確定申告書と照合。
 不審な点があれば、調査に入り、追徴課税や脱税容疑での立件が検討されることになるだろう。
 
 ただ、海外では「通貨」と認めていない国も多く(日本は仮想通貨先進国なのだ!)、100ヶ国以上との情報交換制度の本格運用が始まらないと、抜け穴になってしまう。
 懸念されるところだ。

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M One News 18-05           2017/12/27 財産債務調書

  年末時点で3億円以上の財産 or 1億円以上の上場株式等を持っている人は、財産債務調書を税務署に提出しなければならないという制度で、2015年分の申告から適用されている。
 
 概要は以下のとおり。
 確定申告書を提出する人のうち、総所得等が2000万円超ある人で、年末時点で財産3億円以上 or 株式等1億円以上の人は、翌3/15までに財産債務調書を提出しなければならない。

  詳しくはこちら。
 https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/zaisan_saimu/index.htm
 
 これは、あまりに申告漏れが多いことから、収入の申告が正確かどうかを、資産残高からもチェックすることで、所得税・相続税の申告漏れを防ごうとするもの。
 
 対象者を富裕層にしぼったため、従来の「財産及び債務の明細書」に代わるものと言っていいだろう。
 提出しないこと自体にはペナルティは無いのは同じだが、申告漏れが生じた場合はペナルティがプラスされるのが異なるところ。
 質問調査権も税務署に認められているし、拒否や妨害をすると、1年以下の懲役 or 50万円以下の罰金が課されるので、そのリスクは十分理解しておくことが必要だ。
 
 
 では、財産の評価はどうするのか。
【評価のポイント】
 ・12/31時点の時価
 ・「財産」は、海外も含む
 ・「財産」の不動産は、固定資産税評価額で評価
 ・「株式等」の未上場株式は、簿価純資産で評価
 ・「財産」には、生命保険も含む
 ・「財産」には、仮想通貨も含む
 
 相続税の評価でないのは救われるところだが、実務上、集計が毎年必要になるのが面倒な点である。
 特に最近は仮想通貨が高騰しているから、きちんと記載を忘れないようにしたい。
 通貨なので、現預金欄に記載することになると思われる。
 
 トピック的な話題は税務署も意識するから、記載を安易にパスすると、後からペナルティーがかかってくることになりかねない。
 マイナンバーも導入されたし、ペナルティにつながるので、資産管理体制を整えた方がいいだろう(というより、会計士の立場からすると、資産管理は必須なのだが・・・)。

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M One News 18-04           2017/12/27 仮想通貨高騰と税金

 最近、何かとニュースを聞く『仮想通貨』。
 ビットコインが代表格として取り上げられているが、1年で約20倍に値上がりと、その激しい乱高下ぶりから、投機の印象が強い。
 
 しかし、非中央集権的な分散型のため、改ざんしにくく信頼性が高い仕組み(ブロックチェーン)は革新的だ。
 一般的に言われるメリットは、以下のとおり。
 ・中央機関に依存していない
 ・信頼性が元来高い仕組みのため、送金手数料が安くすむ
 
 ただ一方で、乱高下する限り、通貨として不適格であるし、その優れた送金特性が価格高騰によって失われてしまっている。
 例えば、国内最大手の取引所ビットフライヤーの場合、送金手数料は0.0004 BTCだったので、17/12/23現在のビットコイン価格約170万円だと680円。
 これは、銀行の国内他行送金手数料を上回るレベルだ。
 17/07/01時点では28万円だったから、送金手数料は112円で済んだのに・・・。
 
 つまり、ビットコイン価格が上がれば上がるほど、送金手段としては割高になってしまう構図なのだ。
 そこにさらなる追い打ち。
 17/12/24付で送金手数料は0.0015 BTCと約4倍に値上がってしまった(ビットフライヤーの場合)。
 
 取引処理が大量に滞っているために台帳に書き込む処理(マイニング)をするマイナー(採掘業者)へのインセンティブをアップさせたのだが、これは同時に、通貨としての利用がさらに遠のくことを意味する。
 結果、利用目的よりも投機目的で所有する人が多くなっているのが現状だ。
 
 
 そんな仮想通貨の取扱いは、国によってまちまちだ。
 中国や韓国では取扱い禁止、韓国では通貨とすら認められていない。
 オーストラリアでは通貨ではないが、財産価値があるものとされている。
 
 日本では2017年に明確化された。
 資金決済法で通貨として認め、財産価値ありとされたのだ。
 
 具体的な取り扱いとして、(通貨なので)消費税は非課税、所得税は売却時・支払手段として使用時に課税される。
 海外と異なるのは、海外では仮想通貨間で交換しても課税されないが、日本では交換時も課税される点。
 
 そして、税率はMax 55%。
 雑所得扱いで総合課税となる。
 
 これは、支払手段としても使用できることから、譲渡所得ではなく、雑所得にされたのであろう。
 所有者としては、価格が上がるのはうれしいものの、だからといって売却すると半分未満しか残らない。
 
 逆に暴落して購入金額よりもマイナスになると、損は切り捨てになってしまう。
 「利食いのタイミングをいつにするか」という贅沢な悩みを抱える人も多いのではないだろうか。
 
 2017年の確定申告で注意しなければならないのは、財産価値があるとされたため、相続財産として相続税も課税されるし、財産債務調書に記載が必要ということだ(国内財産にあたるため、国外財産調書には記載不要)。
 通貨なので、現預金欄に記載することになると思われる。
 調書不記載についてペナルティーはないが、申告漏れがあるとペナルティーが加重されるので、気をつけたい。
 
 
 現在、国税庁は富裕層プロジェクトチームを全国展開して、富裕層を重点管理している。
 国税庁にとっては「宝の山」だが、納税者側からは「ブラックリスト」。
 このリストに載ってしまうと、なかなか外されることはない。
 
 国税庁が調査しがいのあるプロジェクトとして特別に意識しているのは、パナマ文書、パラダイス文書ときて、第3弾がこの仮想通貨高騰だろう。
 国税庁がにんまりして腕まくりする様子が目に浮かぶ。
 
 従来からの富裕層は派手な行動をすることなく控えめにしているが、心配なのは「にわか金持ち」。
 『億り人』としてTVに顔をさらす「にわか金持ち」を見るたびに、後でツケが来るだろうに、という老婆心を禁じ得ない。

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M One News 18-03           2018/01/10 セルフメディケーション税制

 医療費控除提出書類と並んで、2017年度税制改正で新設されたのが、セルフメディケーション税制(2017年分申告から適用)。
 
 従来の医療費控除が「治療」を主な目的にするのに対して、こちらの目的は「予防」。
 つまり、健康維持(=病気予防)に取り組む人の医薬品購入を、税制面で優遇しようというもの。
 クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life。生活の質)を充実させるだけでなく、国の医療費の膨張を抑える狙いがある。
 
 具体的には、健康診断・メタボ検診・人間ドック・予防接種など自助努力をしている人は、同一生計の家族の市販薬代の金額が年12,000円を超えた場合、その超えた金額の所得控除を受けることができる(Max 88,000円)。
 
 対象市販薬の品目一覧はこちら。
 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000333659.pdf
 
 見てもらえればわかるが、ひとつひとつ該当するかを探すのはとても面倒だ。
 したがって、実際には、ドラッグストアでの購入時に、薬のパッケージに右のマークがあるかどうかで、判断することになろう。
 
 健康を維持し、病気を予防するという考え方は立派だが、実務上、集計が簡単であることも大事なポイント。
 
 具体的には、確定申告における注意点は、通常の医療費控除との選択適用という点だ。
 つまり、通常の医療費控除の方がトクなのか、セルフメディケーション控除の方がトクなのかをシミュレーションして、どちらを適用するかを判断する必要がある。

 当事務所では、どちらの適用が有利かシミュレーションできるよう、また、明細書も自動作成するよう、いずれExcelファイルを提供する予定だ。

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M One News 18-02           2017/12/27 医療費控除の改正

 明細書を提出する代わりに領収書は提出不要。
 その代わり、いつでも税務署に提示できるよう、領収書原本を5年間保存しておく必要があるというもの。
 
 これは実務上、非常な『改悪』だ。
 何が『改悪』かといぶかる向きもあるかもしれないが、従来は領収書の合計金額を出すだけでよかったのに対し、明細書には、治療を受けた人の名前(同一生計の家族も含むため)・病院や薬局などの支払先・金額を記載しなければならない。
 つまり、従来なら電卓で足し上げるだけでよかったのに、明細書だと一つひとつ記載しなければならず、手間が増えるということだ。記載しないと明細書にならないからだ。
 
 もっとも、健康保険組合加入者は、組合からの通知書で明細書の代わりになるので、組合加入者は従来よりも楽になろう。
 
 問題は、国民健康保険に加入している高齢者だ。
 ただでさえ病気がちで領収書が多いのに、Excelが使えないとしたら・・・。
 
 3年間(2017~2019年分の申告)は、従来どおりの領収書提出でもいいのだが、その間に健康になっておけ、ということか。
 いやはやホント、健康に勝るものはありませぬ。

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M One News 18-01           2017/12/26 天網恢恢 疎にして漏らさず?

 『天網恢恢(てんもうかいかい)、疎(そ)にして漏(も)らさず』。
 
 「天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。
 悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ」(故事ことわざ辞典)
 
 
 最近、脱税摘発事件をよく耳にするようになった。
 コンプライアンス意識が高まっている社会風潮や、内部通報制度の整備だけでなく、税務調査が広く浅くというより、怪しいものに対して集中的に行われる方向に変わっているのが、一因だろう。
 また、支払調書を含めた情報収集精度が上がってきているのも、影響しているのに違いない。
 
 その中で、情報連携の本格運用が2017/11/13 に始まったマイナンバー制度は、3年目に突入する。
 もう少し具体的に言うと、2018/01/01 からマイナンバーが預金口座とひもつきになるのだ。
 
 正確な資産把握を行うのが、国税庁の目的(=納税者のデメリット)。
 マイナンバー提供は任意だから、イヤであれば拒否できるが、問題は海外。
 
 というのは、マネーロンダリング防止や税収確保といった観点から、経済協力開発機構(OECD)が策定した共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)が2018/01/01 からスタートする。
 これはタックスヘイブン(軽課税国)を含む100 以上の国や地域間における自動的情報交換制度で、銀行・証券会社・保険会社・信託の口座を対象とし、納税者の名前・住所・納税者番号・残高・利子配当等を電子ファイルで提供しあうというもの。
 
 この納税者番号が日本ではマイナンバーにあたる。
 つまりマイナンバー提供は、日本では任意でも海外では義務なのだ。
 
 そして例えば、シンガポールに口座を持っていると、2017/12/末の情報が2018/09 までに国税庁に送付されてくる。
 
 集計が面倒で申告をパスする場合はもちろん、パスワード失念等でログインできなければ、本人は金額すら把握できず、もちろん申告もできない。
 国内利子の20%課税とは異なり、海外利子はMax 55%課税だから、申告しなければ、期限後のペナルティも含めると、ほとんど手取りが残らなかった、なんて話になってしまう。
 
 
 また、2017/01/01 から海外で口座開設時にマイナンバーを求められるようになり、困惑するケースが続発している。
 日本人の感覚からすると、「日本ではマイナンバー提供は任意なのに、なぜ海外で提供しなければならないのか」と思うだろうが、海外では義務なのだから、提供しないと口座を開設してもらえない。
 
 海外に渡航する場合にマイナンバーを携える人はまずいないから、もし家族が日本にいて手伝ってもらえなければ、口座開設はできないことになってしまう。
 
 CRSにはタックスヘイブンで有名なケイマン諸島・マン島やスイスが入っている一方、米国は加盟していない。
 
 そのため、一部の富裕層に米国に資産を移す動きも出始めているが、国税庁は「米国にも情報交換を要請していく」としているから、安易な対応では税務調査のきっかけになるので、気をつけた方がいいだろう。
 
 何しろ、富裕層に調査に入りたくてしょうがないのだから。不利になるきっかけを自ら与えるのはスマートな人のやることではない。
 
 マイナンバーの本格運用開始で、国税庁は「天網恢恢、疎にして漏らさず」と呵々大笑しているだろうが、ジョージ・オーウェルが「1984 年」で描いた情報管理社会が身近に迫っているような危惧を覚えるのは、考えすぎだろうか。

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