M1村田宏彰公認会計士事務所
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年内も残り僅か。
遅くなりましたが、年内に行ったほうがよいおトクな情報を、2点紹介します。
ここ5~6年の節税の代表格でしたが、2019/06/01から過度なふるさと納税に歯止めがかかりました。具体的には、返礼率上限を3割に抑えるというものです。
ただ、それでも抜け穴が存在します。抜け穴といっても、うさんくささは一切なく、合法です。
それは、上記の返礼率の定義にあります。
総務省が定めた3割の「返礼率」とは、寄付額に対する自治体の仕入れ値の割合。
つまり、大量仕入れすれば仕入れ値は下がっていくわけで、実際3割に限りなく近い返礼率も存在します。
例を挙げて説明しましょう。
寄付額を10,000円、時価10,000円の返礼品の自治体の仕入れ値を3,000円とします。
100%ということは、1万円のモノを1万円で購入したことを意味しますから、当然といえば当然ですが、これに税金還付が加わります。
そして、税金還付額計算のもとになる税率は、年収の大小によって異なります。
表にしてみます。
ちょっと難しいですね。
平たく言うと、年収500万円の人は8,000円で10,000円のモノを入手でき、年収3,000万円の人は5,000円で10,000円のモノを入手できるということです。
かつて大学の経済学の講義では、平均して、工場出荷額は小売価格の4割、3割が流通マージン、残り3割が小売店利益だと学びましたが、さほど変わっていないということなのでしょう。直売がいかに安いかの裏返しということです。
ふるさと納税サイトでは、還元率ランキングを集計しているところもあります。
実際、こちらでは還元率99.9%!
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(1)大量
もうおわかりのとおり、カラクリは、大量仕入れによる値引きにあります。
したがって、大量になりがちな高還元率の返礼品は、食材だと冷蔵庫がパンパンになってしまうことでしょう。
だからと言って、冷蔵庫を新たに買いなおしたら、それこそ本末転倒ですよね。
また、2週間メニューが同じ、ということになりかねませんよ。
(2)返礼品の相場
返礼品の時価が正しくなければ、判断を誤ります。
ただ、食材を日常的に購入する主婦層なら、相場はわかりますよね。
(3)住宅ローン控除などで税金支払額がゼロの場合
今年の税金がゼロの場合は、それ以上税金は還付されません。
自己負担2,000円で済む寄付枠を既に使い切っている人も、還付はされますが、負担額は増えていきます。
台風などの災害により甚大な被害を受けた地域への旅行を割引(助成)することで、観光需要を喚起し、地域経済の早期回復を図る、国の観光支援策です。
以前から実施されていますが、今回は東日本1都13県の被災地を対象に、宿泊した場合に、1人1泊最大5,000円、1回の旅行で最大15,000円(訪日観光客は50,000円)引きで宿泊できます。
つまり、2人で旅行するのなら、1泊2万円が1万円で宿泊できることになります。
19/12/中~20/03頃まで実施されるので、この期間に旅行するなら、外せません。
予算が無くなり次第、終了します。
ざっと表にしてみましたが、申し込むときはきちんと裏をとってくださいね。
申込み方法は
・割引クーポンを入手してツアーを申し込む方法
・割引済みのツアーを購入する方法
・現地ホテルで割引を申請する方法
の3つあります。
確定申告期間でとても行けない私の分まで、楽しんできてくださいね。
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11月も半ばにさしかかりつつあり、今年の所得を棚卸しする手続きも迫ってきました。
会社勤めの人はそろそろ、年末調整資料が配られ始めていることでしょう。
昨年から難しくなった年末調整ですが、来年はさらに難しくなります。
まず、昨年の変更点はこちら(M One News 18-18)。
書類が増えるのは単なる手続きなのでまだしも(それでも面倒ですが)、実務上、影響があるのは、共働きの場合。
特に、夫婦ともにフルタイム勤務ではなく、いずれかが扶養に入るために勤務状況を調整しているケース。
年初1月に扶養予定で給与計算を開始しても、所得が実際に確定するのは年末になってからなのは、言うまでもありません。
それも、労働調整する配偶者だけでなく、フルタイム勤務の世帯主の所得がいくらかによっても、配偶者控除の金額は違ってくるのです。
夫婦どちらかの所得が基準額を上回る場合、配偶者控除を多く取りすぎていたことになり、年末調整で追加の税負担が発生し、手取り額が減ることになります。
総額は同じなのですが、年末調整で還付するのを好む人が多いことを考えると、年末までは「扶養なし」で給与計算しておいた方が良さそうな気がします(ただし、毎月の手取り額は減ります)。
以上は、確定申告をしない人の場合。
会社員でも医療費控除やふるさと納税がある人は多いから、もし確定申告をするのなら、最終的に税金清算を行う確定申告の方法がいいでしょう。
どのみち確定申告なら、会社に提出する年末調整資料にどちらを記入しても結果は同じですので・・・。
このようにいまでも十分複雑ですが、来年からさらに「複雑」になる改正とは、基礎控除の引き上げと、給与所得控除や年金控除の引き下げ(M One News 18-07、18-08、18-09)。
そのため、年収850万円超の会社員は、増税となります。
ただ、子育て世帯等に配慮した所得控除調整がなされるため(M One News 18-10)、年収850万円超であっても、増税ゼロ or 緩和されます。
まとめると、2020年の年末に会社に提出する用紙が変更になります。
変更になるのは2点目の資料ですが、具体的な様式は、12月末頃に国税庁から発表される予定です。
複雑になる一方の年末調整ですが、うまく乗り切りたいものですね。
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消費税改正をビジネスチャンスととらえる事業者が消費者にアピールする方法は、概ね3つに集約されるようです(M One News 19-13)。
多くはポイント還元の手法を取っています。特にQR決済業者はポイント還元一色です。
なじみ深い商店街スタンプから始まり、航空会社マイレージで普及し、現在は、Tポイント・楽天スーパーポイント・Pontaポイントなど、花盛り。
さらに、マイナンバーカード取得者へのポイントも、ポイント還元制度終了後の2020/07に始まります(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai5/siryou4.pdf)。
その還元率はなんと25%!
日本人のポイント好きに国も乗っかった格好ですが、実際、ポイント市場は年々拡大し、2018年には1兆8884億円まで達するそうです(矢野経済研究所)。
次々に発表される販促キャンペーンがこれだけ盛んだと、消費税率アップによる景気低迷の恐れは杞憂にすら思えてきます。
ただ、ポイント制度が多すぎて、目移りしてしまって迷ってしまう人が大半ではないでしょうか。
ポイントは次回の買い物に使うべきというのが前回の結論ですが(M One News 19-16)、ついでに貯まってしまうポイントも少なくありません。
こうしたポイントをうまく使いこなすには、ポイントの特性をきちんと理解する必要があります。
(1)還元率がまちまち
企業独自で行うため、企業ごとに還元率が異なるのはもちろん、同じポイントでも、このときはこう、あのときはこう、と還元率がさまざまです。
(2)ころころ変わる
ポイントは企業にとっては販促ツール。キャンペーンが出てくると、つい目移りしてしまうもの。
目移りするようなキャンペーンを出してくると最初から思っておいた方がいいです。
というより、消費者が目移りしないようなら、キャンペーンは失敗です。
(3)利用期限あり
ポイントが利用者にとっておトクでも、企業にとっては将来の負債。設けられている利用期限が、さらに一方的に短縮されてしまうことも(規約に最初から織り込まれているため、合法です)。
上記のようなポイントの性質を踏まえると、取るべき行動は自ずと決まってきます。
(1)分散せず、まとめる
あれもこれもと貯まる場所が分散するよりも、できるだけまとめたほうが使えるのは、言うまでもありません。
(2)王道で貯める
一時的なキャンペーンに惑わされないようにしてください。長期戦で臨むものです。
(3)貯め方ではなく、使い方に焦点を置く
いくら貯めても、使うときに不利になるようであれば、貯める意味が薄れます。
仮に\100で1pt(ポイント)貯められても、使い方によっては、0.5ptにも十数ptにもなるためです。
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ポイントのメリットは、企業側は囲い込み効果が見込めること、消費者にとっては“おトク感”でしょう。
ところがその“おトク感”は、意外に“おトク”ではありません。
割引率をいずれも同じ10%としましょう。
値引きの場合、支払額は9万円で済みます。一方、ポイント還元では、ポイントを次回の買い物に充当するため、支払額は10万円となります。
最初の買い物10万円で貯まったポイント1万円を、次回の買い物1万円に充当するからです。
このように、割引率は低くなります。
さらに、値引きの1万円はどの店でも使えますが、ポイントは同じチェーン店でしか使えませんから、値引きの方がトクであるのは、言うまでもありません。
現金であれば、銀行に預ければ金利が付くのに対し、ポイントには金利が付きません。
この点でも、ポイントはトクではないことがわかるでしょう。
使い道がいきなり制限されたり、有効期限が変更されたりするから、なおさらです。そうでなくても、有効期限を過ぎてしまえば元も子もありませんよね。
このようにトクではないのに、なぜ「ポイント」をトクと思ってしまうのでしょうか?
それは、次の3つの理由によります。
(1)ヒューリスティック
上記の割引率の場合、消費者の心に残るのは「10%」という数字だけ。
よく考えれば値引きの方がトクなのに、直観的に判断し、同じだと思ってしまうのです。
(2)保有効果
自分の持っているものは価値が高いと評価し、手放したくない心の動きのこと。
最初はつい使ってしまってなかなか貯まらないが、いったん貯まり始めると今度は使わなくなる「貯金」と同じ。
残高を見るたびに増えていることが実感でき、いつのまにか増やす楽しみに変わっているというわけです。
(3)メンタル・アカウンティング
ポイントが、財布とは別の勘定に入ってしまう心理。「心の会計」とも呼ばれ、「ケーキは別腹」と同じ原理と言えるでしょう。
いざ使うときになると、まるで天から降ってきたプレゼントのように感じてしまう。旅行会社の積み立てや、百貨店の「友の会」と似ています。
そもそもポイントやマイレージは、お店が消費者にたくさん買物をさせようというマーケティング手法です。
消費者も、トクするためにポイントを貯めるのに、往々にしてポイントを貯めること自体が目的化してしまいがちです。
このように、いくつもの心理的な罠が日常の買い物に潜んでいることを、買物をするときは、ぜひ忘れないようにしたいものです。
結論。
「ポイント」よりも次回に使える「キャッシュバック」の方が、「キャッシュバック」よりも今の買い物に使える「値引き」の方が、ベター。
もしポイントが貯まるときは、できるだけ次回の買い物に使いましょう。
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法人の次は、個人です。
ただ前回触れたとおり(M One News 19-14)、法人・個人の区分よりも、消費税課税事業者・免税事業者の区分で考えるべきです。
つまり今回の内容は、免税事業者と個人が、駆け込み購入すべきものについて。
復習になりますが、商品の引き渡しやサービス提供が行われたときの税率が適用されます。駆け込み購入に関係ある経過措置は、旅客運賃等(M One News 19-04)。
具体的には、以下のとおり。
(1)電車の切符、定期券、回数券
旅行の切符も先にネット決済した方が安く済みます。定期も大きいですね。JRは2週間前から定期券更新が可能なので、定期終了日が間近であれば、忘れないようにしたいものです。
私の定期券終了日は2019/10/18でした。トホホ、、
(2)遊園地のチケット(年間パスポートも含む)
例えば、ディズニーランドの当日チケットは引換券を2019/09/30までにネット購入し、有効期間2ヶ月以内に引き換えればOK。
(3)必需品(飲食料品を除く)、酒類
軽減税率にならないものはこちら(M One News 19-07)。
(4)値崩れしない家電等の購入前倒し
例えば、iPadはApple storeでの発注と同時に決済が終了するためか、納品が2019/10/01以降になっても、2%分追加支払いはないようです。トクした感じです(たぶん)。
Amazonもそうでしょう。楽天のHPには「追加支払あるかもしれない」と注意書きがありました。
いやはや、どさくさ紛れも結構ありそうです。
まあ、あまり気合い入れて買い物しすぎないようにね・・・。
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消費税率アップまで残り1週間。法人は、何を購入すべきなのでしょうか。
消費税の仕組みを考えればわかることですが、消費税は預かって納付するだけ。
より正確に言うと、預かった消費税と立て替えた消費税の差額を納付する制度なのです。
したがって、消費税率がアップしようがダウンしようが、あまり関係ありません。
あえて言うなら、必要なものを前倒しで購入する程度でしょう。
大型家電やPCは値崩れするから、少々トクしたつもりでも、相殺されてしまいますが(過去もそうだった)、旅費などは今月中に手配・購入したほうがよいと言えます。8%で支払えば、出張が2019/10/01以降であっても、差額を取られることはありません。
このような経過措置については、M One News 19-04をご覧ください。
繰り返しになりますが、いまは2%分の支払が少なくても、後でその分、納付額が増えるだけです。
以上は、消費税課税事業者の話。
しかし、消費税免税事業者にとっては、利益にもキャッシュにも影響します。
免税事業者は、概ね消費税分を納めなくて済んでいるから(「益税」と言います)、もともと、利益がかさ上げされ、Cashも潤沢のはず。そして今回さらに、消費税up分だけ潤うことになります。
つまり、免税事業者こそが、駆け込み購入を行うべきと言えるのです。
まとめましょう。
(注1)課税事業者でも入金~Tax納付のタイムラグ分、資金繰りのメリットを受けていますが、
Cash潤沢に見える気の緩みの方が怖いため、メリットはないものとしています。
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ポイント還元制度のわかりにくい原因として挙げられるのが、もうひとつ。
それは、消費税分と、値引き分 or ポイント還元分が、混在していること。
政府は、ポイント還元分がそのまま値引きされるイメージだったようですが、大手事業者が黙って見ているわけがありません。
報道されているとおり、さまざまなニュースが流れています。
少し拾っただけでも、以下のとおり。
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ポイント還元制度は、(顧問先には配布した)小冊子「Q&A改正消費税 社長のための経営対応策の要点」P.3に詳細が記載されていますが、その要点は、
・中小事業者から
・キャッシュレス決済で
購入 or サービスを受けた場合に、5%還元を9ヶ月間行うというもの。
クレジットカード会社などの決済事業者を通すことによって、事業者に対して5%を国が還元する制度で、消費者にどう還元するか(値引きするか、ポイントをつけるか)は事業者に一任されています。
消費税率アップ分2%で済む還元を5%と奮発したにもかかわらず、この制度への中小事業者の参加率は低いレベルにとどまっています。
その理由は、制度がわかりにくいことに尽きます。
経営者が高齢なうえ、消費者も敬遠しがちとくれば、9ヶ月間だけのためにシステム改修や操作方法を覚えるのは面倒だというわけです(実際にはシステム改修は決済事業者が行ってくれる)。
ただ、ポイント還元制度の本来の意義は、消費税負担ではなく、キャッシュレス促進にあります。
オリンピックを来年に控える中、訪日外国人による消費活動(インバウンド)を活発化させ、現金管理による手間を省き、日本経済全体の生産性アップを目指しているのです。
したがって、9ヶ月間で短期だからと取り組まないのではなく、効率性アップやニーズの取り込みという、経営的なスタンスから取り組むべきと言えましょう。
実際に、どのようにポイント還元が価格政策に反映するのか、見てみましょう。
飲食料品を取り扱わない小売店舗の消費税率は、表1のとおり。
この%分が本体価格にオンされます。
同じものであれば、明らかに中小店舗の方が安いので、消費者は中小店舗で買い物するでしょう。
それに対して、大手はどう出るでしょうか?
値下げや独自のポイント還元制度で対抗してくるのは容易に予想できます(表2)。
一般に、中小より大手の方が利益率は高く、値下げ余地があるから、もっと値下げしてくることすら考えられます。
この点からでも、中小事業者はポイント還元に積極的に取り組むべきと言えるでしょう。
一方、軽減税率の影響はどうでしょう?
中小レストランを前提に、試算してみました(表3)。
価格ギャップが同様にありますが、外食は店舗内の雰囲気など無形で享受する分があるため、さほど価格引き下げ圧力は無いと思われます。
コスト的にテイクアウトの容器代を考慮しても、安く済むはず。
とすると、「消費者のわかりやすさ」が最大の価格政策要因になりそうですね。
因みに、大手チェーンに関する現時点の情報を整理すると、テイクアウト価格と店内価格は、統一と不統一とで二分されるようです(表4)。
ご参考までに。
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引き続き、軽減税率で迷いやすいものの具体例を見ていきましょう。
おまけ付きの食品食玩・高価な容器の食品・食品の入った福袋などのセット商品(「一体資産」といいます)は、税抜1万円以下、かつ食品部分の価額割合が3分の2以上の場合、8%の軽減税率が適用されます。
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標準税率10%と軽減税率8%と税率が2種類になりますが(M One News 19-07)、軽減税率で迷いやすいものの具体例を見ていきましょう。
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価格政策として、もう1つ付け加えるなら、消費者の立場に立った「わかりやすいか」の視点も重要です。
この点で明確に分かれたのが、牛丼チェーン3社。
ニュースを整理すると今日現在、すき家・吉野家・松屋は、価格予定表示がそれぞれ異なります。
以下、本体価格を仮に¥100とします。
価格政策の違いを如実に表していて、面白いですね。
消費者への訴求力を取るか、価格転嫁を最優先するか、折衷案を取るか、最終的にはどの判断が正解だったとなるのか、目を離せません。
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経営者として考えるべきポイントは4つ。
(1)価格転嫁
人不足、材料高騰等を原因として、値上げが増えています。
前回は、便乗値上げダメとして価格転嫁が厳しく制限され、景気低迷の一因となりましたが、今回は、消費税値上げと同時期であっても、経営戦略上必要であればOKとされています。
中小零細企業は概ね利益率が低いため、適正な価格転嫁をしていかないと、事業が立ち行かなくなりかねないので、積極的に検討すべきでしょう。
(2)駆け込み需要への対応
過去ほどには想定されていないにせよ、一定の駆け込み需要は必ずありますので、取りこぼしがないようにしたいものです。
生産能力の確保、特に人材不足による取りこぼしにご注意ください。
(3)商品開発
テイクアウトの飲食料品については8%(軽減税率)のままなので、需要シフトに備え、テイクアウトの商品を検討すべきでしょう。
(4)需要平準化対策
駆け込み需要があるということは、その反動があるということでもあります。それをどう平準化するかは、大きな経営戦略課題です。
特に、駆け込み需要への対応で残業コストが増え、2019/10/01以降は逆に人が遊んでいる状況になってしまっては、かえってコストがかさんでしまっただけという結果に終わりかねません。
あえて駆け込み需要を取り込み過ぎないというのも、経営判断の一つです。
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消費税率が2019/10/01から10%になります(M One News 19-04)が、8%のまま(軽減税率)として認められるものがあります。
8%のままといっても、10%を標準とする新税率の下での8%なので、現行の8%とは異なることに留意する必要があります。
このとおり、合計の税率では同じでも、内訳が異なります。
つまり実務では、消費税は10%・8%(~2019/09/30)・8%軽(2019/10/01~)を分けて把握する必要があるということです。
消費税コードを分けて入力する会計ソフトであれば、自動的に国税・地方税に分けてくれるので、それほど手間はありません。
ただ、その線引きが少々複雑。
① 飲食料品のうち、何が8%となり、何が10%になるのでしょうか。
色分けすると、次のとおりです。
外食は10%なのに、テイクアウトだと8%になる点は、いろいろニュースで報じられているとおりです。
遊園地で食べ歩きをすれば8%なのに、屋台で買って前にあるテーブルで食べると10%になるのは、少々ややこしいですね。。
ただ、レジで購入時に「食べ歩き」と言えば、8%で済みます。
忘れないようにしたいものです。
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消費税改正直前対応として、請求書Form変更と同様、経費精算書Formもあらかじめ変更しておかなければなりません。
請求書同様に、税率が入り混じるためです。経費はさらに、会議用のお茶菓子などで軽減税率(M One News 19-07)も加わります。
そのため、10%・8%・8%軽の3つの税率が混在することになります。
項目 | 摘要 |
旅費交通費、出張ホテル代 | ・~2019/09/30支払分 : 8% ・2019/10/01~支払分 :10% |
仕事時の弁当、出前、会議用のお茶菓子 | 8%軽 |
その他 | 10% |
経費精算書Formの変更箇所は、10%・8%・8%軽という、3つの税率ごとに金額を集計するようにすればOKです。
社員への告知徹底も忘れないように行う必要があります。
面倒ですね。
「旅費交通費、出張ホテル代」の8%は年内に無くなっていくでしょうが、「仕事時の弁当、出前、会議用のお茶菓子」は今後ずっとですからね。。
まあ、それが軽減税率の目的ですから、やむを得ません。
とはいえ、遠い(?)将来の次回消費税率アップ時は、さらに複雑になるのかと思うと、めまいがします。。。
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消費税の新税率が適用されるのは、2019/10/01以降の取引分からです。
そして、この「取引」は、物品であれば引き渡し時期、サービスであればサービス提供時期に行われると考えるのが原則です。
したがって、2019/09/30までと2019/10/01以降の取引とで、税率が変わってきます(M One News 19-04)。
請求書上で税率が異なる取引が混在するということです。
【請求書上で税率が混在する例】
例 | 説明 |
9月に仕事をした分と、10月に仕事をした分を、 11月に請求する場合 | ・ 9月に仕事をした分 : 8% ・10月に仕事をした分 :10% |
定額サービスと実績請求が入り混じる場合 | ・9月分の実績計算分 : 8% ・サービス料10月分 :10% |
売上が20日締めなど末日締めでない場合 | ・~2019/09/30売上分 : 8% ・2019/10/01~売上分 :10% |
このように、普通に税率が入り混じります。
では、どのように請求書Formを変更すればよいかというと、具体的には、請求書を税率ごとに金額を合計するように変更すればOKです。
「① 軽減税率の対象品目である旨」は、軽減税率対象商品(食料品・新聞)の売上が無ければ不要なので、「② 税率ごとに合計した対価の額」だけ追加すればよいことになります。
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消費税は、商品引渡しやサービス提供が行われたときの税率が適用されます。
したがって、消費税改正前後では次のとおりになります。
ただ、駆け込み需要の緩和や税率引き上げ前後の混乱を防ぐため、税率引き上げ後でも旧
税率が適用される「経過措置」が、設けられています。
主な経過措置は、以下のとおりです。
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ふるさと納税の適正化(M One News 19-02)で触れたとおり、昨年閣議決定された2019年度税制改正大綱では、指定を受けた自治体以外への寄附(2019/06/01~)は、ふるさと納税制度の対象外となる見直しが盛り込まれています。
この指定を受けるには一定の基準を満たす必要があり、特に返戻品を送付する自治体は、①返礼割合は3割以下、②返礼品は地場産品、の要件が求められることとなります。
ご覧のとおり、2015年度から受入額と受入件数が大幅に増えています。
これは、自治体が返礼品の充実に力を入れ始めたことが大きな要因です。
そして、返戻品の選択を目的としたふるさと納税専用サイトの充実や決済方法の整備など、利用しやすい環境が整えられ、さらに報道や確定申告が不要となる税制面での後押し等も手伝い、認知や定着が図られ、年々増加しています。
特に、返戻品の充実は過熱の一途をたどり、いつしかふるさと納税は本来の趣旨を離れ、返礼品や返戻割合で選ばれる傾向となりました。
この歪んだ状況是正のため、総務省は何度も「返礼割合は3割以下」「返礼品は地場産品」とするよう通知を出しましたが、次ページのとおり、2018/12/27公表の総務省調査結果では、52団体が実質返礼割合が3割超、100団体が地場産品以外の返礼品を送付しています。
改正後は、指定だけでなく、指定取り消しもできるため、自治体は指定後も、一定の基準を遵守し続ける必要があります。
特に、上記赤字自治体が指定を受けるには、前述の要件を満たすよう見直しが必要となります。
今後、返礼割合や取扱い返礼品がどう変わるのか、目を離せません。
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消費税率アップに伴う消費テコ入れ策以外は、細かい点ばかりです。
(1)ふるさと納税の適正化
行き過ぎたふるさと納税を是正するため、返礼品を返礼率が3割以下の地場産品に限定したうえで、適用自治体を総務省が指定する改正がなされます。
2019/06/01~の寄付に適用されます。
(2)個人事業主の事業承継税制創設
法人に関しては事業承継税制が昨年、大幅緩和されましたが、個人事業主にも同様の制度が創設されます。
土地400㎡、建物800㎡までの贈与税・相続税を全額猶予されるとのことなので、かなりの効果が期待できるでしょう。
多額の税負担による廃業を防ぐためですが、旅館や酒蔵、町工場などが想定されているようです。
(3)未婚のひとり親支援
子ども貧困に対応するため、低収入の未婚ひとり親の住民税を非課税にしたうえで、年17,500円の手当を出すこととしました。
(4)教育資金贈与の範囲を一部限定
子や孫の合計所得金額が1,000万円超の場合や、23~29歳の子や孫の趣味・習い事は対象外となります。
(5)NISA口座開設の年齢要件引き下げ
NISA口座開設の年齢要件が、1/1時点で20歳以上から18歳以上に引き下げられます。
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今年の税制改正案の目玉は、何と言っても消費税率アップに伴う消費テコ入れ策です。
前回の消費税率アップ時の景気低迷の反省から、景気低迷させないよう、さまざまな消費テコ入れ策が講じられています。
例えば、住宅。
2019/10/01~2020/12/31購入の自宅に適用される住宅ローン控除を3年間延長し、11~13年目に消費税2%分を税額還付しようというもの。
「延長」とありますが、1~10年目は住宅ローン残高×1%、11~13年目が建物価格×2%と、還付税額の計算方法が異なるので、別の制度と思っておいたほうがいいかもしれません。
(ポイント)
・適用は居住用の自宅のみ
・11~13年目に所得税・住民税ともに税額が無ければ、還付されずに切り捨て
売却してしまった場合でも還付されるのか、などの細かい点はまだわかっておりません。
車に関しては、自動車取得税が1年間非課税となります(良燃費車のみ)。
ついでに触れると、毎年支払う自動車税の恒久減税もなされます(2019/10/01~新車登録分)。
所有から利用への変化に対応できているとは言い難く、また、排気量を課税ベースにする税体系では、排気量がない電気自動車には対応できないなど、まだまだ議論は道半ばといったところです。
生活必需品への税率を抑える軽減税率も、同時に導入されます。
食料品が代表的なものですが、10%の食品と8%の食品が入り混じる売り場で正確なレジ処理ができるのか、店内飲食とテイクアウトをきちんと区分できるのか、など懸念が尽きません。
プレミアム商品券も発行されます。
2万円で2万5千円の買い物ができる商品券です。
2020/03までの利用期限とされています。
また、キャッシュレス決済促進のため、ポイント還元制度も導入されます。
この制度は、キャッシュレスで買い物した場合に限り、ポイントで還元するというもの。
ただ、中小零細商店やカード会社を中心に反対の声も多く、悪用されかねない制度の欠陥も見つかったことから、本当に導入されるのか予断を許しません。
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