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M1村田宏彰公認会計士事務所

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M One News 20-42           2020/05/22 10万給付金の概要とポイント

 当初は、コロナウイルスの影響により収入が大きく減少した世帯などに生活支援として30万円給付する予定でしたが、迷走の末、国民一律10万円で2020/04/30に補正予算が成立した、国の「特別定額給付金」。
 https://kyufukin.soumu.go.jp/ja-JP/
 
 

 コロナウイルスによる影響緩和として、緊急経済対策の一環
 
 

 2020/04/27時点の住民基本台帳に記録されている者に対し、1人10万円を、その世帯主に支給
 
 

 住民票のある自治体の郵送開始日から3ヶ月以内
 
 

(1)世帯主に家族全員分が入金
 DV避難している人にも配慮されています。
 
 
(2)申請期限がまちまち
 申請期間は、自治体の申請書郵送開始日から3ヶ月以内とされていますが、その郵送開始日がまちまちのため、申請期限は自治体によって異なることになります。
 自治体ごとの郵送開始状況はこちら。
 https://kyufukin.soumu.go.jp/doc/kyuhu-post.pdf?ver=20200521.01
 
 郵送されてくる申請書に具体的日付が書いてあるはずですが、忘れないように、早めに手続きした方がいいでしょう。
 
 
(3)郵送申請がおススメ
 常識だとオンライン申請の方が早そうですが、処理する自治体自身が郵送申請の方が早いと言っています。
 これは、オンラインだとゼロからチェックを始めるため(しかも2人で!)。
 郵送方式なら、印字して追加記入してもらって返送することで、印字内容のチェックは不要というわけです。
 
 オンライン申請なのに、マイナンバーカードの情報を何も利用していないということ。
 何のためのマイナンバーカードなのでしょうか。。
 
 
(4)申請書類で「受給しない」にマークしない
 一番誤りやすいところです。
 自治体が作成した申請書の一例がこれ。

 このように、受給しない人に✔をつける形になっているのです。
 通常は、受給する人に✔をつける形にするでしょう。
 
 驚きますね。
 そもそも、受給しない人は申請書を出さないだけのはず。
 もし仮に4人のうち1人が受給しないのであれば、受給するのを前提として、受給しない人だけ受給の文字を消すなど、わかりやすくすべきでしょう。
 間違えやすいと報道されていましたが、これを予想できる人はいないと思います。
 
 しかも、市区町村ごとに用紙形式がすべて異なるようなのです。
 国の申請書見本があるにもかかわらず、です。

 各市区町村の担当者は自己満足しているでしょうが、社会的には膨大なロスが発生しています。
 支払いたくないから、あえて間違えやすいようにしたのではないか、と勘繰ってしまいますね。
 ひっかからないように、ご注意願います。
 
 まあ、竹本IT担当大臣がハンコ文化について聞かれたとき、「印鑑を使わないと納得しないというような、人間同士・日本人同士の感覚がある」と述べていましたからね。。
 国のIT担当トップがこれでは、役所をむやみに責められないかもしれません。
 残念ながら、ITリテラシーの低さを自ら暴露する形となりました。
 
 

 市区町村に問い合わせてください。
 「銀行口座の記入があるのに受給しないになっている」のはおかしいとして、TEL確認してくれる市区町村もあるようですが、自身のことですからね。
 40万円(家族4人の場合)の価値はあるはずです。
 
 

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M One News 20-41           2020/05/22 コロナ休業協力金(東京都第2回)の概要とポイント

 2020/05/06までだった国の緊急事態宣言の延長を踏まえ、東京都でも緊急事態措置として自粛要請期間を延長したときに2回目の休業協力金も準備すると、小池知事が表明していましたが、2020/05/19にその概要が公表されました。
 https://www.tokyo-kyugyo.com/dai2pre/index.html
 
 2020/06/17に申請方法の詳細が公表されると同時に、受付も開始されます。
 
 

 コロナ感染拡大防止対策で、東京都の緊急事態措置(休業要請)に全面協力する中小企業・個人事業主の支援
 
 

 中小企業・個人事業主等に50万円(複数店舗は100万円)支給
 
 

 2020/06/17(水)~7/17(金)
 (注1)6/17に申請専用サイトが立ち上がる予定
 
 

(1)オンライン申請がおススメ
 ただ、第1回と異なり、Web申請・郵送申請・窓口申請の3方法が用意されるようです。
 
 
(2)必要な休業期間は、2020/05/07~5/31(予定)
 1日でも欠けると、受け取れません。
 ただ、前倒し解除されれば、必要とされる休業期間も短縮されるはずです。
 
 
(3)「休業」は営業時間短縮でOK(飲食店)
 
 
(4)本社が都外でも、都内施設を休業すれば、対象
 
 
(5)第1回を申請した事業者は、第2回の提出書類は簡素化
 
 
(6)専門家の事前確認があれば、スピード受給を期待できる
 第三者の目を通すことで、東京都も審査を簡略化でき、スピード受給が可能になります。
 しかも、専門家には東京都から直接支払われるため、申請者は立替えすら不要!
 
 当事務所では専門家として、申請サポートを実施(無料)。
 2020/06/17にならないと詳細が不明ですが、第1回と同様のサポートを行う予定です。
 
 因みに、第1回に対するサポートの詳細はこちら。
 https://www.cpa-murata.com/coronasennmonnkasapo-to#ttl-coronasennmonnkasapototoukyoutoippann
 詳細が公表され次第、HPでサポート方法をご案内します。
 
 

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M One News 20-40           2020/05/19 コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?⑦

 テレワークの快適さを知ってしまえば、通勤しなくなります。
 通勤しなくなると、ビジネス街の人口は減りますから、テナントや飲食店は不利になります。
 逆に、住宅街のテナントや飲食店は有利になるでしょう。
 
 テレワークのデメリットに、公私の区別がつきにくく、集中力を保てないという点があります。
 したがって、サテライト・オフィスやハブ・オフィスが発達するでしょう。
 通勤地獄を避けられるうえ、メリハリもつけることができるためです。
 
 

 従来、営業は人の説明が前提でした。
 しかし、今後は動画・VRでの説明が多くなり、マニュアルもPDFでダウンロードするのが一般的になるでしょう。
 話し方がうまい営業マンよりも、技術的なことがわかる営業マンの方が評価されるということです。
 
 ただ、得手不得手は人によって異なります。
 したがって、役割分担が進むと思われます。
 
 営業であれば、
 ・見込み客探し
 ・コネクションづくり
 ・クロージング
 ・フォロー
 いままで1人で行っていた各ステップを、スキルのうまい人がそれぞれ担当するというふうに。
 
 また、不動産賃貸業なら、不動産の物件案内は、動画やVRでもできるはずです。
 大家自身に自分で工夫して動画を撮る才覚があれば、賃貸仲介市場は縮小することでしょう。
 スマホで簡単に撮れますから、やる気の問題です。
 
 

 サテライト・オフィスやハブ・オフィスが進めば、小さな本社で足りるはずです。
 家賃軽減という点からも、社員からの支持という点からも、その方がベターでしょう。
 
 サテライト・オフィスが可能なら、別荘オフィスも可能ではないでしょうか・・・。
 まあこれは、ある程度自分の仕事をコントロールできる立場にならないと無理だと思いますが・・・。
 
 

 短期的に手は打っても、最も大事なことはやはり、売上をどう上げるかです。
 
(1)コア事業以外は閉鎖
 利益を出していないのなら、この非常時にはもはや、やり続ける余裕は無いはずです。
 選択と集中でコア事業に回帰する。
 閉鎖した事業に従事していた社員は、コア事業に配置転換する。
 
 
(2)視点チェンジ
 需要が蒸発してしまっている宿泊業。
 にもかかわらず、ほぼ満室営業を続けているホテル「Whykumano」(in 那智勝浦)。
 その宿泊パック名は「オンライン宿泊」。
 
 いやいや、さすがにオンラインで宿泊は無理でしょう、と思ったあなたは、以下の体験記事を参照してください。
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200502-00000003-withnews-sci
 1人¥1,000と売上は僅かですが、その狙いは別にあります。
 それが何であるか、なぜ人気なのか、自分ならさらにどう改善するか、考えてみてください。
 
 
(3)業態転換
 簡単に転換先が見つかるわけではないのは、百も承知です。
 逆に、簡単に見つかるなら、既に行わなければならないことをやっていなかっただけのこと。
 
 コロナが終息しても、売上はV字回復で戻るわけではなく、レ字回復になると思われます(つまり、徐々に回復していくということ)。
 そして、生活様式が変わるため、回復した売上レベルを7~8割と予想し、それを前提とした収益構造で考えるべきでしょう。
 通販なり、テレワークなり、その便利さを知ってしまって馴染んで習慣化してしまえば、元に戻ることはありません。
 
 ピーター・ドラッカーは、「未知なる未来のために現在の資源を使うことが、本来の意味における企業家特有の機能である」と言っています。
 「長期指向の企業の経営成績は、他の企業より売上で46%、利益で36%多い」という、マッキンゼーの調査結果もありました。
 経営が未来を見すえれば、富を生み出す力は強まるのです。
 
 
 コロナ禍は、日頃仕事にいそしむ経営者にとっては、「経営」を考えなおす千載一遇のチャンスかもしれませんね。
 
 

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M One News 20-39           2020/05/19 コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?⑥

 東京商工リサーチによると、コロナ関連の倒産件数は増えつつあります。

 ただ、この件数には、負債総額1000万円未満の倒産や、自主廃業は含まれておりません。
 「長期化しそうだし、もう歳だからこの際たたもう」と考える、会社や個人はかなり多いと思われますので、実際の倒廃業はもっと多いことでしょう。
 
 廃業するにも、個人は届を1枚提出するだけですが、法人は清算を行うこととされており、この清算手続のハードルが高いのです。
 実務的には、お店はたたむけれども会社は残しておく「無期休業」(つまり、休眠)の形を取る法人が多いことでしょう。
 
 

 経営の選択肢をできるだけ増やしておくことがポイントです。
 
 ワクチン開発には時間がかかることから、感染拡大と外出自粛を繰り返し(M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」)、需要が蒸発する状態が長く続くと想定されるためです。
 
 とすれば、繰り返し述べているように、融資を最大限受けることで手元資金を厚くし、3大キャッシュアウトを減らす努力を最大限行うこと(M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」)。
 
 株価が下がったからこれ幸い、などと呑気に投資するべきではありません。
 そのおカネは、本業見直しに使うべきです。
 
 

 大家、社員、取引先、家族、銀行・・・。
 経営上、何を最も大事にすべきものは何なのか。
 
 優先順位を付けて行動してください。
 https://logmi.jp/business/articles/322814
 
 腹をくくるということです。
 
 

 ある米不動産サイトで2020/03/末に行われた調査では、「4月末に支払うべき家賃が払えない」と答えた人はニューヨークで約40%もいたといいます。
 4/末を過ぎましたが、どうなったのでしょうか・・・。
 
 ある経営者から質問を受けました。
 大家に借金があるケースと無いケースとでは、大家に引き下げ交渉の余地があるかどうか(M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」)は理解できるが、どうやって借金があるのがわかるのだろうか、と。
 
 借金の存在があるかどうかは、不動産登記簿謄本でわかります。
 つまり、不動産が担保に入っている場合、不動産の登記簿謄本の乙欄に担保権が記載されているのです。
 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html
 
 そして、謄本はWebで取得可能。
 https://www1.touki.or.jp/
 
 もっとも、返済が終了しているが、抵当権を外す登記を(実害が無いために)まだ行っていない場合や、そもそも担保には入れていないが、不動産とは関係ない別の借金があり、資金繰り上、家賃収入を当てにしている場合などの大家の個別事情はわからなかったりするので、ひとつの目安に過ぎないのですが・・・。
 
 銀行が返済猶予に応じるようになったのは、朗報ですね。
 
  

 大企業用の雇用調整助成金以外に、中小企業用として、直接給付の新制度創設が現在、検討されています(M One News 20-36「雇用調整助成金の問題点と対応策②」)。
 ただ、法案成立がいつ頃になるかは不明で、そもそも詳しい内容すらわかっていません。
 
 したがって、拙速になるような行動は避けたほうがいいでしょう。
 具体的には、解雇はもちろんのこと、(中小企業は)雇用調整助成金申請、給付を当てにした資金繰りなどは慎み、状況の見極めができるまで静観すべきということです。
 
 国の最終目的は雇用維持にあるため、(社員からの)退職や(会社からの)解雇など雇用契約が無くなってしまえば、助成金の対象から外れてしまいます。
 そのため、給料が一部遅配になってでも、雇用契約維持を心がけるべきです。
 
 もちろん、社員には(生活給でもあるため)理解を求める努力は必要でしょう。
 場合によっては、住宅ローン返済猶予の方法を、社員に知恵づける必要もあるかもしれません。
 
 

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M One News 20-38           2020/05/19 非常事態が続くことで何が変わるのか?

 現在、人類は世界的な危機に直面しています。
 いずれ、嵐は過ぎ去って、日常が戻ってくるでしょうが、その日常は現在とはもはや同じではありません。
 
 ありとあらゆる可能性が次々に試され、数年かかる法案も短時間で成立し、緊急対策が実行に移される状況が続いています。
 何もしないリスクの方が大きいためです。
 それが非常事態の本質です。
 
 今や、世界は大がかりな社会実験の場と化しています。
 そんな状況が続けば、変化は当たり前になり、「前例」という言葉は死語にすらなるかもしれません。
 
 

 1348年の仏南部マルセイユで黒死病(ペスト)が流行すると、住民は仏北部に逃げ、ウイルスが拡散し、2年以内にヨーロッパ人口の半分が死亡しました。
 
 ペストは、その後のヨーロッパ社会に大きな影響を与えます。
 
 体が黒くなって死ぬため、神はこのようなむごたらしい病気を放置するはずがないと、キリスト教への尊敬の念が薄れる一方、信仰が足りないからと自分を鞭打つ信徒が現れます。
 死亡して少なくなった農民の賃金が上昇して農奴から解放される農民が増え、宗教画一色だった美術の世界も、絵の題材が変わり始めます。
 
 こうして社会構造が変わっていき、ルネサンスを加速させたのでした。
 
 

 変化の波に直面して私たちが直面するテーマは2つあります。
 
 その1つは、全体主義的な監視&罰金の体制を選ぶのか、それとも、個々のエンパワーメントを選ぶのか、です。
 
 中国は初動こそ遅れましたが、強権を発動し、GPSアプリ・監視カメラ・軍隊(医療チーム)の力を借りて封じ込めに成功しました。
 市民に検温とその結果報告を義務づけ、GPSアプリをインストールさせたスマホを念入りにモニタリングし、街中に検温体制をしいて、発熱すれば、その数日前に遡って、GPSアプリで行先と濃厚接触者を特定し、全員、強制隔離する(自粛などと生易しいものではありません)。
 感染患者が近くにいればアラートを出すアプリも、広く出回っているそうです。
 
 人権を無視する代わりに、かなり効果的です。
 旧ソ連のKGBもなしえなかったことでした。
 
 韓国も、ほぼ同様の体制を敷くことで、感染爆発を抑え込むことができました。

 
 罰金で有名なシンガポールは、現在、公園をボストン・ダイナミクス社の四足ロボット「スポット」が巡回し、社会的距離を開けるように公園利用者に呼びかける実証実験を行っています。
 
 
 
 そのような監視体制に対して、個々の市民に委ねるエンパワーメントを選ぶこともできます。
 ここでは、エンパワーメントを「人びとに夢や希望を与え、勇気づけ、人が本来持っているすばらしい、生きる力を湧き出させること」と定義付けます。
 その前提は、潜在能力を持っていること。
 
 コロナなら、感染症の知識がそれにあたるでしょう。
 具体的には、外出自粛や社会的距離、その必要性と効果、発症したときには軽症・中症・重症の度合いによって回復にはどのくらいかかるのか、などを正しく理解する必要があります。
 

 ただ、一人ひとりの感染症知識にはバラつきがあります。
 営業自粛指示(要請ではない)をしたパチンコ店に行列ができるのは、その一例。
 
 そのため、西欧諸国が罰金を高くしてロックダウンの実効性を高めているのです。
 でもきっと、どの首相も「ビッグ・ブラザー」が欲しいと、心中では思っていることでしょう。 
 
 
 
 現在、手洗いの大事さを疑う人はいません。
 しかし、医者が手術前に手を洗うようになったのは170年前、日常の手洗いの重要性が広く知れ渡るのは僅か40年前なのです。

 手洗いの大事さを発見したハンガリー医師ゼンメルワイスは、働いていたオーストラリアの病院で、医師よりも助産師が赤ちゃんを取り上げる方が、産褥熱での死亡率が半分と、はるかに低いことに気づきます。
 
 原因を一つずつ取り除いて得た結論は、医師は死体解剖後、手洗いしないで出産に臨んでいたというもの。
 
 ゼンメルワイスは、「死体の微粒子」が母親たちに移されているのではないかという仮説をたて(パスツールの病原菌説は数十年後)、手洗いを奨励したのです。
 
 死亡率は下がったのに、医療界からはバッシングを受け、失意のうちに世を去ったゼンメルワイスが評価されるのは、死後になってからでした。
 
 
 私たちが現在、手洗いを自然に行うのは、ビッグ・ブラザーが監視しているためではありません。
 ウイルスや細菌が病気の原因になる事実を知っており、石鹸が病原体を取り除くことを知っているからです。
 「石鹸警察」が怖いわけではなく、手洗いの正しい知識を一人ひとりが持っているからなのです。
 
 
 とすれば、他の知識も正しく身につけることが大事になってくると言えます。
 
 そうして初めて、自分の生活や環境を自分自身でコントロールする力を持てるようになるでしょう。
 正しい情報を得て判断力を磨き、専門家や当局に信頼を寄せれば、将来について不安が低減されるはずです。
 

 世界ではロックダウンが解除されつつありますが、ロックダウン中は、強烈な悪夢を見る人が多くなったというニュースがありました。
 
 ロックダウンを「自由を制限される」ととらえるから悪夢を見るのであって、ロックダウンを「自由を取り戻すための闘い」と考えれば、将来の希望が持てるはずと思うのは、私だけではありますまい。
 
 それは、正しい知識と当局への信頼がベースにあって初めて、できることです。
 
 そのためには、情報公開が必須。
 信頼できる統計にアクセスできるようになれば、国が真実を述べているか、現在の対策が正しいかどうかがわかるからです。
 
 

 変化の波に直面して私たちが直面するは2つ目のテーマは、グローバルな国際協調を選ぶか、それとも国家主義的な自国第一主義を選ぶのかです。
 
 コロナウイルスの感染爆発、その結果引き起こされた経済危機の背景には、グローバルな現在の状況が存在します。
 
 危機の解決には、グローバルな連携しかありません。
 サプライチェーンはグローバルに展開しているうえ、ワクチン供給スピードも国際協調で促進されるからです。
 
 しかし、米トランプ大統領は、人類の未来より「偉大なるアメリカ」の方が大事だと、以前から公言しています。
 実際、米国はEUからの入国禁止を一方的に行いました。
 盟友国への一切の事前通告なしに、です。
 
 

 ワクチンにも、ナショナリズムの影がつきまといます。
 開発されても供給不足になるのは確実な状況下で、まずは自国民に供給しようとするからです。
 
 前例もあります。
 
 2009年のH1N1インフルエンザのパンデミックのとき、最初にワクチンを開発したのが豪州の製薬会社だったため、豪州国内や契約を結んだ裕福な国の需要が優先され、それ以外の国の注文は後回しにされたのです。
 
 
 そして現在は、さらに問題が複雑化しています。
 
 称賛される科学者は誰で、特許はどこが取り、収益は上げるのは誰かという問題から、コロナ危機後の復興において経済的・政治的優位に立つという、国家安全保障の問題へと発展しているのです。
 

 米トランプ大統領は、独製薬会社キュアバック社に対し、新ワクチン開発費として10億ドル資金提供する代わりに、本社を米国に移すよう提案したと、2020/03にすっぱ抜かれました。
 
 狙いは明らかです。
 ワクチンの独占権を得ようとしたのです。
 盟友国として、あるまじき行為です。
 キュアバック社は拒否したのですが、事態に慌てた欧州委員会は、8500万ドルの財政支援を約束しました。
 
 一方、中国企業も1億3330万ドルで独製薬会社バイオエステック社の株式を取得するなど、自国優先の動きが続いています。
 
 しかし、国際協調しなければ、危機が深刻化するのは明らかです。
 
 
 この2つのテーマで、私たちは今後、どのような選択をしていくことになるのでしょうか。
 
 

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M One News 20-37           2020/05/16 コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?⑤


 2020/04/20、米ニューヨーク商業取引所で、原油先物価格が史上初めてマイナスとなりました。
 簡単に言うと、原油を買うとお金をもらえるというわけです。
 コロナウイルスにより、世界の石油消費が一気に冷え込む中で、原油貯蔵施設が2020/05に満杯になるかもしれないとの懸念が広がったため、おカネを支払ってでも引き取ってもらいたいと生産者は考えたのです。
 5月物先物の最終取引日が翌日に迫っていたという事情があるとはいえ、「需要が蒸発した」ショックがいかに大きかったかを物語るできごとと言えるでしょう。
 
 

 米国労働省は、2020/04の雇用統計を2020/05/08に発表しました。
 その中で特筆すべきは、14.7%という失業率。
 
 これは、7人に1人が失業状態にあることを表します。
 リーマンショック時の10.0%を軽く超え、1930年代の世界大恐慌以来、最悪の失業率となりました。
 しかも、まだ底ではないと誰にも言えないのです。
 
 

 それは、1929/10/24(木)のウォール街の株式大暴落で始まりました。
 投機業者の自殺者は11人に及び、ウォール街は不穏な空気に包まれ、警官隊も出動する事態に。
 
 翌25日(金)にブローカーや銀行家が買い支えることで、いったんは持ち直ししたものの、翌週28日(月)・29日(火)に再び暴落。
 暗黒の木曜日・悲劇の火曜日と後に呼ばれる、株式大暴落の影響は、株式保有者だけであろうと、楽観的な人もいました。
 

 しかし、株の損失を埋めるために、さまざまな分野・地域から投資家たちは資金を一斉に引き上げ始め、それが企業の業績悪化による倒産へとつながり、そして融資焦げ付きによる金融破綻が相次ぐと、一気に雇用整理が広がります。
 
 取り付け騒ぎがあちらこちらで起き、とうとう1933/02には全銀行が営業停止。
 

 世界大恐慌の底は1932/秋~1933/春と言われますが、1929年に比べるとGDPは5割近く減少、株価は8割以上下落し、工業生産は1/3以上ダウン、失業率は25%にものぼりました。
 
 何と4人に1人が失業!。
 それも驚きですが、1929年に始まった世界大恐慌の底は、実に4年後だったのです。
 
 
 当時の米国大統領フーヴァーは、自由放任・財政均衡政策を取っていたため(つまり、何もしなかったということ)、対策が後手後手に回りました。
 
 
 情景を描いてみましょう。
 
 働き手が失業すると、まずは貯金で食いつなぎますが、そう長くは続きません。
 貯金を使い果たすと、家賃の支払いや住宅ローン返済ができなくなり、家を追い出されます。
 親戚の家に身を寄せる人もいますが、失業の長期化でいづらくなり、同じく家を出ます。
 

 こうして、ホームレスが仕事と住む場所を求め、都市をさまよい歩き、各都市の公園には木切れで作った掘立小屋が並んだそうです。
 
 その集落は、無策のフーヴァー大統領をあてこすって、「フーヴァー村」と呼ばれました。
 ニューヨークのセントラルパークにも、このフーヴァー村が誕生したといいます。
 
 そして、小屋を建てられない路上生活者のかぶる新聞は「フーヴァー毛布」と呼ばれ、ガソリンを買えない人は自動車を馬に引かせました。
 
 
 底を打った後、経済は徐々に回復していくことになりますが、それでも一進一退を続け、結局、1929年の水準に本格回復するには、GDPは12年、株価に至っては25年もかかったのです。
 
 
 不況を長引かせないために、そして大量の失業者を生まないために、初期段階で迅速な手を打っていくことがいかに重要か、よくわかります。
 
 

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M One News 20-36           2020/05/16 雇用調整助成金の問題点と対応策②

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
 
 悪評ぷんぷんの雇用調整助成金。
 まるで、四角の鉄板を丸いマンホールのふたに使おうとしているかのような、ちぐはぐ感が満載です。
 
 しかし、雇用調整助成金の重要な改善点が2点、一昨日の2020/05/14、安倍首相の記者会見で発表されました(厚労省HPにはまだ反映されていません)。
 
 

 いままで最低賃金をイメージして決められていた上限額を、実態に近づけました。

 まだこれでも足りない人は大勢いると思いますが、少しは不足感が緩和されるはずです。
 
 

 休業手当を受け取れなかった従業員に、国から直接給付する新制度の創設です。

(1)ポイント
 ・手続がカンタン
  労働者が会社から休業票(離職票と同じ形式?)を受け取って、自らハローワークに申請することになりそう。
  審査も簡単だから、スピード受給を期待できます。
 
 ・月額給与の8割を給付(Max月33万円=15,000円 / 日×22日)
  失業手当は5~8割(Max 8,330円 / 日)だから、それよりも多い。
 
 ・手厚い
  当初、雇用保険の特例制度「みなし失業」適用検討を始めたとニュースで流れていましたが、そのみなし失業よりも手厚くなっています。
  戦力になっている労働保険未加入のアルバイト・パートも受給できるようになったうえ、コロナ禍の長期化で本当の「失業」をした場合、失業手当を受けられなくなるデメリットも回避できます(失業手当をいったん受給すると、その後、6ヶ月間は働かないと、受給資格が得られない)。
 
 
(2)懸念点
 新給付金制度は中小企業に限られ、大企業は雇用調整助成金を利用すると想定されているようです。
 そのため次のような懸念が生まれます。
 
 ・既に雇用調整助成金制度で申請済みの中小企業はどうなるのか?
  散々苦労して申請したのに、後から新給付金制度で申請した会社の社員の方が先に受給できたということになりかねません。
  切り替えが可能なのかどうかも不明。
 
 ・休業手当を支払わない大企業はどうなるのか?
  アルバイト・パートを戦力化している大企業は多いが、休業手当を支払っているとは限りません。
  休業手当を6割以上支給しないと、雇用調整助成金は受給できないし、中小企業用の新給付金制度はそもそも適用できません。
  結果、弱い立場の労働者だけが不利を被ることになりかねません。
 
 この2点は、後報を待ちたいところです。
 
 

 まだ雇用調整助成金を申請していない中小企業なら、話はカンタンです。
 新制度を使うのが、ベストでしょう。
 社員に休業手当を無理に支払わなくてもよいことになるためです。
 
 ただ、詳細は未定ですので、注意深くウォッチしていく必要があります。
 
 

 全国社労士連合会は、申請手順等を2020/4/21にYoutubeにアップしています。
(1)概要
  https://www.youtube.com/watch?v=hGdch_5lFVY&feature=youtu.be
(2)申請手順
  https://www.youtube.com/watch?v=rtdetE7fCOo&feature=youtu.be
(3)教育訓練加算
  https://www.youtube.com/watch?v=BCnTJu7kmC8&feature=youtu.be
 
 厚生労働省も負けじと、申請書の作成方法をYoutubeにアップ(2020/05/08公開)。
  https://www.youtube.com/watch?v=EQfBvFVI7as
  https://www.youtube.com/watch?v=XVcfLhVmh30
 
 こちらは、国土交通省の宿泊業の雇用関係助成金のビデオ(2020/05/01公開)。
  https://www.youtube.com/watch?v=hHNYj34c7aY&feature=emb_logo
  https://www.youtube.com/watch?v=XNHbU1Us4ts&feature=emb_logo
 
 いずれも改正前制度についてですが、ご参考までに。
 
 

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M One News 20-35           2020/05/13 コロナ感染の終息はいつ?④

 2020/04/29に米ロスアラモス国立研究所は、コロナには主に武漢型と欧州型の2種類あり、感染力は欧州型の方が強いとする論文を発表しました。

 
 地域別に武漢型(オレンジ)と欧州型(青)の流行を表したのが、上記のグラフ。
 
 欧州では、国によって型の流行パターンが異なります。
 国境封鎖はあれど、地続きなのにずいぶん違うのが興味深いところです。
 
 日本は左下の下から2番目ですが、当初はダイヤモンド・プリンセス号で武漢型が感染拡大、後に海外帰国者により欧州型が感染拡大した状況がよくわかります。
 
 詳しくはこちら。
 https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.04.29.069054v1.full.pdf?fbclid=IwAR0-2zVo9yga0G62JUTPkSdHxv78dPHmNeHjLg_Mq0wJPi_2bQ5Of52yeZE
 
 

 ウイルスの厄介な点は、変異していく点。
 武漢型・欧州型の2分類はざっくりすぎる分類ですが、オプションも含めると、実際、これまでに数千もの変異が発生しているとか。
 
 ワクチン開発では、この変異を考慮に入れて行う必要があるのですから、一筋縄では行かないのは明らかです。
 インフルエンザのように、A型・B型などと分けて開発することになるかもしれませんね。
 
 


 ワクチン開発に時間がかかるとすると、自然感染の拡大スピードを抑えるしか、道はありません。
 
 つまりは、外出自粛です。
 社会的距離を取って、3密を避ける。
 時間を稼いで、ワクチン供給を待つのです。
 
 ただ、それでは経済活動もストップしてしまうため、もちません。
 ストレス増大というだけでなく、倒産や生活困窮に追い込まれては、「自粛」などとは言っていられないからです。
 
 結局、社会的圧力で政府は外出自粛を解かざるを得ないでしょう。
 圧力で解くか、なし崩し的に同じ状況になってしまうかはわかりませんが・・・。
 
 

 世界では、経済活動再開の動きがみられます。
 タイ、ドイツ、フランス、イギリスは外出制限を緩和し、米国も経済活動再開時期を模索し始めています。
 
 ところが、制限を緩和したドイツでは、「基本再生産数(R0)」が緩和の2020/05/06時点では 0.71 と、感染拡大を抑え込めていたのに、わずか数日で 1.1 に上昇してしまいました。
 1.1 は、感染者数が増えていくことを意味しますが、数日でそうなるとは早すぎて驚きです。
 

 
 M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で触れたインペリアル・カレッジ・ロンドンの論文どおり、感染者数が増えたらロックダウン、減って緩和したら感染者数upの繰り返しになりそうです・・・。
 
 

 治癒した人の抗体を調べたら、抗体がたくさんある人とほとんどない人がいるというニュースが数週間前に流れていました。
 
 武漢で都市封鎖が行われている頃、治癒しても再び陽性になる確率が14%もいるニュースでギョッとしたことも思い出しました。
 
 韓国も(検査数が多いために)再び陽性と判定された人が多数いますが、韓国疾病予防管理局(KCDC)は、「偽陽性」の可能性が最も高いと20202/05/07に結論づけたそうです。
 KCDCによれば、素早い判定が可能として韓国で採用しているRT-PCR法は、感染力のあるウイルスと感染力のない(いわば死んだ)ウイルスを区別することができていない可能性があるとのこと。
 
 情報が錯綜しています。
 何が本当なのか確かめようがありません。
 
 ただ、感染しても抗体ができないのなら、集団免疫の達成度は危ぶまれます。
 人口の6割が感染しても、(治癒して)抗体ができなければ、免疫はつかず、感染率は高止まりし、死者は発生し続けるからです。
 
 

 そう考えていくと、ワクチンが大量供給され、人為的な集団感染の状況を作り出すことができたときに、初めて終息すると言えるでしょう。
 ワクチンが開発されても、大量生産されて世界に行き渡るには時間がかかるため、3~5年かかる可能性すらあります。
 
 

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M One News 20-34           2020/05/13 コロナ感染の終息はいつ?③ 

 M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で、終息の一形態として、集団免疫に触れました。
 「集団免疫」は、感染者の周りの人々が既に抗体を持っているために、新規感染者が少しは出るものの、感染拡大を結果的に抑えられる状況をいいました。
 
 そして、新型コロナウイルスの感染率は、2.5とされています。
 

 M One News 20-16「感染爆発の怖さ」で使用した図を再度、使用します。
 真ん中の赤の人が感染者で、周りの人に何人に感染するかを表します。
 
 つまり、1人から2.5人に感染するということです。
 
 感染拡大を抑えるためには、このウイルスの感染率を 1 未満に抑えなければなりません。
 感染症病理学では「基本再生産数(R0:アールゼロ)」と言うそうですが、1 を超せば感染者数が増加していく状況を表し、1 を割れば感染者数が減少していく状況を表します。
 
 ウイルスの感染率が 1 を割れば、感染拡大は収束に向かうと言えますから、感染率と周りの人々の免疫率から逆算すると、周りの免疫率が60%を超えたときに、収束に向かうと言えるでしょう。
 
 つまり、逆数ですね。
 基本再生産数が 1 になる免疫率(=1 - 1/感染率)を、5種類の感染症で表にすると、以下のとおり。

 したがって、コロナ(Covid-19)の場合、人口の6割が感染すれば、感染拡大は抑え込めることになります。
 
 

 しかし、6割も感染したのでは、致死率1%としても、世界人口77億人×6割×1%が死亡となり、1918~1919年のスペイン風邪に匹敵する4620万人が亡くなる大惨事となります。
 
 そこで、治療薬とワクチンの開発状況が重要になってきます。
 
 

(1)治療薬
 治療薬は、抗ウイルス薬と抗炎症薬の大きく2つに分けられます。
 
 前者は、重症化を防いで回復を促し、後者は、重症患者に見られる過剰な免疫反応を抑制して臓器不全に陥るのを防ぎます。
 米ギリアド社の「レムデシビル」も、富山化学の「アビガン」も、抗ウイルス薬にあたります。
 
 ただ「レムデシビル」は、効果あったという報告だけでなく、偽薬を投与したときと結果は変わらなかったという報告もあり、本当に効能があるかどうかは不明です。
 「アビガン」は、動物実験で催奇性が確認されており、妊婦や妊娠する(させる)可能性がある場合には、男女ともに避妊を確実に行う必要があるとされています。
 
 他にも、スイス・ロシュの「トシリズマブ」や仏サノフィ&米リジェネロンの「サリルマブ」など候補は複数あり、医療現場では片っ端から試しているのが実情です。
 
 

(2)ワクチン
 ワクチンは、過去に経験した病原体に対して、抗体を作り、免疫力を高めます。
 軽く感染させて免疫力をアップさせますが、病気そのものにはならないように作られています。
 つまり、疑似体験をさせることで、「本番」に備えるわけです。
 
 その開発は、動物実験の後、第1フェーズ~第3フェーズの3段階で、臨床試験が行われます。
 ワクチンは健康な人に投与されるものですから、ワクチン投与で大きな健康被害が出てしまっては、元も子もないからです。
 
 現在、臨床試験に入っているワクチンは、WHO(世界保健機構)によると、以下の6つ。

 


 トップを走っているのは、英オックスフォード大学のジェンナー研究所が開発中の「ChAdOx1 nCov-19」。
 安全性確認済みという点で、他のワクチン開発の先を行っています。
 
 2020/04/下に1100人を対象とする第1フェーズの臨床試験を開始、5月に5000人を対象とする第2フェーズの臨床試験を予定。
 人間に最も近いとされるアカゲザルの実験で、有効性も確認されています。
 
 最速で2020/09にも量産開始の可能性もあるということですが、過度な期待は禁物でしょう。
 
 類似のヒトコロナウイルスの2002年のSARS・2012年のMERSで、約1600人の死者を出しているにもかかわらず、いまだ有効なワクチンが存在しないからです。
 
 また、軽く感染させるだけでなく、何らかの原因で抗体がウイルスの感染・炎症化を促進させてしまうリスクも、開発中ワクチンにはあります。
 実際、SARS禍における開発中ワクチンの動物実験では、効果が無かったどころか、かえって重症化する結果になりました(このときは、ワクチン開発前にSARSが治まってしまいました)。
 
 そのため、慎重に開発を進める必要があるのです。
 トライ&エラーで時間を要するのは、誰でも容易に想像できることでしょう。
 
 ワクチン開発の過去の事例では、おたふくかぜのワクチンが史上最速で承認されたと言われていますが、それですら、ウイルスサンプル収集からワクチン認可までに、4年を要したのです。
 
  

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M One News 20-33           2020/05/09 持続化給付金の概要とポイント②

 2020/05/01から申請受付が始まった、国の持続化給付金。
 https://www.jizokuka-kyufu.jp/
 
 緊急事態宣言を受けて、売上が前年同月比で50%以上減少した月がある場合に、年間売上減少額を補填するもの。
 まだ申請していない事業者のために、その申請ポイントを、M One News 20-26「持続化給付金の概要とポイント」に引き続き、追加します。
 
 

(1)コロナ休業協力金は、売上比較時には除外
 東京都などのコロナ休業協力金は、売上から除外可能(申請要項のいずれもP.6)。
 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_chusho.pdf(中小企業)
 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_kojin.pdf(個人事業者)
 
 売上を前年同月で比較する以上、今年だけ入っていては、同じ土俵上で比較できなくなるからです。
 休業協力金入金済で、持続化給付金をこれから申請する場合、要注意です。
 
 
(2)e-Tax受信通知は不要
【法人】
 必要書類の前期申告書別表一(一)に電子申告日時が印字されていれば、e-Tax受信通知は不要です。

 
 経済産業省の申請要項 P.16にも記載してありますので、ご覧ください。
 https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/kyufukin_chusho.pdf
 
 
 公的書類としては、e-Tax受信通知が申告済みを証明する書類となるのですが(そのため、例えば銀行融資には必要)、今回の持続化給付金申請においては、簡略された模様です。
 タイトルが「メール詳細」となっているために一見わかりにくく、電子申告添付書類や消費税申告でもこの「メール詳細」があったりして何種類もあるため、混乱を避けたのでしょう。
 
 
【個人】
 個人も同様です。
 必要書類の前年申告書第一表に電子申告日時が印字されていれば、e-Tax受信通知は不要です。

 
 電子申告日時が印字されるかどうかは、申告ソフトによって異なりますが、少なくとも当事務所で決算申告・確定申告をお引き受けした関与先は、電子申告日時を印字するTKCシステムを使用するため、e-Tax受信通知は不要となるのです。
 
 もちろん、添付して申請してもいいのですが、受信通知は申告書ファイルの後ろの方にファイリングしてあり、何種類もあることが多いため、混乱を招かないよう、アナウンスする次第です。
 
 
(3)給付額は端数も支給されることになった
 従来、10万円未満の端数は切り捨て支給されていましたが、端数も支給するよう要望が多かったため、端数も支給される形に2020/05/08に変更されました。
 https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200508005/20200508005.html
 
 そのポイントは3点。
 ・遡及適用
 ・申請済みの事業者は、再申請不要
 ・過去申請分は追加支給となるが、いつからの申請分から満額1回の支給になるかは、現時点では不明
 
 国と当事者の温度差が浮き彫りになったと言えましょう。
 しかし、申請開始1週間で要望を取り入れ、改正する機動性は、評価できますね。
 
 
 緊急事態宣言は2020/05/06から5/31まで延長されましたが、コロナ休業協力金とは異なり、現在のところ、第2弾は無さそうです。
 残念!
 
 

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M One News 20-32           2020/05/07 コロナ休業協力金(東京都の理美容)の概要とポイント

 
 緊急事態宣言のおり、休業要請対象として含めるかどうか、国との調整でもめた挙句に外れた理美容店は、その後、東京都独自に支給する休業協力金の対象に含まれることとされ、今日2020/05/07から申請受付が始まりました。
 https://www.tokyo-kyugyo.com/ribiyo/index.html
 
 「東京都理美容事業者の自主休業に係る給付金」を正式名称とするこの給付金の内容は、上記に詳しいですが、概要とポイントを以下のとおり、まとめました。
 
 

 新型コロナウイルス感染拡大防止をより一層強化するため、自主休業した理美容事業者の支援
 
 

 中小企業・個人事業主に、15万円(複数店舗は30万円)支給
 
 

 2020/05/07(木)~6/15(月)
 
 

 2020/05/下~
 
 

(1)電子申請のみ
 郵送は例外的にOK。
 窓口での申請は不可。
 
 
(2)必要な休業期間は、2020/04/30~5/6
 1日でも欠けると、受給できません。
 
 
(3)専門家の事前確認があれば、スピード受給となる
 2020/04/22から既に始まっている休業要請業種への協力金同様、スピード支給の工夫が図られています。
 それは、専門家の事前確認です。
 
 つまり、第三者の目を通すことで、資料が1回できれいにそろう確率が高くなり、スピード受給が期待できるのです。
 しかも、専門家には東京都から直接支払われるため、申請者は立替えすら不要!
 「専門家」とは、具体的には青色申告会・税理士・公認会計士・中小企業診断士・行政書士を指します。
 
 当事務所としては、スピーディーにサポートする体制を整えました。
 https://www.cpa-murata.com/coronasennmonnkasapo-to#ttl-coronasennmonnkasapototoukyoutoribiyou
 
 申込みをお待ちしております。
 
 

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M One News 20-31           2020/05/06 雇用調整助成金の問題点と対応策

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
 
 M One News 20-22「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」で触れた雇用調整助成金。
 3大キャッシュアウトのうち最も大きな人件費をまかなう救世主であるはずの当制度ですが、報道でご存じのとおり、悪評ぷんぷん。
 
 何しろ支給実績は、僅か0.1%!

 
 3時間並んでやっと取った相談予約日が2週間後であれば、誰でも怒ることでしょう。
 ハローワーク崩壊と言っていい今の状況の理由と対応策は、おいおい触れるとして、まずは目的から。
 
 

 景気変動で業績悪化により、会社が行う雇用調整(休業・教育訓練・出向)に対して助成金を支給することにより、従業員の雇用を維持する。
 特に、コロナ感染拡大防止による休業でも、社員の雇用維持と生活の安定を図るため、拡充する。
 
 

 図にすると、以下のとおり。

 労働基準法で最低限、60%支払わなければならないと定められているため、休業した場合、会社は本来の給与の何割(任意)かを休業手当として支給します(青のライン)。
 
 国の助成率は、赤のライン。
 ・~60%: 90%
 ・60%~:100%
 
 そして、休業要請を受けた企業が100%支給すると、給与全体の助成率が100%まで上がり、会社負担はゼロとなります()。
 
 

(1)上限オーバー分は会社負担
 月額上限は、@\8,330×20日=166,600円
 この上限額は、最低賃金をイメージしています。
 パートならいざ知らず、社員全員が最低賃金の会社などあるのでしょうか。
 
 
(2)審査基準が厳格
 過去に一部のIT企業が、テレワークで営業しているにもかかわらず休業を装って不正受給した影響で、審査が厳しいままです。
 
 
(3)書類が煩雑
 ・計画書の提出が必要・・・全休で予定も立たないのに必要?
 ・事前の計画書の内容が非常に煩雑・・・いかにもお役所仕事
 ・同じ内容を何回も記入・・・ムダ
 ・全社員のサイン・押印が必要・・・休業しているのに?
 
 これらの点は若干簡素化される方向ですが、持続化給付金に比べるとまだまだ多い。
 また、書類は簡素化しても、審査基準自体を緩めないと何も変わらないのが、わからないのでしょうか。
 
 
(4)入金が数ヶ月先
 資金繰り上、大問題です。
 
 
(5)中堅・大企業向け
 1分単位の労働時間記録が無い会社が遡って作成すると、偽装したことになり、不正受給になります。
 仮にタイムカードで記録していても、タイムカード打刻時刻から始業時刻までの間の給与を支払っていないと、未払い残業代の話になってしまいます。
 
 このように、労働時間管理がきちんとできている中小零細企業など、ほぼありません。
 リーマンショックで当制度が機能したのは、労働時間管理ができている中堅・大企業だったから。
 とても中小零細企業向けの制度ではない、と言えるでしょう。
 
 
(6)日々、条件・要件が変わる
 今回のコロナ禍でまっさきに影響を受けたのは、飲食業・旅行業・ホテル業の中小零細企業。
 その中小零細企業に、中堅・大企業向けの制度を適用させようと、条件・要件をコロコロ変えても、現場が混乱するだけです。
 
 
(7)社会保険労務士の連帯責任
 いちばん問題なのがこの点。
 
 不正受給と判断され、補助金300万円を会社が返金すべきところ、既に支払いに充てたため、会社が返金できないとします。
 となると、社会保険労務士自身が返金しなければなりません。
 
 社会保険労務士が不正に加担していたとされると、その社会保険労務士が申請した他の30社の補助金もすべて返金しなければならなくなります。
 他の30社は、自分の不正行為でもないのに返金は到底納得できないため、連帯責任を負う社会保険労務士が返金を求められることになりかねません。
 
 専門知識が必要であり、プロのサポートを受けなければならないにもかかわらず、社会保険労務士からすると、とても怖くて引き受けることができず、「一見さんお断り」となってしまうのです。
 かくして、社会保険労務士難民が発生します。
 
 

 従来あった制度の延長で対応しようとしたのが、そもそも間違いの始まり。
 労働管理が正確に行われているのが前提の制度には、ブラックと言われがちな飲食業には不向きであるからです。
 
 コロナ感染対策用に、新たに助成金制度を作成すべきであるのは明らかでしょう。
 とはいえ、法案成立にまた時間がかかってはかなわないので、いまある制度での対応を考えてみましょう。
 
 
(1)心理的に当てにしない
 上記のように、問題だらけの雇用調整助成金。
 「受給まで1ヶ月、2020/05に始まる電子申請なら2週間を目指す」と加藤厚生労働大臣は言いますが、できるわけがないと、どの社会保険労務士も口をそろえます。
 管理ができている中堅・大企業で支給まで2ヶ月なら、管理が不備になりがちな中小零細企業では、支給に何ヶ月かかるか、わからないからです。
 ましてや短縮なんて、というわけです。
 できるだけ当てにせず、もし支給されたら棚ぼた的にラッキーと考えるべきでしょう。
 
 
(2)自分で制度の目的・概要を理解し、書類を作成してみる
 プロの力を最終的に借りなければいけないとしても、人事面はいつの時代も、経営の最重要課題の1つ。
 売上が立たない今なら、割く時間はあるはずです。
 自分で作成してみることで、労働基準法の概念がわかり、学ぶことは多いことでしょう。
 
 
(3)引き受けてくれる社会保険労務士を探す
 日頃から顧問としてお願いしている会社なら問題ありませんが、社会保険顧問がいない会社は、『難民』になっています。
 しかし、悲鳴を上げている会社に一肌脱ごうとする社会保険労務士は、数少ないですが、いるのも事実。
 引き受けることができるかどうかは、そのときの社会保険労務士のキャパシティ余裕度にかかっているため、確約はできないものの、一肌脱ごうという社会保険労務士を紹介できますので、ひと声おかけください。
 
 
(4)休業ではなく、業態転換などを検討する
 最も大事な点がココ。
 紙幅がないため、後述します。
 
 

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M One News 20-30           2020/05/03 コロナ休業協力金(山形県)の概要とポイント

 
 山形県でも休業協力金の申請がスタートします。
 https://www.pref.yamagata.jp/ou/shokokanko/110001/keieishienkin.html
 
 詳細は2020/05/07(木)に公表されるようですが、その概要とポイントは以下のとおりです。
 
 

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、県からの企業等の活動の自粛要請に協力する県内事業者に対し、新型コロナウイルスを乗り越えるための経営改善の検討に対して支援金を交付
 
 

 県の営業自粛要請に応じ、施設の休業・夜間営業自粛(飲食店)等を行った事業者に対し、
 ・法人、事業を賃借している個人 :20万円
 ・個人 :10万円
 を支給。
 
 

 2020/05/11(月)~
 
 

 ・申請書
 ・営業実態確認資料
 ・賃貸借契約書
 ・自粛確認資料 ex. HP、張り紙
 ・通帳コピー(振込先口座把握のため)
 
 

(1)大法人でも支給対象
 
 
(2)本社が県外でも、県内に施設があれば、支給対象
 
 
(3)2020/04/25(土)~5/10(日)の全期間を営業自粛したときのみ、対象
 
 
(4)飲食店の夜間営業自粛の時間帯は、20:00~
 
 
(5)複数店舗ある場合は、全店舗が営業自粛することが必要
 
 
(6)営業自粛に加え、経営存続に向けて改善を検討することが要件
 具体例として、山形県HPでは、以下が挙げられています。
 ・新たなメニュー・サービスの検討
 ・店舗レイアウトの検討
 ・テイクアウト、デリバリー等の取組みの検討
 ・県産食材の利用拡大の検討
 ・キャンペーン開催の検討
 
 

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M One News 20-29           2020/05/03 コロナ休業協力金(神奈川県)の概要とポイント

 
 東京都に次いで、神奈川県でも休業協力金がスタートしています。
 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/jf2/coronavirus-kyoryokukin/index.html#
 
 詳細は上記HPを参照してください。
 その概要とポイントは以下のとおりです。
 
 

 新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するため、県の要請や依頼に応じて、休業や夜間営業時間の短縮に協力した中小企業、個人事業主に対し、協力金を交付
 
 

 ・県の休業要請・夜間営業時間短縮要請等に協力していること
 ・2020/04/10以前から開業し、営業の実態があること
 ・2020/04/24(金)~ 5/6(水)までの全期間を休業 or 営業時間短縮
 などの交付要件に該当する中小企業・個人事業者に対し、以下の金額を支給


 2020/04/24(金) ~ 6/1 に、電子申請 or 郵送申請
 
 

 申請から2~3週間程度で、2020/05/上~
 
 

(1)食事提供施設とその他のどちらに分類されるかで、交付要件や必要書類が変わる
 

(2)飲食店がテイクアウトに切り替えても、対象
 3密につながる店舗での営業を、休業 or 時間短縮とすれば、対象になります。
 
 
(3)家賃が協力金の金額未満でも、支給される
 
 
(4)フリーランスは対象外
 施設を運営していないため、対象外。
 
 

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M One News 20-28           2020/05/10 コロナ休業協力金(千葉県)の概要とポイント

 
 次は千葉県。
 https://www.chiba-shienkin.com/
 詳細が決まりましたので、概要とポイントをアップデートします。
 
 

 ・3つの「密」の防止
 ・飛沫感染・接触感染の防止等の感染症予防対策
 ・休業した事業者の営業再開に向けた周知
 ・感染予防のための設備や消耗品類の整備
 ・テナント料の負担             など
 を総合的に支援するため、売上が大幅減の中小事業者に対し、支援金を給付
 
 

 2020/01~07に前年同月比で売上が△50%以上減少しているなどの 7要件を満たす中小企業・個人事業者に対し、以下を支給

                                             

 
 7要件はこちら。
 https://www.chiba-shienkin.com/requirement.html
 
 休業要請業種はこちら。
 https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfuku/kansenshou/ncov/soti-7.html
 飲食店は入っていません。
 
 

 2020/05/07 ~ 8/31に、オンライン申請 or 郵送申請
 (注1)オンライン申請は、2020/05/11~
 
 

(1)申請ミスに注意
 他の都道府県に比べると、支給要件が細かく、申請書類も12種類と群を抜いて多いと感じます。
 こうあるべきと役人が細かくしたのでしょうが、申請書作成ミスにつながることが容易に予想できますね。
 
 申請書類が多ければ多いほど、審査もどんどん細かくなっていくのは必定。
 結果、支給の遅れにつながり、中小零細事業者を救済という本来の目的を果たせないのではないかと心配になります。
 
 
(2)支給は遅れがち?
 上記のとおり、審査に時間がかかることが予想できます。
 資金繰り上、あまり当てにせず、早く入金されればラッキーと考えておいたほうがいいでしょう。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-27           2020/04/30 コロナ休業協力金(埼玉県)の概要とポイント


 
 東京都同様、埼玉県でも休業協力金の制度ができています。
 正式名称は「埼玉県中小企業・個人事業主支援金」といいます。
 http://www.pref.saitama.lg.jp/a0801/koronashien.html
 
 詳細は上記をご参照願います。
 補正予算成立後に詳細が決定されますが、現段階の情報でまとめた、概要とポイントは以下のとおりです。
 
 

 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、厳しい経営状況に置かれている県内中小企業・個人事業主の支援
 
 

 2020/04/08(水)~5/6(水)のうち7割(20日間)休業した中小企業・個人事業主に、20万円(複数店舗は30万円)支給
 
 

 2020/05/07(木)~
 (注1)詳細は、補正予算成立後に前述HP上で案内
 
 

(1)電子申請のみ
 郵送は例外的にOK。
 窓口での申請は不可。
 相談も極力控えてくださいとのこと。
 
 
(2)日数換算
 ・デリバリー・テイクアウト :0.5日換算
 ・売上ゼロの日 :1日換算
 ・営業時間短縮 :0.5日換算
 
 
(3)テレワークは休業にならない
 来客がいなくても、テレワークしていれば、営業していることになります。
 
 
(4)業種限定無し
 
 
(5)フリーランスも対象
 
 

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M One News 20-26           2020/04/30 持続化給付金の概要とポイント


 2020/04/27、経済産業省から持続化給付金の申請のガイダンスが公表されました。
 
 いつからの申し込みになるのかはまだ確定していませんが、今日2020/04/30、補正予算が成立し、明日2020/05/01からの申込みになる方向です。
 https://www.meti.go.jp/covid-19/jizokuka-kyufukin.html
 
 概要とポイントは以下のとおりです。
 
 


 コロナ感染拡大で、売上減少・営業自粛等により、特に大きな影響を受ける事業者に対し、事業の継続を支え、再起の糧とする。
 
 


 コロナウイルスにより、2020/01~4の前年同月比で売上が50%以上減少した月がある事業者に対し、売上減少1年分(前年売上合計-50%以上減少月の売上×12)を支給(Max:法人200万円、個人100万円)。
 
 


 2020/05/01(金)(予定)~ 2021/01/15(金)
 
 

(1)Web申請
 コロナ休業協力金(東京都)と同様、Web申請が基本(紙申請も可)。スマホでも申請可能です。
 
 
(2)必要書類は3点のみ(個人事業者は4点)
 ・前期申告書
 ・50%以上減少した月の売上台帳等
 ・通帳コピー
 ・身分証明書(個人事業者のみ)
 
 
(3)速い!
 2週間程度で給付通知書を発送し、口座に入金。
 想定とは言え、「2週間」と言及しているということは、かなり現場に人員をそろえているのでしょう。
 
 必要書類がシンプルなのも、審査作業を早くできる原因です。
 「スピード感を大事に」と麻生財務相が述べていたとおりです。
 
 
(4)△50%以上の売上減少月の選定は任意
 2020/01~4の中から選ぶ売上減少月は、事業者の任意に任されています。
 したがって、なるべく多くの売上減少が発生している月を選んだ方がトク。
 ほとんどの事業者は2020/03よりも2020/04の方が売上減少となっているでしょうから、2020/04売上集計後、申請することになるでしょう。
 
 外出自粛要請が2020/05/06で終わらなさそうであることを考えると、2020/04はまだ売上もそこそこあり、2020/05の方が減少額は大きそうだと、事業者によっては予想できるかもしれません。
 その場合は、2020/06に申請してください。
 
 もっと言うと、2020/01~12の中で選ぶのが、最も受取額は多くなります。
 もっとも、財布と相談しながらですが・・・。
 
 
 「2週間で入金」されるなら、資金繰り予定もしやすいはず。
 慌てるあまり、受取総額が減ってしまわないよう、ご注意ください。
 
 

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M One News 20-25           2020/04/29 家賃引下げ覚書ひな形


 国土交通省から、賃料減免の覚書が示されています。
 
 これは、2020/04/01に国土交通省がビルの所有者などの不動産関連団体に、賃料支払い猶予などの柔軟な対応を要請したことを受け、国土交通省の2020/04/17の事務連絡で示されたものです。
 
 M One News「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④」で、家賃引き下げに成功しても、文書を取り付けるのは、大家の心理上、難しいのではないか、とコメントしました。
 
 ですが、大家との合意を証拠に残しておくという点で、書面化できるのであれば、それに越したことはありません。
 
 


 税務上も、契約外で行った経済的価値移転(贈与)は寄付金扱いされるのが原則のため、(特に大家側は)あったほうがベターでしょう。
 寄付金扱いされると、ほとんど損金に落ちないということです。
 
 つまり、家賃が100を70に減らした場合、大家の売上(賃貸料収入)が70というのが、常識的な感覚ですよね?
 ですが税務上は、売上100&寄付金△30と考え、寄付金の損金枠はあまりないために、家賃減免に応じたのに税金が高止まり、という到底納得できない状態になるのです。
 
 大家がテナントに対し、既に発生済みの賃料の減免(債権免除等)を行う場合も同様です。
 
 税務署が書面を確認することもあるので、書面化しなかった場合は、その経緯(話し合いの日付・内容等)をメモしておいてください。
 
 


 あくまで一例なので、個別の合意内容・状況等に応じて、適宜編集してくださいね。
 
 

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M One News 20-24           2020/04/27 コロナ休業協力金


 2020/04/22から始まった、東京都のコロナ休業協力金の申請受付。
 正式名称は「東京都感染拡大防止協力金」といい、東京都が2020/04/10に緊急事態措置の一環として発表しました。
 https://www.tokyo-kyugyo.com/
 
 
詳細は上記にアクセスすればわかりますが、その概要とポイントは以下のとおりです。
 
 

 コロナ感染拡大防止対策で、東京都が実施した緊急事態措置(休業要請)への協力に報いる
 
 

 中小企業・個人事業主に50万円(複数店舗は100万円)支給
 
 

 2020/04/22(水)~ 6/15(月)
 
 

(1)オンライン申請がおススメ
 申請は、オンラインと郵送の両方がありますが、オンラインの方がおススメです。
 理由は、速い!
 それに尽きます。
 何しろ、写メでいいのですから。
 受付側も、紙でドサッと届くよりは、処理しやすいことでしょう。
 
 
(2)必要な休業期間は、2020/04/16~5/6
 1日でも欠けると、受け取れません。
 ただし、飲食店は営業時間短縮でOK。
 
 
(3)専門家の事前確認があれば、スピード受給を期待できる
 申請が殺到するであろうことは容易に予想できますが、資料不足多数もまた予想でき、受給がどんどん遅くなりかねません。
 しかし、第三者の目を通すことで、資料が1回できれいにそろう確率が高くなり、スピード受給が期待できます。
 
 しかも、専門家には東京都から直接支払われるため、申請者は立替えすら不要!
 「専門家」とは、具体的には
 ・青色申告会
 ・税理士
 ・公認会計士
 ・中小企業診断士
 を指します。
 
 
(4)許認可
 飲食店など許認可を要する業種の場合、許認可証コピーも必要です。
 
 
(5)緊急事態措置時点の営業実態がわかる資料とは
 必要資料リストには、直近の申告書に加え、「直近の月末締め帳簿」と記載してありますが、これが複式簿記による正式な帳簿であると、スピード支給の目的を達成できません。
 緊急事態措置前の実態を表す資料なら、前月の売上の総勘定元帳で十分と思われます。
 
 

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M One News 20-23           2020/04/26 エリザベス女王演説

 ますます困難な日々を過ごしている皆さんに語りかけたいと思います。
 
 現在、コロナウイルスにより、多くの悲しみがもたらされ、多くの人々が経済的な困難に直面し、私たちの生活に多くの変化が起こっています。
 
 そのような状況下でまさに不可欠な役割を果たしている人々に、感謝の気持ちを伝えたいと思います。
 
 医療の最前線にいる国民保健サービスの職員の皆さんは、私たちのために日々、家を離れて献身的な働きを続けてくれています。
 
 皆さんの懸命な働きのおかげで、ふだんの生活を取り戻す方向に向かうのだと、全ての国民がきっと、私と同じ感謝の気持ちを抱いているはずです。
 
 そして、自宅にいる人々にも、感謝を伝えたいと思います。
 自宅に留まっていることで、多くの弱い人々を守ることにつながりますし、愛する人を失った家族が受けた苦しみを他の人々が受けずに済むからです。
 
 私たちは皆、一緒にコロナウイルスと闘っています。
 私たちが団結し、毅然として現状に立ち向かうのなら、必ずやこの危機を克服できるでしょう。
 ですから、皆さんに安心していただきたいのです。
 
 そしていつか、この困難をいかにして乗り越えたのかを、皆が振り返り、誇りに思う日が来ることを願っています。
 私たちの後の世代の人々から、この世代の英国人も、他のどの世代の英国人にも負けず劣らず、とても強かったと言われるように。
 
 自制心や、もの静かだが快活な精神、強い連帯意識といったものは、いまなお我が国民の特徴です。
 私たちが私たち自身に感じているこうした自尊心は、単なる過去の一部ではなく、私たちを方向付け、現在と未来を形作っていくものなのです。
 連合王国がひとつとなって医療・介護従事者たちに拍手を送ったできごとは、この国の精神の象徴として記憶されるでしょう。
 
 現在、英連邦の国々や世界中のあらゆる場所で、人々が力を合わせ、他の人々を助けるという感動的な光景を見ることができます。
 食べ物や医薬品を届けてあげたり、隣に住む人を気遣ったり、事業内容を救援活動に変えたり、というふうに。
 
 外出自粛は、ときにつらいものです。
 しかし、信仰の有無にかかわらず、多くの人が気づいているはずです。
 急ぐのをやめ、ゆっくり落ち着いて祈りや瞑想をすることが、人生について立ち止まって考える良い機会になるのだと。
 
                  (中略)
 
 私たちは過去に何度も困難に直面してきましたが、今回は違う点があります。
 それは、医学の目覚ましい進歩とお互いの思いやりを武器に、他の国々と一緒に困難に立ち向かっているという点です。
 
 私たちは成功するでしょう。
 そしてその成功は、私たち全員1人1人のものになるでしょう。
 
 耐えるべきことはまだありますが、より良い日々が戻ってくることを、心の支えにしましょう。
 きっとまた、友人や家族に会えるでしょう。
 
 私もまた皆さんにお会いします。
 それまでどうぞお元気で。
 
 (英エリザベス女王(93歳)、2020/04/05)
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-22           2020/04/08 コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?④

 M One News No.20-18「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?②」で、売上を回復させるよりも固定費を下げた方が効果的であることを、
 M One News No.20-20「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?③」では、役員報酬の下げ方を、
 お伝えしました。
 
 固定費はそれでいいのですが、事業存続の観点からは、キャッシュフローを最優先で見ていく必要があります。
 
 キャッシュアウト要因は一般的に、固定費以外に借入返済があるので、要約すると3つに絞られます。
 それは、人件費・家賃・借入返済です。
 
 それぞれの対応をまとめたのが、以下の表。

 
 ある社長は、税務顧問と社会保険顧問以外の全契約を解約したうえで、家賃交渉に入りました。
 ぜひその果敢な決断を見習って、生き延びることに焦点を置いてください。
 くれぐれも、根拠のない希望的観測にすがらないようにしましょう。
 
 そして、最悪を想定しつつ楽観的に行動する。
 口を酸っぱくしても、まだ言います。
 
 

 2020/03/27に助成率が67%から90%(中小企業)にアップした雇用調整助成金。
 社員雇用維持に使わない手はありません。
 
 https://www.cpa-murata.com/tkc-corona
 上記一覧のうち、Ⅰ雇用の維持-1 です。
 
 かいつまんだのが、以下。


 ポイントは、後から入金する点。
 社員の生活保障で給与を支払う財源としては、当てにできないということです。
 
 キャッシュフロー上、ご注意願います。
 
 

 特別なポイントがあるわけではありません。
 あえて言えば、必死さが最大のポイント。
 
 つまり、人が集まるビジネス(具体的には、M One News 20-15「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?」参照)では、誰が見ても、売上激減が予想できます。
 
 ということは、大家も予想できるということ。
 
 特に、飲食店・旅行業・ホテル業・学校への納入業者の窮状は、繰り返しTV等で放映されていますから、大家の心理的下地は整っています。
 後は、テナント側の必死さだけです。
 
 
 ひとつ頭に入れておいた方がいいのは、大家の財務事情。
 つまり、大家に借入金がある場合、その返済財源に不動産賃貸収入を考えているはず。
 
 したがって、不動産賃貸収入が減れば、借入返済が不足することになります。
 借入金がある大家とない大家とでは、交渉のスムーズさも違うであろう、ということです。
 
 大家の立場からは、もしテナントが倒産すれば、家賃収入はゼロになってしまうから、ゼロよりは少しでもあったほうがいいはずです。
 
 ただこれは、テナント側の論理。
 振りかざさないように注意してください。
 
 支払猶予ではなく、家賃引き下げに成功した例では、2割、多くて5割という結果報告をいただいています。
 文書ではなく、口頭で取り付ける方が、引き下げへの抵抗感は少ないでしょう。
 
  

 通常、借入返済のリスケジュールでは、返済延期によって返済が確実化できるかが問われ、それに沿って事業計画を作成します。
 
 ただ今回のコロナでは終息の兆しが見えず、返済の確実化は約束できません。
 そのため、コロナにおける返済リスケジュールのポイントは、生き延びる点に焦点を置いて、説明資料を作成していくことになりましょう。
 
 どんな大胆な手を打って生き延びようとしているのか、その姿勢しか融資先は見ることができません。
 同情の下地がある点は、家賃交渉時と同様です。
 
 果断と必死さ。
 頑張ってください。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-21           2020/04/08 コロナウイルスによる外出自粛時のメンタル面のポイント

 最近トンと聞かなくなった「ウサギ小屋」。
 日本の住宅の狭小さを揶揄する言葉でした。
 
 現在はブタ小屋くらいには大きくなっているはずですが(笑)、それで閉じ込められ感が減るわけではありません。
 
 
 そこで参考になるのが、米宇宙飛行士ニック・ヘイグ氏の話。
 
 ニック・ヘイグ氏は、国際宇宙ステーション(ISS)で204日間、過ごしました。
 滞在中、ISSは地球を3000回転以上周回したそうですが、いくら壮大な風景でも、3000回も観れば、飽きるでしょう。

 
 彼は言います。
 
「毎日のルーチンをすること。
 予定を組んで、それを守ること。
 1日の過ごし方を自分で決め、自分自身をコントロールすること。
 そのうえで、元気を取り戻すことは何か、考えてみる。
 具体的には、日常から逃げ出す。
 私の場合、映画を見て気分転換する、誰かとつながることだった。
 家族や友人とTV会議をしたり、仕事のプロジェクトに取り組んだりするのも、効果的。
 ぜひ皆さんも、私の経験を踏まえて、自分をコントロールしてほしい」
 
 そう語る彼の顔は、晴れ晴れと快活そうで、とても家に閉じこもっている顔ではありませんでした。
 
 言葉よりも表情が非常に印象的で、バーバル・コミュニケーション(言葉による伝達)より、ノンバーバル・コミュニケーション(言葉以外の伝達)の方が伝達力が高いのを、改めて思い知らされた気がします。
 
 ISSにおける居住スペースはクローゼットほどの広さしかなかった、ニック・ヘイグ氏。
 日本だけでなく、世界の人々の参考になるのではないでしょうか。
 
 

 これはメンタル面ではありませんが、もう1つ注意点が。
 
 閉じこもると、どうしても運動量が落ちるため、免疫力が低下していき、感染しやすくなるという悪循環に注意する必要があります。
 自分で筋力維持を心がけなければなりません。
 
 特に高齢者は、寝たきり2週間で7年分の筋肉を失うのだとか。
 ある介護ヘルパーによれば、椅子に座り足を上下動するだけで、かなり衰えをカバーできるそうですよ。
 
 ご参考までに。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-20           2020/04/07 コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?③

 M One News No.20-18「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?②」で、役員報酬は業績悪化が顕在化しなくても下げられるとお伝えしました。
 原則ゼロでいいと思いますが、M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で触れたとおり、長期的視点も持たなければならないのも、また事実。
 
 では、どのくらい下げられるのでしょうか?
 
 最初に考えるべきポイントは、社会保険。
 役員報酬ゼロだと、社会保険加入とは言えませんので、社会保険加入が途切れてしまうことになりかねません。
 そのため、実務上は数万円の役員報酬を設定することが多いようです。
 
 2点目のポイントは、生活費です。
 長期的視点を持つということは、生活費分だけCash収入がないと、貯金を取り崩ししなければならなくなります。
 短期で終息するならともかく、もし長期にわたってコロナウイルスが猛威をふるい続けるのなら、貯金取崩しもそうそう持ちません。
 したがって、生活費から逆算して役員報酬金額を設定するのが現実的と言えるでしょう。
 
 

 オーナー代取だけなら、自分の分だけを考えれば済むことですが、他に第三者の役員がいる場合は、そうもいきません。
 その場合、一律ではなく、地位に応じて下げ幅を決めるべきでしょう。
 
 参考になるのが、東日本大震災時に多く策定されたBCP。
 BCPとは、Business Continuity Planの頭文字で、事業継続計画のこと。
 
 このBCPにおける役員報酬決定においては、セーフティネットとして機能させる観点から、生活費水準は保証しつつ、地位の上の人ほど下げ幅を大きくする手法が採られるのが一般的。
 もちろん、地位が上の人ほど、給与水準も高いという大前提がありますが・・・。
 
 

 英ジョンソン首相がICU(集中治療室)に運ばれたニュースが入ってきました。
 
 いままで国のトップとして、実際より元気を装わなければならなかったでしょうから、思ったよりも重症だった可能性があります。
 
 トップが倒れるということは、指令を出す権限者がいなくなるということですから、国の存亡に関わりかねません。
 実際、中世までの戦争は、それが発端になることもあったようです。そうでなければ、武田信玄が「3年死を秘すべし」と遺言を残すこともなかったでしょう。
 
 中小中堅企業にとっては、他人事ではありません。
 
 ではここで、経営者に2つの質問。
 

 
 東大医科学研究所などのアンケート結果(母集団11,000人)では 4割しか知らないので、知らなくても恥ではありません。
 
 いまからでも調べましょう。
 
 

 
 これが前述のBCP(事業継続計画)ですが、少人数になるほど、社長の役割が大きくなる傾向があるので、実際には難しいでしょう。
 
 とはいえ、難しい(=廃業リスク)と認識するだけでも、大きな一歩です。
 
 

 東日本大震災では、オーナー系は引き下げに応じるが、外資系は引き下げに応じないという傾向がありました。
 今回のコロナでもまた、繰り返されることでしょう。
 
 外資系が応じない傾向にあるのは、決定権が日本支社長にないためという事情もありますが、そんな事情はテナント側には関係ありませんからね・・・。
 
 

 国の行うIT導入補助金もいいですが、自己負担率は1/2。
 それに対し、何と100%助成され、自己負担率がゼロ!の制度があります。
 
 東京都が行う「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」がそれ。
 https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/03/05/27.html?_fsi=c6PWJEGJ
 
 地方自治体が行う支援まとめサイト J-Net21 の東京都から、たどることもできます。
 
 

 内容は、ルーター・パソコンなどの購入金額やサポート料、クラウドサービスの利用料まで100%、最大250万円まで助成されるというから、ずいぶん気前のいい制度と言えるでしょう。
 
 申込数は「想定数の20倍に達している」(小池都知事)とか。
 
 通常だともうクローズですが、外出自粛要請を強く呼びかける立場上、定数いっぱいと締め切ることは無いと思います。
 
 業種的に導入が可能であれば、この際、トライしてみるのはいいチャンスかもしれませんよ。
 
 

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M One News 20-19           2020/04/07 恐怖にどう反応するか

 コロナウイルスの最も怖いところは、底が見えない恐怖に人を追いやる点。
 恐怖心が理性を圧倒するところが、人間の本質であるためです。
 
 正常な思考は停止し、感情的な思考だけで処理をしてしまう・・・。
 具体的に、損害が見えるわけではなく、収束の兆しすらない中で、見えない敵が日常に潜む恐怖。
 
 不安になってつい点けてしまうTVやWebでは煽るニュースが多く、特にツイッターやYoutubeは煽り加減が大きい。
 そのため、パニックやデマが発生します。
 
 

 このように恐怖が理性を圧倒するのは、人間が2つの方法で情報に反応するからです。
 
 人間は、新しい情報に対し、感情優先で本能的に反応するよう、進化してきました。
 そして、最も強力な感情的記憶や認識に基づいて判断を下します。
 そのため、危険を実際以上に過大評価するのです。
 
 この思考プロセスを、ノーベル賞受賞者の認知心理学者のダニエル・カーネマンは、「速い思考」と呼んでいます。
 直感システムと言ってもいいでしょう。
 無意識で、素早く、感情的で、その人の経験やイメージで、大きく揺れ動きます。
 
 2つめは、事実を探求し、理性で判断しようとする「遅い思考」(ダニエル・カーネマン)。
 分析システムとも言います。
 自己を現実に適応させるために働きかけ、論理的で、慎重で、現実的です。
 
 この2つのシステムのどちらが優先されるかは、状況次第。
 
 ここで、ある問題を考えてみましょう。

 最初に出した答えが100円なら、答えているのは直感システムです。
 その後、考え直して、正しい答え(50円)にたどり着いたなら、分析システムが働いたことになります。
 
 直感システムは高速で動くため、たとえ虎が喉元めがけていきなり飛び掛かってきても、瞬時によけて助かるかもしれません。
 
 しかし、直感システムは答えを間違えることもあります。
 そしてそこにこそ、真実があるのです。
 
 

 ですが一般に、感情は理性よりも強力です。
 私だけでなく、皆さんにもその経験はおありでしょう。
 
 国家も例外ではありません。
 コロナ禍で最も重要な2ヶ国と言える中国と米国が、非難しあっているのを見ると、残念ながら、「遅い思考」よりも「速い思考」に走っていると言わざるを得ません。
 
 確かに米国も中国も、感染拡大の最も重要な初期行動で、適切な対応をしたとはとても言えないでしょう。
 
 米国CDC(米疾病対策センター)は、汚染された検査キットを全米に配布してしまい、テスト結果が陽性か陰性かわからなくなるという大失態を犯しました。
 
 一方、最初にコロナウイルスの警報を鳴らした医師をデマだと処分し、その後、情報改ざんしている中国に至っては、そもそも正しい情報が何かすらもわかりません。
 実際、中国は先日、無症状の感染者数を初めて公表しました。
 いままで感染者数の統計に入れていなかったというのです・・・。
 
 

 しかし、事実を直視し、体制を整えなくては、事態はひどくなるばかりでしょう。
 
 大規模災害対策では、CSCAが必須と言われます。
 ・Command & Control(指揮、統制)
 ・Safety(安全)
 ・Communication(情報伝達)
 ・Assessment(評価)
 
 前例がない中でいつどのように警報を鳴らすべきなのか、どのような優先順位をつけてリソースをどう振り分けるか、知識はあっても経験がない、活動計画・作業マニュアルを作りたくても時間がない、そんな状況の中でどう動くか・・・。
 
 そのような課題山積みの現場の状況を、東日本大震災やその後に続く原発危機を経験した日本では、誰しも聞いたことがあるはずです。
 
 

 人間はネガティブな情報に反応しやすいと言われます。
 何十万年にわたって培われてきた自己保存本能のなせる業です。
 
 その本能があるから生き延びてきたとも言えますが、パンデミックにおいては、足を引っ張ってしまいます。
 「速い思考」で、正しい行動が取れなくなるからです。
 
 現在、コロナ禍には収束の気配すら見えず、日本ではこれから起こる最悪の事態に、誰もが身構えています。
 そんな状況の中では、悪いニュースだけが目につき、感情が不安定になって、いわばジェット・コースターのように激しい高ぶりや落ち込みが起きかねません。
 
 
 したがって、次の2点を心がけたいものです。
 
(1)ニュースは信頼性のあるSourceを見る
 ・ジョンズ・ホプキンズ大学
 ・東京都        など
 メディアのニュースには、主観が入っていることが多く、知らず知らずのうちにそれに左右されてしまうから、避けたほうがいいでしょう。
 
 
(2)メンタル面でニュートラルを意識する
 ニュースを見る前に、マインドフルネスを心がけましょう。
 朝、起きぬけにTVを付けるのは最悪です。
 無防備な状態で悪い主観を植え付けられないからです。
 
 ニュースを見る時刻を決め、能動的にニュースを見に行く。
 受動的にニュースを見るのは避けましょう。
 
 特に子供は、何の備えも無いから、要注意。
 親は、ながらTVをしないように、注意しましょう。
 
 

 経営者は、不安感を外に出すべきではありません。
 どっしり構えて、行動するときは素早く手を打つ。
 社員に広がりがちな動揺や不安感は早めに払しょくすることをこころがけてください。
 
 

 緊急事態宣言は2020/05/06まで実施されますが、実施期間が終わったら、コロナ禍が自動的に終息するわけではありません。
 外出自粛は感染拡大を抑えるために実施するだけで、それで終息する根拠は何もないのです。
 
 個人的には、何回も感染の波を繰り返す可能性が高い気がします(M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」)。
 根拠のない希望的観測にすがるのはやめましょう。
 
 
          自分をコントロールして、事実のみを知り、
          理性を働かせ、正しく怖がるのがポイント
 
 

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M One News 20-18           2020/04/03 コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?②

 報道されている街の声を聞いていると、全般的に若者ほど危機意識がないようです。
 いまだに人が多い原宿竹下通りを見ると、実感します。
 どの国でもそうなので、年齢に伴うものなのでしょう。
 若さの特権というわけです。
 
 危機意識を植え付けることが最もなすべきことだと考えれば、
・アナウンスの繰り返し
・外出先候補の閉鎖
が採るべき手段でしょう。
 
 因みに、東京都はキャバレー・ナイトクラブ・バー・酒場を名指ししましたが、ゲームセンター・パチンコ店も加えないと、片手落ちです。
 
 (現時点ではなされていない)緊急事態宣言を出せば、若者に対しても危機意識を高められます。
 そのうえで、ピンポイントで閉鎖指示を出していく。
 若者でも重篤化してICUに入っているニュースも流れているので、相まって効果的でしょう。
 
 

 M One News 20-15「コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?」で、お伝えしたポイントはこちら。
 
・短期的視点だけでなく、長期的視点も持つべき
 
・次の3点の行動を取るべき
 ・キャッシュポジションを厚めに
 ・流動性を高めに
 ・固定費を減らす
 
 以下、もう少し突っ込んで説明します。
 
 

 原則として、キャッシュポジションを厚めにするという観点から、内部資金取崩しよりも、外部資金調達を優先すべきでしょう。
 具体的には、公庫特別貸付やセーフティネット貸付です。
 
 内部資金吐き出しとしては、預金解約以外に、保険積立金解約があげられます。
 
 保険には、保障目的と貯蓄目的とがありますが(あえて節税目的とは言いません)、過去に貯蓄目的で、がん保険や逓増定期保険に加入した企業も多いことでしょう。
 赤字が見込まれるなら、解約して、解約益と赤字をぶつけることで、結果的に無税でCashが手に入ることになります。
 
 実質返戻率がピークを過ぎた保険も同様。
 もし、まだ実質返戻率が低ければ、解約返戻金を担保に借り入れる契約者貸付で、資金調達するのもいいでしょう。
 
 

 次は、固定費削減について。
 
 特に、現金商売は、固定費が高めであることが多いと言えます。家賃しかり、人件費しかり。
 設備産業も同様です。
 
 仮に、売上が8割減だとします。
 貸付けよりも助成金をという悲鳴があがっていますが、コロナ禍が長期化するなら、売上ダウン補填よりも、固定費削減の方が現実的。
 
 そして、固定費で最も大きいのは、人件費と家賃。
 まずは、大家との家賃交渉から始めるべきでしょう。
 
 国交省が不動産業者に柔軟対応要請しましたが、あくまで支払猶予。
 削減までこぎつけられるかどうかは、交渉にかかっています。
 それに成功しても、人件費にも手を付けなければならないかもしれません。
 
 ただそれでも、ホテルなどの設備産業は厳しいと思われますが・・・。
 
 現金商売は、支払よりも入金の方が先だから、日頃は資金繰りが楽なはず。
 それが、今回のコロナ禍で入金がストップすると、1ヶ月後の支払時に、途端に資金繰りに窮することになります。
 
 支払には、経費だけでなく、借入返済も含まれることは言うまでもありません。
 借入返済のリスケジュールも含め、即座に行動を起こさないと、1ヶ月後に倒産に直面するから、早め早めの行動を心がけたいものです。
 
 

 自社倒産はもちろん、コロナによる倒産にも巻き込まれないように気をつけなければなりません。
 
・売掛金が多額な取引先
・売上比率が大きい取引先
については、特にその取引先の動向に目を光らせてください。
 
 社長や経理担当者が暗い顔をしていたり、行方不明になる時期があれば、それは危険信号と言えるでしょう。
 
 

 コロナ禍で、役員報酬を下げられるのでしょうか?
 健全な経営責任意識を持つ経営者なら、真っ先に考えることでしょう。
 
 税務上、認められているのは、資金繰りがひっ迫しているときのみ。
 役員報酬から税金を差し引かれて受け取っても、会社を維持するために、また会社に入金するのであれば、資金を回しているだけで、税金だけを支払うことになりかねないからです。
 
 他にも、役員として社会的な責任を果たすために、減俸するパターン。
 減俸する客観的理由があり、詫び状やプレスリリースなど外部に知らせている事実があれば、認められます。
 
 
 したがって、資金繰りがひっ迫すれば、役員報酬ダウンが認められますが、では、このコロナ禍で業績悪化した場合はどうでしょう?
 
 まず注意しなければならないのは、業績悪化=資金繰りひっ迫とはならない点。
・他に不動産賃貸収入があり、資金繰りがひっ迫しない
・もともとCashを潤沢に保有している
 これらのケースでは認められない(課税される)と思われます。
 
 では、コロナ禍で近い将来、資金繰りひっ迫が確実に予想できる場合は?
 
 これは意見の分かれるところ。
 法律上はダメです。
 ただ、リーマンショック超え確実の未曽有の事態になりつつあるから、将来の確実な資金繰りひっ迫に備えて、役員報酬をあらかじめ下げておくのは認められると、個人的には考えます。
 
 ここでの留意ポイントは、税務調査が後出しジャンケンであるという点。
 予想どおり資金繰りひっ迫になればまだしも、コロナ禍の急速な終息などで、資金繰りひっ迫にならなかった場合は、税務トラブルに発展するリスクが高いと言えます。
 
 そこを踏まえて、経営判断する必要があるのです。
 それでも、倒産よりはマシというのが、個人的見解です。
 
 

 https://www.cpa-murata.com/coronavirus
 
 こちらに支援策をまとめてありますが、一般的な中小企業・中堅企業では、以下の優先順位となるでしょう。
 Ⅱ1 公庫融資
 Ⅱ3 セーフティネット
 Ⅰ1 助成金
 Ⅳ2 納税猶予
 
 第1波への対応は、これで何とかしのぎたいものです。
 
 

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M One News 20-17           2020/04/03 コロナ感染の終息はいつ?②

(1)ひととおり蔓延したとき
 M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で触れた「集団免疫」。
 それを感覚的につかめる動画がありました。
 
 https://imgur.com/a/8M7q8

 
  
 また、M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」では、終息するときとして
・ひととおり蔓延したとき
・ワクチンが供給されたとき
の2点を挙げましたが、もう1点ありました。
 
 
(3)ウイルスが変異したとき
 ウイルスが変異して、感染力が落ち、終息に向かうことは、ありうることのようです。
 
 ただ、これに期待するわけにはいきません。
 変異するということは、せっかく開発したワクチンへの耐性がつく可能性があるからです。
 そうなると、終息時期はもっと延びます。。
 
 実際、国連のグテーレス事務総長は「途上国で数百万人が感染すれば、ウイルスが変異し、ワクチンが効かなくなる」と、国連加盟国に財務支援を要請しています。
 
 

 ジョンズ・ホプキンズ大学によれば、地域感染はイラクを中心とした中東だけでなく、中南米やアフリカにも拡大しつつあります。

 2002年秋~2003年春に流行したSARSは、ワクチンが開発される前に終息しましたが、その理由はよくわかっていないそうです。
 検疫と隔離という昔からの手法が封じ込めに成功した理由なのか、それとも暖かくなって不活発化して終息したのかが、わからないのです。
 
 「暖かいところでは、SARSと類似するコロナウイルスは活発化しない」という仮説は、上のMapを見る限り、当てはまらないことになります。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-16           2020/04/03 感染爆発の怖さ

 NewYorkの集中治療医の、医療崩壊に直面している悲痛な叫びを聞いていて、特に印象的だったのが「いまの東京は、3週間前のNYと同じだ。本当にあっという間だった」。
 
 実際、感染者数の爆発カーブは、昔、習った指数関数をほうふつとさせます。
 そのため、何十年前の高校数学を思い起こし、Excelでシミュレーションしてみました。
 使った数字は、感染率と累乗のみ。
 
 

 コロナの感染率は、2.5だそうです。
 
 右図の真ん中の赤い人が感染者を表し、そこからうつる割合を、周りの人の赤化状況で表しています。
 
 因みに、インフルエンザの感染率は1.5。
 コロナと同じウイルス群のSARSは3.5。
 エボラ熱は、2.0。
 
 したがって、SARSよりは低いが、インフルエンザやエボラ熱よりも、コロナの感染率は高いことになります。
 
 この感染率2.5に、外出自粛率として調整率を掛け、1日ごとにその率で広がるものとし、表を作成してグラフ化。
 

 
 結果は、26日あたりから増え始め、あれよあれよという間に爆発的増加。
 右上の実際のコロナ感染者数グラフと、何と酷似していることでしょう。
 爆発的に増えてから対応するのでは遅く、初動の対応こそが大事ということを教えてくれます。
 
 因みに調整率は、オレンジが△2.5%で、グリーンが△5%。
 非常に興味深いのが、2.5%減らすだけで感染者数が半減し、5%減らすだけで4分の3も減らせるという点。
 
 

 感染率を抑えるためには、現在、外出自粛しかありませんが、ちょっと心がけるだけで、これほど異なるのです。
 発症率・致死率が同一と仮定すると、感染者数と死者数は比例します。
 
 いつの間にか感染し、無症状 or 軽症の保菌状態で人にうつしていってしまう。
 ちょっとした「ま、いいか」という自分の気の緩みで、どこかで誰かが死ぬかもしれないのです。
 
 

 感染経路がわかっている人数は、脅威ではありません。
 検疫と隔離という対策を取ることができ、封じ込めが可能になるからです。
 
 怖いのは、感染経路が不明な感染者。
 東京都の感染経路不明人数はこちら。

 諸外国の増え方を見るにつけ、抑えることができているとは思いますが、着実に増えているので、いつ感染爆発してもおかしくない状態です。
 怖いですね。。
 
 

 感染者数が爆発的に増えていたのに、抑えることができた韓国。

 https://ourworldindata.org/grapher/covid-confirmed-cases-since-100th-case?country=KOR
 
 M One News 20-14「コロナ感染の終息はいつ?」で、濃厚接触者追跡と娯楽施設閉鎖というシンガポールの対策を紹介しましたが、韓国でもほぼ同様な対策を実施しています。
 
 それは、感染者や濃厚接触者の徹底追跡と、大量の検査件数、そしてデータベース公開の3点。
 
 韓国では、入国時の空港においてスマホにGPSアプリを全員インストールすることが義務付けられており、それによりGPS追跡が可能になるだけでなく、陽性隔離中の健康情報を報告できます。
 検査を大量に実施し、仮に陽性者が出れば、隔離。そのうえで、陽性者発生地域に住む人のスマホに警告音で通知。
 クラスターが発生すれば、濃厚接触の場所をデータベース上で公開、誰でも自分は濃厚接触したかどうかを調べることが可能になっています。
 
 全土に網羅された800万台の防犯カメラ映像、クレジットカード利用履歴も組み合わせ、感染者や濃厚接触者を徹底的に追跡し、データベース化して、国民に公開しているのです。
 プライバシーを侵害しかねませんが、非常に効果を上げているのは事実です。
 
 中国も同様のカーブで感染者数を抑えられているように見えますが、情報操作がなされているのは明白と言われていますので、あてにはなりません。
 
 もしかすると韓国は、感染爆発(オーバーシュート)が発生しながらも抑えることができている、現時点では唯一の国かもしれません。
 
 

 もちろん、日本ではこのまま感染爆発が無く、抑え込めることができるのが一番なのですが・・・。
 
 それもひとえに、
 ・一人一人が外出自粛の意味合いを正しく理解して実施するか
 ・感染経路を徹底的に追跡できるか
 にかかっていると言えましょう。
 

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M One News 20-15           2020/03/30 コロナ感染の影響と経営者の取るべき行動は?

 人が集まることを前提としたビジネスには、短期的に大きなダメージとなります。
 
 具体的には、レストラン・居酒屋・カフェ・バー・ナイトクラブ・ホテル・劇場・映画館・ギャラリー・ショッピングモール・博物館・コンサート・スポーツジム・貸会議室・会議主催業者・航空会社・公共交通機関・クルーズ会社・学校・デイサービス・各種店舗などです。
 
 他にも、フリーランス、子供のホームスクールを強いられる親、高齢の親の世話をする子供、経済的余裕が無い人などにも、負担とストレスがかなりかかるでしょう。
 
 店舗は通販に力点を移したり、スポーツジムはマンツーマンの事前予約制に切り替えたり、家庭用フィットネス器具を販売してオンラインセッションを開始するかもしれません。
 
 会議室は広い間隔でイスが置かれ、映画館やスポーツジムの座席は半分取り払われ、居酒屋はおひとりさま席が増えるといった具合で、それぞれが対応しなければならないでしょう。
 
 海外では通勤を含む外出禁止令が厳格に実施されていますが、日本では(自粛要請は続いても)通勤禁止までは無いだろうと思います。
 給料すら振り込まれなくなれば、日本経済は息の根が止まってしまうからです。
 
 娯楽施設閉鎖も無いと予想しています。
 補償の問題に直結するためです。
 換気や間隔空けなどの工夫で対応できるのであれば、そちらに誘導しようと、政府は考えるはずです。
 
 

 パンデミックが始まってしまった以上、ワクチンが供給されない限り、コロナ感染は終息しないとみなし、経営者としては、長期戦になるのを覚悟で臨む必要があるでしょう。
 
 緊急対策で公庫から借入れするのも一法ですが、短期的視点だけでなく、長期的視点も持つようにした方がいいということです。
 

(1)キャッシュポジション
 具体的にはまず、キャッシュポジションは厚めにすべき。
 借り入れできるなら、借りておく。
 何だかんだ言っても、キャッシュが無ければ、即倒産してしまうためです。
 
 
(2)流動性
 次に、資産の流動性を高める。
 
 ソフトバンクは、最大4兆5000億円もの資産を売却し、負債削減や自社株買いに充てると2020/03/23に表明しました。
 株価急落を受けてとの見方がもっぱらですが、投資会社は安いときに買って高い時に売るのが本来。
 世界同時株安の現在、株価対策よりもコロナ対策として、投資家の孫社長は資産売却を考えたに違いありません。
 
 ソフトバンクと桁は違うでしょうが、眠っている長期資産は、現金化しておくのが望ましいと言えます。
 
 
(3)固定費削減
 3点目は、固定費を減らす。
 売上に連動する変動費ならまだコントロールできる可能性が高いが、固定費は売上に関わらず、かかってくるもの。
 売上がダウンした時は、かなりの重しになります。
 
 

 上記のように、短期的には各自が負担を強いられますが、長期的には適応するでしょう。
 
 あらゆるところに体温スキャナーが置かれ、店や会社の入り口で体温が37.5℃以上の人にはゲートが開かないとか、GPS機能により感染のホットスポットにいたと判明した場合には入場を拒否される、といった具合です。
 
 実際、シンガポールでは徹底した濃厚接触者追跡を実施、実名以外の詳細なデータを公表していますし、イスラエルの諜報機関モサドは、携帯のGPS機能を使って、テロリスト追跡と同じ方法で、濃厚接触者の追跡を始めるのだとか。
 
 
 人々の行動も変わるでしょう。
 家に閉じこもる経済が発達し、通販売上が伸びるのはもちろんのこと、5Gを前提としたWeb会議、発展中のバーチャル技術を利用した映画・コンサートが増えることでしょう。
 
 スマホGPS追跡機能を事前登録しておかないと、飛行機やクルーズ船に乗れなくなるかもしれません。
 過去2週間以内に感染ホット・スポットにいたら、搭乗拒否されるというわけです。
 代わりに、詫び状が検査機関の地図と一緒に送られてきて、その後きちんと検査に行ったかどうかを追跡される。
 
 こういった煩わしい監視は、世界同時テロの9.11以降に強化された保安規定と同様、自由獲得の小さな代償とみなされるでしょう。
 
 

 経営計画を策定するときと同じです。
          最悪を想定しつつ、楽観的に行動する

 これに尽きます。
 
 終わりの見えない状況は、東日本大震災のときにもありましたが、展望が見えずにストレスが続く、あの時の辛さは、皆がまだ覚えているところ。
 ぜひ今回にそれを活かしたいものです。
 
 
P.S.
 欧州では、家にいるストレスから家庭内暴力が増え、相談専用のTEL回線が設置されたそうです。
 中国でも、外出禁止で夫婦仲が悪くなり、都市封鎖解除と同時に離婚手続窓口の受付待ちが1ヶ月にもなったとか(コロナ離婚)。
 うーむ、笑えませぬ。。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-14           2020/03/30 コロナ感染の終息はいつ?

(1)ひととおり蔓延したとき

 蔓延すると、感染者も多いものの、免疫を獲得した回復者もまた多いことになり、免疫者がいわばバリアになって、感染が緩やかになり、新規感染者をゼロに近づけることが可能になります。
 これが『集団免疫』の概念で、天然痘は1977年に根絶できました。
 
 ただ、大部分が感染しなければ成立しないため、ワクチンの存在が大前提です。
 
 つまり、ワクチンが存在しない現状では、医療崩壊が現実化し、死者数も膨大に上るでしょうから、到底受け入れられないでしょう。
 
 集団免疫を唱えていた英ジョンソン首相自身がコロナ感染したのは、皮肉としかいいようがありませんね。
 
 
(2)ワクチンが供給されたとき
 ワクチンが開発され、臨床試験が終わり、供給体制の整ったときが、終息時期であるのは、言うまでもありません。
 ただ、ワクチンの開発から実用には18カ月以上を要するといわれるため、ワクチンの開発状況にかかっていると言えます。
 
 

 バイオ医療研究や治療法に関して、ミルケン・インスティテュートは、新型コロナに関する治療法やワクチンの開発状況の一覧を公開しました。
 https://milkeninstitute.org/articles/milken-institute-covid-19-tracker-update-identifies-dozens-new-treatments-and-vaccines
 
 

 
 治療法・ワクチン等の一覧表はこちら。
 https://milkeninstitute.org/sites/default/files/2020-03/Covid19-Tracker-3-36-20-FINAL.pdf
 
 ここでは、71の治療法と47のワクチンの開発プロジェクトの概要が、開発元やFDA(アメリカ食品医薬品局)承認の有無、開発段階や出典などが一覧で確認できます。
 
 
(1)治療法
 P.3のNo.24に、富士フィルムなどが開発し、新型インフルエンザやエボラにも使われた治療薬「アビガン」が記載されており、臨床試験に既に入っています。
 
 一覧表P.1では(No.1)、武田製薬が開発中の治療法「TAK-888」(回復した患者から摂った血小板由来の、重篤患者への治療法)が、患者に投与できるまで6~18カ月と予想されています。
 
 米ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)が開発した抗ウイルス薬「レムデシビル(remdesivir)」(一覧表P.4 No.26)も、有望だと考えられており、米ネブラスカ大学医
療センターで臨床試験中です。
 
 
(2)ワクチン
 一方、現在、開発から実用に18ヶ月以上を要するといわれるワクチンは、臨床試験前のものがほとんどです。
 
 しかし、体液性の免疫を利用するmRNAベースのワクチンは早急に開発できることが知られていて、一覧表P.12 No.35のModernaの「mRNA 1273」が、医療従事者向けの臨床試験準備を進めています。
 ただ、ジョンズ・ホプキンズ大学の論文によれば、一時的にしか効果が無いそうで、やはり本格的なワクチン開発が待たれます。
 
 

 インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、感染爆発(アウトブレイク)と社会的距離戦略についての論文を、2020/03/16に公表しました。
 https://www.imperial.ac.uk/media/imperial-college/medicine/sph/ide/gida-fellowships/Imperial-College-COVID19-NPI-modelling-16-03-2020.pdf
 
 集中治療室(ICU)の患者数が増えると、政府は思い切った社会的距離戦略を実施し、患者数が低下すると緩和するであろうと予測したシミュレーション結果です。
  

 
 オレンジ線は、集中治療室の入院患者数。
 青線は、一斉休校を含む社会的距離戦略を指します。
 
 具体的な定義は、全ての世帯が学校・職場・世帯外の人との接触を75%減らすとしています(つまり、都市封鎖)。
 
 
 そして研究チームは、社会的距離戦略を約3分の2の期間、実行する必要があると結論付けました。
 
 ざっくり言えば、2ヶ月都市封鎖して1ヶ月解除ということです。
 イメージはこんな感じ。

 
 つい先日まで、自粛疲れから気が緩んで出かけてしまった人も多かったでしょうから、さもありなん、といったところでしょうか。
 
 ただ、1年半も続くのかと思うと、思わず絶句してしまいます。。
 
 

 日本は、海外から感染爆発がないと思われていますが(ここ数日は黄信号)、同様に感染拡大の低いのがシンガポール。
 こちらでは、各国の感染者数と感染スピードを見ることができます。
 https://ourworldindata.org/grapher/covid-confirmed-cases-since-100th-case
 
 縦軸に感染累計者数、横軸に感染日数をとったグラフです。
 うち、感染スピードの速い米・伊・スペイン・仏と、感染スピードの遅い日・シンガポールを選んであります。
 

 
 日本の感染拡大スピードの遅さは、手洗いなどの習慣が効を奏していると考えられますが、人種のるつぼのシンガポールも、同様に感染スピードが遅いのは何故なのか。
 
 実は、シンガポールは、コロナ対策として、徹底した濃厚接触者追跡を実施すると同時に、感染拡大の場所を閉鎖したのです。
 具体的には、娯楽施設。
 映画館・劇場・カラオケ店・バー・ナイトクラブ、そういった気の緩む場所を社会的に閉じることで、感染する場所自体を無くしたということです。
 
 小池都知事が記者会見で、「密閉・密集・密接の『3つの密』を避けるべき」と話していたのとダブります。
 
 

 ワクチン実用化まで1年半、ただ一時的でも効くワクチンの臨床試験が始まっていることや、有望な治療法もあることなどを考えれば、
           終息は早くて2020/秋、遅ければ2021/秋
ということになりましょう。
 
 日本政府は、オリンピックを2021/夏に延期しましたが、開催できるどうか、予断を許しません。
 再延期になるかはひとえに、ワクチンの供給状況にかかっていると言えるでしょう。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-13           2020/03/30 都市封鎖はありうるのか?

 2020/03/25~27の3日間、40人以上の新規感染者が連日報告され、2020/03/28~29の両日には60人以上に新規感染者数が膨れ上がった東京。
 小池都知事が口にした「首都封鎖(ロックダウン)」は、現実化するのでしょうか。
 
 

 実際、世界最大の感染者数を抱えることになった米国NY州などでは、会社への通勤を含む外出禁止令で、2億人が影響を受け、レイオフ(一時解雇)が広く行われています。
 失業保険申請は330万人と、リーマンショック直後の5倍もの規模だそうです。
 
 パリ・マドリード・ロンドンでも都市封鎖、イタリア・インド・ロシアに至っては、全土で外出禁止令が出ました。
 違反者への罰金は何と35万円!(イタリア)。
 
 

 ロシアの「プーチン大統領が全土にライオンと虎を800頭放った」という噂には笑ってしまいましたが・・・。
 
 この、Webで出回っていた写真は誰が流したのでしょうか。
 プーチン大統領傘下のハッカー部隊かもしれませんね。
 
 
 冗談はともかく、実際、イタリア・フランス・米国では、会社への出勤も不可。
 では、日本はどうなのでしょうか。
  
 仮に、財務担当者が外出禁止となれば、給料すら振り込むことができなくなるからです。
 
 

 そこで気になるのが、2020/03/13に公布、翌日の2020/03/14に施行された改正『新型インフルエンザ等対策特別措置法』。
 その趣旨は、言うまでもなく、コロナウイルス対策。
 

 
 
 全文はこちら。
 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031
 
 条文を読み込んでみましたが、性善説に立っており、強制力はなく、要請にとどまるようです。
 特措法に基づく緊急事態宣言がなされても、諸外国と違うということですね。

 
 諸外国は実行義務があるのに対し、日本は努力義務があるにとどまります。
 「不要不急な外出はやめて」という表現は、努力義務を表しています。
 
 ですから、通勤には支障がありません。
 もちろん、テレワークが実行可能な企業には、努力義務が課されます。
 電通本社がテレワークなのに、営業マンが外回りしているのは、職種によって「不要不急」を判断しているのでしょう。
 
 

 とすれば、緊急事態宣言が出されても、会社への通勤、病院への通院、食料品買物などは、何ら問題なしと言えます。
 旅行はもちろん不可ですが、出張でも代替手段があるのなら、代替すべく努力してください、ということです。
 
 小池都知事は、危機感をあおる目的で「首都封鎖」を口にしたのでしょう。
 完全外出禁止となる、社会インフラが麻痺するような事態は、誰もが避けたいと思っているはずです。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-12           2020/03/30 パンデミックの歴史

 太古の昔から、人類はパンデミックに悩まされてきました。
 狩猟社会から農耕社会へ移行して民族の交流が始まることで、疫病(感染症の流行)の歴史もまた始まっています。
 文明化して都市化が進み、より貿易が加速すると、疫病の規模も大きくなります。
 感染症の世界的大流行、それが『パンデミック』です。
 
 2020/03/11にWHO(世界保健機関)にパンデミックと宣言された新型コロナウイルス(COVID-19)。
 Visual Capitalistは、この新型コロナを含む過去のパンデミックの死者数を、インフォグラフィックで可視化しました。
 https://www.visualcapitalist.com/history-of-pandemics-deadliest/
 球体の大きさで死者数を表し、時系列に並べています。
 
 死者数で並べたのがこちら。

 時代を変えて何回も流行してきたことがよくわかります。
 新型コロナは17位ですが、侮るなかれ。
 
 終息の気配が見えないから、どこまで増えるのかまだ不明のためです。
 当記事でも、on going(進行中)として、数字が毎日書き換えられています。
 これ以上死者数が増えないことを祈ってやみません。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-11           2020/03/30 医療崩壊を防ぐために

 初期症状がインフルエンザに似ているからといって、「とりあえず病院に行けば何とかなる」と、患者が病院に殺到し、医療従事者が取り扱えるキャパシティを超えると、病院は処理しきれなくなります。
 
 下のグラフは、感染爆発で患者が病院に殺到し、必要とされる集中治療室(ICU)のベッド数のシミュレーション。
 一番下の平らな赤い直線が、病院にある実際のICUベッド数です。

 
 どんな手を打とうと、圧倒的に足りません。
 
 

 そうなると、医療現場ではトリアージを迫られます。
 トリアージとは、患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと。
 
 映画「パールハーバー」では、「僕まだ死なないよね?」と不安に駆られている重傷の兵隊のおでこに「大丈夫よ」と優しく声をかけながら、手持ちの口紅でバツ印をつけていった看護婦のトリアージのシーンが、強烈な印象を残しました。
 
 

 
 しかし、トリアージは戦線復帰の戦時の優先順位付け方法であって、平時にそれを採用するかどうかは、また別の話。
 重症の人を先に救うのか、軽症の人を先に手当てするのか。
 ICUベッド数が足りないときに、どんな基準で割り当てるのか。
 
 

 
 これだけでも影響は大きいのに、治療のために患者に接触せざるを得ない医師や看護師なども感染すれば、数十人の医療チームが、そっくりそのまま2週間自宅待機となってしまいます。
 ただでさえ足りないキャパシティがさらに落ち、残った医療従事者も疲弊し、より影響は大きくなるのです。
 
 

 
 結果、待っているのは、医療システムの崩壊です。
 
 したがって、医療キャパシティを超えないように、感染スピードを緩めることが大事となるのです。
 緑が、医療崩壊を起こさない望ましい感染拡大です。
 
 


 とすれば、症状が軽い場合は、医療機関にすぐ行かないで、まずは自宅療養を心がけることになりましょう。
 医療崩壊を促進しかねないだけでなく、自分のコロナ感染リスクすらあるからです。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-10           2020/03/30 コロナ感染対策には、正しい情報入手が必須

 中小・中堅企業では、経営トップがその企業のキーマンになっていることが多いことでしょう。
 そのため、経営トップや経営幹部が感染しないことが、何より重要と言えます。
 企業存続の観点だけでなく、社員雇用維持という社会的観点からも必要です。
 
 ただそうはいっても、正しい情報を入手しないと、何かと不安になるものです。
 ネガティブ情報に人はより強く反応する傾向があるため、誤った判断を下してしまいがちです。
 
 ついデマに惑わされたり、流通が止まっていないのに買いだめをしてしまうのは、その証拠。
 経営幹部が誤った判断を下すと、悪影響が大きくなるから、ぜひ留意していただきたいところです。
 
 

  
 ということで、まずは感染状況の把握から。
 各メディアがそれぞれ特集ページをつくり、状況把握に役立つようにしていますが、リアルタイムのジョンズ・ホプキンズ大学の集計がいいでしょう。
 
 ジョンズ・ホプキンズ大学は、世界屈指の医学部を抱える米国の大学です。
 https://www.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6
 
 2020/03/30 11:41時現在の感染者数・感染地域・死者数は、以下のとおり。

  

 
(1)人によって症状が違う
 コロナウイルスの厄介なところが、人によって症状が異なるところ。
 代表的な症例が発熱ですが、臨床医師によれば、代表的とはいえ、8~9割しかないそうです。
 
 倦怠感のある人もいれば、腹を下す人もいるし、咳が出る人もいます。
 これはよく知られていることですが、無症状の人すらいます。
 
 
(2)インフルエンザに初期症状が似ている
 初期症状はインフルエンザと似ているのに、感染率はインフルエンザの1.7倍で、致死率に至ってはインフルエンザの10倍。
 
 
(3)重症化が速い
 そして、特に厄介な3点目が、重症化が速いという点。
 普通に話ができる状態だったのに、数時間後には人工呼吸器をつけないと呼吸ができないほど重篤化。
 
 発症者の2割は入院が必要で、5%はICU(集中治療室)に入らないと助からない。
 なぜ、人によってそのような差が出る理由もわからない。
 
 わかっているのは、高齢者や基礎疾患がある人は重篤化しやすい、という経験値のみ。
 ただ、21歳の基礎疾患が無い女性でも亡くなっているので、誰であっても油断禁物と言えましょう。
 
 因みに、重篤化した時には既に面会謝絶のため、遺族は看取ることすらできず、遺族のメンタル・ケアも医療従事者にふりかかってくるのですから、医療従事者は大変です。
 
  

 
(1)消毒
 手洗いは必須。
 過去の欧州でペストが大流行した時に、ポーランド人とユダヤ人には発症例が少なかったそうですが、その理由は手洗いなどの消毒の習慣と言われています。
 日本で感染爆発(オーバーシュート)が無いのも、手洗いの習慣があるのでは、と言われています。
 ハグの習慣が無い点は、言うまでもありません。
 
 マスクは気休めに過ぎません。
 医療従事者ですら感染しているのですから。
 飛沫感染を防げると言いますが、それならアイバイザーもしなくては。
 口を開けている時間よりも、目を開けている時間の方が何十倍にも上るはずです。
 
 それよりも注意しなければならないのが、コンタクト・レンズ装着時。
 事前によく手を消毒することが大事ですが、メディアで聞いたことがありません。
 

(2)社会的距離を保つ
 平たく言えば、出かけない、集まらない。
 
 米国ニューオーリンズでは、祭り「マルディグラ」が20/02/下まで開かれていたため、現在、爆発的に感染者数が増えています。
 タイでは、ムエタイの試合が数試合行われた後、やはり爆発的に感染者数が増加。
 
 日本では、2020/03/022にK-1試合が国と県の自粛要請を振り切って強硬開催されましたが、大丈夫なのでしょうか・・・。
 2週間後にその答えが出ます。
 
 

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M One News 20-09           2020/03/11 確定申告期限延長の注意点②

 昨日、M One News 20-06 確定申告期限延長の注意点で、振替納税日が未発表と案内したばかりですが、2020/03/11の今日、振替納税日が国税庁HPで発表されました。
 

(1)単なる延期
 引落し日が2回設けられるわけではなく、単に一律に延期されるだけのようです。
 
 
(2)資金繰りに留意
 コロナウィルスによる売上ダウンは現在、飲食業・旅行業・旅館業で顕著ですが、今後、全業種に広がってくることが予想されます。
 4/下ならまだしも、5/中~下が引落し日だと、資金繰りが厳しい事業主は増えるでしょう。支払いが1~2ヶ月遅いケースが多いためです。
 
 国は、無担保・無保証の融資制度を手当てすると明言していますが、その前に、自身だけで乗り切れるかどうか、自助努力が求められます。
 納税猶予制度もありますが、単なる延期に過ぎませんので・・・。
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-08           2020/03/11 振替納税のとりやめの方法と注意点

 「振替納税」とは税金の自動引落しの方法ですが、税金のクレジットカード納付が可能になり、ポイント獲得を狙ったりなどで、振替納税をとりやめ、クレジットカード納付に切り替える人が増えてきました。
 
 クレジットカード納付については、M One News 20-07で説明しましたので、ここでは、振替納税のとりやめの方法と注意点を説明します。
 
 

 廃止届が特にあるわけではありませんので、戸惑う方もいらっしゃることでしょう。
 通常は、新規依頼書を転用し、余白に「とりやめ」と目立つように赤字で書くだけです。押印は三文印でOK。
 
 用紙はこちら。
 https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/pdf/0019004-075_3.pdf
 
 記入後、税務署に提出します。具体的には、ポストに投函。
ご自身の管轄税務署は調べてくださいね。返信用は不要です。
 新規申込時と同様、3/15までに投函すれば、4/下の振替納税から適用されます。
 
 

  言うまでもないことですが、自動引落しをやめれば、納付手続は今後、自分で行わなくてはなりません。
 うっかり忘れると、ペナルティが待っていますので、ご注意を。
 
 

  コロナウィルス感染拡大防止で振替納税が延長されたにもかかわらず、その新しい振替納税日が今日現在、まだ発表されていません。
 混乱が予想されるため、早め早めの手続きが望ましいでしょう。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-07           2020/03/11 クレジットカードによるTax納付のメリット・デメリット

 2017/01からできるようになった、クレジットカードによる税金納付。
 キャッシュレスに伴ってポイントが普及してきたため、クレジットカードで税金を納付する人が増えてきました。
 
 方法はカンタン。こちらにアクセスして手続きするだけ。
 https://kokuzei.noufu.jp/

     
 

(1)24時間365日OK
 現金納付には無いメリットです。
 
 
(2)ポイントがたまる
 さらに、クレジットカードのポイントもたまります。
 
 
(3)一時的な預金残高不足に困らない
 インターネットバンキングでは、預金残高分しか納付することはできません。
 クレジットカード納付なら、クレジットカード利用代金が引落しになるまで、財源手当ての余裕が生まれます。
 もちろん、最後には財源を用意しなければなりませんが・・・。
 
 

(1)手数料がかかる
 少額とは言え、手数料がかかるため、総支払額は増えます。
 Webサイトでわかるように、手数料の目安は0.76%ですので、もしポイントを集めている人がいるなら、それ以上のポイント付与がなされれば、トクという結論になります。
 ポイント付与率は1%のところが多いので、トクになるケースが多いと思われます。
 
 
(2)領収書が発行されない
 現金納付は領収書が発行されますが、クレジットカード納付では領収書が発行されません。
 そのため、正式な支払証明は、税務署が発行する納税証明書を入手する以外にありません。
 この納税証明書の発行には、日数がかかることを想定しておいた方がいいでしょう。
 
 

 他の人の分もクレジットカード納付できるので、家族の税金を支払えば、ポイントもたまりますよ。
 ポイントを集めている人にとっては、税金を支払うのがうれしくなる唯一のケースですね(笑)。滅多にないですよ(笑笑)。
 
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-06           2020/03/10 確定申告期限延長の注意点

 既にニュースで報道されているとおり、確定申告会場におけるコロナウィルス感染拡大防止のため、確定申告期限が延びています!
 2020/02/27に速報で流れた後、2020/03/06に同日付官報で告示されると同時に、国税庁HPで延長手続きの内容が公表されました。
 さらなる詳細が出るのを待っていましたが、現時点で出ていないため、申告期限延長の注意点をお伝えします。
 

・所得税の申告・納付
・青色届
・繰戻し請求
・青色専従者給与届・変更届
・減価償却届・変更届
・国外財産調書
・財産債務調書
・消費税の申告・納付
・贈与税の申告・納付
  
 

(1)個人のみ
 今回の期限延長の発端は、確定申告会場における集団感染を防ぐことです。
 確定申告会場には個人しか行かないため、法人には影響ありません。
 
 気持ち的には、法人も延長してくれればいいのに、と思った法人関係者も多いことでしょう。
 なぜなら、12月決算会社の株主総会は、これから開催の山場を迎えます。
 株主総会で決算承認されないと、申告もできないためです。
 1月決算会社も、経理部から感染者が出れば、経理部全員が濃厚接触者になってしまい、経理部閉鎖で決算作業ができないため、他人ごとではありません。
 
 
(2)振替納税日
 申告・納付などは明確になりましたが、唯一不明なのが、振替納税日。
 振替納税日も延長にすると国税庁は明言しているものの、日付が未定です。
 まだ未定の理由は、全国の金融機関の実務にかかっているからと思われます。
 
 従来の振替納税日は所得税が2020/04/21(火)・消費税が2020/04/23(木)ですが、それも延びるのか、それとも、新しく設定され、2回のどちらで引落しがかかるのか。
 メガバンクは対応が早いでしょうが、小規模の信用組合などは、準備に人手が足りないかもしれません。
 国税庁がなかなか発表できないのは、そういった事情もあることでしょう。
 
 

(1)税務コストup
 申告期限が1ヶ月延長されるということは、申告受け入れ態勢を税務署が維持し続けなくてはいけない、ということを意味します。
 確定申告会場では多くのアルバイトが働きますし、税務署員の残業代増加、そういう人件費のアップは、すべて税金で賄われます。
 
 また、高齢な納税者には短気な人も多く、その対応でストレスを被る署員もいます。
 短期間だから我慢できたのに、さらにもう1ヶ月延びるのか! 勘弁してくれ、というのが現場の偽らざるを得ない心境でしょう(会計事務所もそうです)。
 
 
(2)法人の税務調査件数ダウン
 通常、確定申告期間中は多くの人手が必要なため、税務署の所得税担当部署以外の部署からもサポートに入ります。
 会場で納税者が突っ込んだ質問をすると、正確な回答がもらえず、「税務署員なのに何故答えられないの?」という疑問を持った経験者も多くいることでしょう。
 
 それは、専門外のためです。
 立場上、「よく知らない」とも言えず、新人署員にとってはドギマギする修練の場でもあります(笑)。
 
 話を戻して、例えば、法人部門の署員は確定申告期間中、所得税にサポートに回り、3/15が過ぎると、自分の部署に戻って、本来の業務、つまり法人の税務調査に入ります。
 3/下~4/上に税務調査先に調査する旨のTELをかけ、調査に入り、5/末までに結果を上司にあげ、7/1に異動となります。
 それが今回は、4/16まで1ヶ月延びる。
 いままでは2ヶ月以上あったのに、今回は1ヶ月強しか時間はありません。となると、法人の税務調査件数はよくて半分、下手すると1/3に減らさざるを得ません。
 
 税務調査は、現在、怪しいところに焦点を絞って入っています。
 昔のように、何年に1回入る、という形にはなっていません。
 その余裕がなくなってきているというよりも、情報収集体制が整ってきていることが背景にあります。
 
 なので、胸をなでおろす法人もいるかもしれませんね(笑)。
 
 

 コロナウィルス感染拡大で何が起きるかわかりません。
 ウィルス開発に半年程度かかるのなら、収束に向かい始めるのは、いつ頃なのか。
 現在、株は暴落していますし、オリンピックを含め、今後どのような展開になるのか、予測不可能です。
 
 その状態でできるのは、
 ・できることは終わらせ、動けるようにしておく(申告を終わらせる)
 ・感染のかかるリスクは極力減らす(出かけない、集まらない)
 ・デマに惑わされないようにする(科学的根拠を考える)
 くらいでしょう。
 
 確定申告に関して言えば、スマートホンによる申告もできるようになっているので、これを機会にチャレンジしてみるのも手ですよ。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-05           2020/03/02 コロナウィルスによる業績ダウンへの対応

 ご存じのとおり、コロナウィルス感染が、感染経路の追えない蔓延期に入り、ここ1~2週間の感染拡大を防ぐことが極めて重要である、と国の方針は、従来の水際対策から転換しました。
  
 といっても、「ここ1~2週間が瀬戸際」と国の専門家会議の見解が出たのは、全国小中高等の一斉休校を国が要請する2020/2/27の3日前の2020/02/24ですから、対応が早いと評価すべきなのか、遅いと評価すべきなのかは、意見が分かれるところでしょう。
 

 専門家会議の見解のポイントは、「残念ながら、もう感染を防ぐことはできない。感染拡大のスピードを抑えられるかどうかだけだ。それはここ1~2週間にかかっている」。
 
 感染を防げないのなら、治療薬開発時間を開発チームにいかに長く与えるかが、私たちに現在できることと言えましょう。
 
 つまり、私たちは感染拡大スピードを少しでも落とす努力をしなければならない、ということです。
 それには、手洗いといった個人の対策と、イベント中止・テレワークなどの複合的な社会的距離戦略(平たく言えば、「出かけない、集まらない」)が必要です。
 
 ただ、外出を控えれば控えるほど、経済への影響は大きく、事業者に多大な損失が出るのは明らかです。
 
 現時点で業績への影響が大きい業種は、特に飲食店業・旅行業・旅館業などですが、1~2ヶ月後から資金繰りが苦しくなると思われます。
 多くの企業では、支払が1~2ヶ月後のためです。
 
 感染拡大のスピードによっては、業績ダウンが、今後数ヶ月でさらに全業種に広がるのを覚悟しておいた方がいいでしょう。
 

 そのためまずは、現時点で考えられる対応をまとめました。

分 類       内 容
資金繰り

日本政策金融公庫からの借入れ枠
1,000万円(旅館業は3,000万円)、7年返済
https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

助成金

売上10%以上ダウンの会社が対象で、休業補償として給与の2/3(中小企業)を助成(「雇用調整助成金」)
当初、中国関係の事業者に限定されていましたが、2020/03/01から全事業に拡大されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200301/k10012308101000.html
 
こちらにはまだ反映されていませんが、受給要件の確認にどうぞ。
https://www.mhlw.go.jp/content/000596026.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000597756.pdf

 税 金

繰戻し・・・当期赤字で前期黒字だった場合、前期の税金の一部を還付できる制度。
ただし、適用できるのは1年後。

  
 第2弾緊急対策を追加すると、安倍首相が2020/02/29に表明しているので、2020/03/10頃には新たな対策が発表されるでしょう。
 
 業績へのネガティブな影響が広まれば、第3弾へと続くと思われます。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-04           2020/02/22 サンデー税務署

 確定申告の相談で税務署に行くために平日にお休みを取らなければならないと思っているあなた!
 
 日曜日に税務署が開いています!!
 
 
 

         内容       開庁日
   確定申告の相談、申告書の受付

   2020/02/24(月・休日)

       3 / 1 (日)

 ただ、一部の税務署だけなので、ご注意を。詳しくはこちら。
https://www.nta.go.jp/information/other/data/r01/kakushin_kaijo/index02.htm
 
 朝一番で行かないと、相談はすぐいっぱいになってしまいますよ。
 マスクもお忘れなく。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-03           2020/01/31 人間ドックの精密検査は医療費控除できる?

 人間ドックを受けてきました。
 2年ぶりと思ったら、病院によると3年ぶりだとか。
 時の経つのは早いものです。
 
 3年ぶりのせいか、4つも再検査項目が出てきてしまいました。
 うち1つは、膵臓(すいぞう)。
 膵管(膵臓で作られる消化液の膵液を十二指腸に送るパイプ)が、2mmから3mmへ太くなったとのこと。
 たった1mm太くなっただけなのに、腫瘍の可能性もあると脅され、精密検査をすることに。
 
 実は、私の父は膵臓癌で亡くなっており、義理の父も膵臓癌で還らぬ人になっているのです。
 膵臓癌は遺伝性があるうえ、部位別罹患率も男性で4位と高いわりに、治療が難しく、5年後生存率はわずか4%しかないとか。
 実際、父の場合、ガンとわかったときには、既にステージ4! 手の施しようもなかったのでした。。
 
 そんな中、時間をかけていくつもの精密検査を行い、数ヶ月の間、怯える日々が続いたのですが、結果は無事、シロ。
 ほっと胸をなでおろしたのもつかの間、健康保険が効く検査も効かない検査も合わせ、かなり高額だった検査費用を何とかして医療費控除できないだろうか、と思い、調べてみました。
 
 

 ご存じ、医療費控除とは、本人と家族の年間医療費の支払額が、一定金額を超えると、超えた金額を所得から差し引けるという制度です。
 そしてその目的が「治療」と「出産」に限定されています。
 
 健康診断や人間ドックは「治療」ではないので、医療費控除の対象にはなりません。
 再検査や精密検査も同様です。
 その検査で「重大な疾病」が見つかって「治療」が始まって初めて、治療費は医療費控除の対象になるのです。
 
 

 ここでいう「重大な疾病」とは何でしょう?
 がん、脳血管障害、心疾患は当然として、生活習慣病、具体的には脂質異常症や糖尿病も、該当すると思われます。
 平たく言えば、人間ドックを受けた結果、異状が見つかり、治療に入れば、まず医療費控除の対象になるでしょう。
 
 因みに、日本人間ドック学会では、以下のように判定区分を公表しています。

 https://www.ningen-dock.jp/wp/wp-content/uploads/2013/09/ac338c5caeb772b77a32f56332791305.pdf
 
 私は、要精密検査の“D2”と判定され、MRCP(下腹部のMRI)を含む精密検査をしたが、結果はシロ、治療要とは判定されませんでしたので、医療費控除できないということになります。
 
 

 では、仮に治療要と判定され、そのまま治療に入り、“E”状態になったら?
 そうなればもちろん、人間ドックから再検査費用、精密検査費用、PET検査費用などすべてが、医療費控除の対象になります。
 注意しなければならないのは、治療要と判定されたのに、治療に入らなければ、医療費控除の対象にならないということです。
 医療費控除の目的はあくまで「治療」促進にあるためです。
 
 

 “E 治療中”の治療費は医療費控除の対象になるとしても、“D1 要医療”“D2 要精密検査”など、治療開始前の検査費用は?
 それも、医療費控除の対象になります。検査結果を治療に利用するためです。
 
 
 
 今回、3年ぶり(家族に怒られました)の人間ドックでしたが、いくら検査費用が高額でも、健康には変えられませんので、結果オーライですね。
 反省すべきは、自分の健康への配慮。無くなって初めてわかるありがたさ、と言いますものね。
 皆さんもご注意を。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-02           2020/01/31 医療費控除できるものは?

  医療費控除は、「治療」or「出産」に関する支出が対象となりますが、実際には迷うことも多いのではないでしょうか。
 そこで、医療費控除できるもの・できないものを、まとめてみました。
 
 
 

 税金に直結するので、漏れが無いよう、しっかり集計したいものです。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 20-01           2020/01/09 カルロス・ゴーン③

 昨年末に世界を驚愕させた、カルロス・ゴーンの逃亡劇。
 ゴルゴ13の世界を真っ先に連想しましたが、実際、元グリーンベレーが逃亡劇を演出したとか。
 そして、その費用は何と22億円!
 
 ある人に言われました。
 「逃亡費用に22億円もかけたのか!」
 
 公認会計士の立場からは、ちょっと見方が違います。
 22億円は、現金が出ていくという意味で、ある意味、キャッシュフローの考え方。
 それとは別に、保釈金15億円が日本の裁判所に没収されています。
 この15億円はバランスシートの考え方。
 
 つまり、合計では37億円かかったとみるべき。
 キャッシュフローとバランスシート、いずれの考え方も必要なのです。
 まさに、経営に会計思考が必須とされるゆえん。
 
 
 同じようなことが、事業経営でもあります。
 
 例えば、会社移転。
 会社移転時には、旧オフィスの原状回復費用がかかります。
 一般的には、敷金と相殺され、お釣りが戻ってくると思われていますが、スタートアップ用オフィスで敷金が無い場合や、造作をかなり作りこんでいて敷金をオーバーするケースなどは、思わぬ出費を強いられます。
 相殺されるからと無視するクセがついていると、足をすくわれることになります。
 したがって現在、上場企業では、原状回復費用は未払計上され、会計上も計上必須となっています。
 
 
 では会計上、計上されていればいいかというと、そうでもないところが、実務上の悩ましいところ。
 その代表格が、保証債務。
 中小零細のオーナー企業では、銀行借入れにオーナーが保証していることが多いもの。
 この保証債務は会計上、計上されていません。
 未確定で計上しようがないためですが、経営上いわば隠れた債務をきちんと認識しておかないと、やはり痛い目に合いかねません。
後継者に経営をバトンタッチする場合やM&Aで会社を売る場合は、必ず問題になるので、注意したいところです。
 
 
 相続も同様。
 財産だけでなく、保証債務も相続の対象です。
 怖いのは、財産のように「分割」の考え方が無いこと。
 つまり、相続人全員が自動的に保証債務を負ってしまうことになるのです。
 いつのまにか知らない人の保証人になっている事態もありうるわけです。
 連帯保証なら、貸付者は借入者に取り立てに行くのではなく、連帯保証人に取り立てに行っていいことになっているから、おカネがある人から取り立てる方が、回収効率がいいのは言うまでもありませんね。
 
 保証債務は隠れた債務ですが、表に出ている債務も気をつける必要があります。
 例えば、サラ金からお金を借りている親は、通常、家族にバレないようにと秘密にするのが一般的。
 相続放棄すればいいかと思うかもしれませんが、相手はその一枚上を行きます。
 親が亡くなってから3ヶ月が相続放棄期限で、その3ヶ月を過ぎると、自動的に相続したとみなされます。
 それを待って取り立てを始めるサラ金業者もいるそうです。
 ヒドいと思うかもしれませんが、完全に合法なので、自分で気をつけるしかないということですね。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-21           2019/12/25 年末駆け込み節税ネタ

 年内も残り僅か。
 遅くなりましたが、年内に行ったほうがよいおトクな情報を、2点紹介します。 
 

 ここ5~6年の節税の代表格でしたが、2019/06/01から過度なふるさと納税に歯止めがかかりました。具体的には、返礼率上限を3割に抑えるというものです。
 ただ、それでも抜け穴が存在します。抜け穴といっても、うさんくささは一切なく、合法です。
 
 それは、上記の返礼率の定義にあります。
 総務省が定めた3割の「返礼率」とは、寄付額に対する自治体の仕入れ値の割合。
 つまり、大量仕入れすれば仕入れ値は下がっていくわけで、実際3割に限りなく近い返礼率も存在します。
 
 例を挙げて説明しましょう。
 寄付額を10,000円、時価10,000円の返礼品の自治体の仕入れ値を3,000円とします。


 100%ということは、1万円のモノを1万円で購入したことを意味しますから、当然といえば当然ですが、これに税金還付が加わります。
 そして、税金還付額計算のもとになる税率は、年収の大小によって異なります。
 表にしてみます。

 ちょっと難しいですね。
 平たく言うと、年収500万円の人は8,000円で10,000円のモノを入手でき、年収3,000万円の人は5,000円で10,000円のモノを入手できるということです。
 
 かつて大学の経済学の講義では、平均して、工場出荷額は小売価格の4割、3割が流通マージン、残り3割が小売店利益だと学びましたが、さほど変わっていないということなのでしょう。直売がいかに安いかの裏返しということです。
 
 ふるさと納税サイトでは、還元率ランキングを集計しているところもあります。
 実際、こちらでは還元率99.9%!
 https://furu-sato.com/total/value_rank
 
 
こちらでは、何と還元率140%!!
 https://www.furusato-tax.club/?gclid=CjwKCAiAi4fwBRBxEiwAEO8_HkkSlB8fatmgZqG7OV-vG_kg6aM6aO0vSW-4wWMIiM0kJyxPl62X1xoCk_8QAvD_BwE


(1)大量
 もうおわかりのとおり、カラクリは、大量仕入れによる値引きにあります。
 したがって、大量になりがちな高還元率の返礼品は、食材だと冷蔵庫がパンパンになってしまうことでしょう。
 だからと言って、冷蔵庫を新たに買いなおしたら、それこそ本末転倒ですよね。
 また、2週間メニューが同じ、ということになりかねませんよ。
 
(2)返礼品の相場
 返礼品の時価が正しくなければ、判断を誤ります。
 ただ、食材を日常的に購入する主婦層なら、相場はわかりますよね。
 
(3)住宅ローン控除などで税金支払額がゼロの場合
 今年の税金がゼロの場合は、それ以上税金は還付されません。
 自己負担2,000円で済む寄付枠を既に使い切っている人も、還付はされますが、負担額は増えていきます。 
 
 

 台風などの災害により甚大な被害を受けた地域への旅行を割引(助成)することで、観光需要を喚起し、地域経済の早期回復を図る、国の観光支援策です。
 以前から実施されていますが、今回は東日本1都13県の被災地を対象に、宿泊した場合に、1人1泊最大5,000円、1回の旅行で最大15,000円(訪日観光客は50,000円)引きで宿泊できます。
 
 つまり、2人で旅行するのなら、1泊2万円が1万円で宿泊できることになります。
 19/12/中~20/03頃まで実施されるので、この期間に旅行するなら、外せません。
 予算が無くなり次第、終了します。
 
 ざっと表にしてみましたが、申し込むときはきちんと裏をとってくださいね。

 申込み方法は
・割引クーポンを入手してツアーを申し込む方法
・割引済みのツアーを購入する方法
・現地ホテルで割引を申請する方法
の3つあります。
 
 確定申告期間でとても行けない私の分まで、楽しんできてくださいね。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-18           2019/11/11 大きく変わりつつある年末調整

 11月も半ばにさしかかりつつあり、今年の所得を棚卸しする手続きも迫ってきました。
 会社勤めの人はそろそろ、年末調整資料が配られ始めていることでしょう。
 昨年から難しくなった年末調整ですが、来年はさらに難しくなります。
 
 まず、昨年の変更点はこちら(M One News 18-18)。
 書類が増えるのは単なる手続きなのでまだしも(それでも面倒ですが)、実務上、影響があるのは、共働きの場合。
 特に、夫婦ともにフルタイム勤務ではなく、いずれかが扶養に入るために勤務状況を調整しているケース。
 
 年初1月に扶養予定で給与計算を開始しても、所得が実際に確定するのは年末になってからなのは、言うまでもありません。
 それも、労働調整する配偶者だけでなく、フルタイム勤務の世帯主の所得がいくらかによっても、配偶者控除の金額は違ってくるのです。
 夫婦どちらかの所得が基準額を上回る場合、配偶者控除を多く取りすぎていたことになり、年末調整で追加の税負担が発生し、手取り額が減ることになります。
 
 総額は同じなのですが、年末調整で還付するのを好む人が多いことを考えると、年末までは「扶養なし」で給与計算しておいた方が良さそうな気がします(ただし、毎月の手取り額は減ります)。

 以上は、確定申告をしない人の場合。
 
 会社員でも医療費控除やふるさと納税がある人は多いから、もし確定申告をするのなら、最終的に税金清算を行う確定申告の方法がいいでしょう。
 どのみち確定申告なら、会社に提出する年末調整資料にどちらを記入しても結果は同じですので・・・。
 
 
 このようにいまでも十分複雑ですが、来年からさらに「複雑」になる改正とは、基礎控除の引き上げと、給与所得控除や年金控除の引き下げ(M One News 18-0718-0818-09)。
 そのため、年収850万円超の会社員は、増税となります。
 ただ、子育て世帯等に配慮した所得控除調整がなされるため(M One News 18-10)、年収850万円超であっても、増税ゼロ or 緩和されます。
 
 
 まとめると、2020年の年末に会社に提出する用紙が変更になります。

 変更になるのは2点目の資料ですが、具体的な様式は、12月末頃に国税庁から発表される予定です。
 
 
 複雑になる一方の年末調整ですが、うまく乗り切りたいものですね。
 

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-17           2019/09/30 ポイントの賢い貯め方

 消費税改正をビジネスチャンスととらえる事業者が消費者にアピールする方法は、概ね3つに集約されるようです(M One News 19-13)。

 多くはポイント還元の手法を取っています。特にQR決済業者はポイント還元一色です。
 
 なじみ深い商店街スタンプから始まり、航空会社マイレージで普及し、現在は、Tポイント・楽天スーパーポイント・Pontaポイントなど、花盛り。
 
 さらに、マイナンバーカード取得者へのポイントも、ポイント還元制度終了後の2020/07に始まります(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai5/siryou4.pdf)。
 その還元率はなんと25%!
 
 日本人のポイント好きに国も乗っかった格好ですが、実際、ポイント市場は年々拡大し、2018年には1兆8884億円まで達するそうです(矢野経済研究所)。
 
 次々に発表される販促キャンペーンがこれだけ盛んだと、消費税率アップによる景気低迷の恐れは杞憂にすら思えてきます。
 
 ただ、ポイント制度が多すぎて、目移りしてしまって迷ってしまう人が大半ではないでしょうか。
 ポイントは次回の買い物に使うべきというのが前回の結論ですが(M One News 19-16)、ついでに貯まってしまうポイントも少なくありません。
 
 こうしたポイントをうまく使いこなすには、ポイントの特性をきちんと理解する必要があります。
  

(1)還元率がまちまち
 企業独自で行うため、企業ごとに還元率が異なるのはもちろん、同じポイントでも、このときはこう、あのときはこう、と還元率がさまざまです。
 
(2)ころころ変わる
 ポイントは企業にとっては販促ツール。キャンペーンが出てくると、つい目移りしてしまうもの。
 目移りするようなキャンペーンを出してくると最初から思っておいた方がいいです。
 というより、消費者が目移りしないようなら、キャンペーンは失敗です。
 
(3)利用期限あり
 ポイントが利用者にとっておトクでも、企業にとっては将来の負債。設けられている利用期限が、さらに一方的に短縮されてしまうことも(規約に最初から織り込まれているため、合法です)。
 

 上記のようなポイントの性質を踏まえると、取るべき行動は自ずと決まってきます。
 
(1)分散せず、まとめる
 あれもこれもと貯まる場所が分散するよりも、できるだけまとめたほうが使えるのは、言うまでもありません。
 
(2)王道で貯める
 一時的なキャンペーンに惑わされないようにしてください。長期戦で臨むものです。
 
(3)貯め方ではなく、使い方に焦点を置く
 いくら貯めても、使うときに不利になるようであれば、貯める意味が薄れます。
 仮に\100で1pt(ポイント)貯められても、使い方によっては、0.5ptにも十数ptにもなるためです。
 

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M One News 19-16           2019/09/30 ポイントのワナ

 ポイントのメリットは、企業側は囲い込み効果が見込めること、消費者にとっては“おトク感”でしょう。
 ところがその“おトク感”は、意外に“おトク”ではありません。
 

 割引率をいずれも同じ10%としましょう。
 値引きの場合、支払額は9万円で済みます。一方、ポイント還元では、ポイントを次回の買い物に充当するため、支払額は10万円となります。
 最初の買い物10万円で貯まったポイント1万円を、次回の買い物1万円に充当するからです。

 このように、割引率は低くなります。
 さらに、値引きの1万円はどの店でも使えますが、ポイントは同じチェーン店でしか使えませんから、値引きの方がトクであるのは、言うまでもありません。
 

 現金であれば、銀行に預ければ金利が付くのに対し、ポイントには金利が付きません。
 この点でも、ポイントはトクではないことがわかるでしょう。
 
 使い道がいきなり制限されたり、有効期限が変更されたりするから、なおさらです。そうでなくても、有効期限を過ぎてしまえば元も子もありませんよね。
  

 このようにトクではないのに、なぜ「ポイント」をトクと思ってしまうのでしょうか?
それは、次の3つの理由によります。
 
(1)ヒューリスティック
 上記の割引率の場合、消費者の心に残るのは「10%」という数字だけ。
 よく考えれば値引きの方がトクなのに、直観的に判断し、同じだと思ってしまうのです。

 
(2)保有効果

 自分の持っているものは価値が高いと評価し、手放したくない心の動きのこと。
 最初はつい使ってしまってなかなか貯まらないが、いったん貯まり始めると今度は使わなくなる「貯金」と同じ。
 
 残高を見るたびに増えていることが実感でき、いつのまにか増やす楽しみに変わっているというわけです。
 
(3)メンタル・アカウンティング
 ポイントが、財布とは別の勘定に入ってしまう心理。「心の会計」とも呼ばれ、「ケーキは別腹」と同じ原理と言えるでしょう。
 
 いざ使うときになると、まるで天から降ってきたプレゼントのように感じてしまう。旅行会社の積み立てや、百貨店の「友の会」と似ています。
 
 
 そもそもポイントやマイレージは、お店が消費者にたくさん買物をさせようというマーケティング手法です。
 消費者も、トクするためにポイントを貯めるのに、往々にしてポイントを貯めること自体が目的化してしまいがちです。
 
 このように、いくつもの心理的な罠が日常の買い物に潜んでいることを、買物をするときは、ぜひ忘れないようにしたいものです。
 

 結論。
 「ポイント」よりも次回に使える「キャッシュバック」の方が、「キャッシュバック」よりも今の買い物に使える「値引き」の方が、ベター。
 もしポイントが貯まるときは、できるだけ次回の買い物に使いましょう。

 

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-15           2019/09/26 駆け込み購入②

 法人の次は、個人です。
 
 ただ
前回触れたとおり(M One News 19-14)、法人・個人の区分よりも、消費税課税事業者・免税事業者の区分で考えるべきです。
 つまり今回の内容は、免税事業者と個人が、駆け込み購入すべきものについて。
 
 復習になりますが、商品の引き渡しやサービス提供が行われたときの税率が適用されます。駆け込み購入に関係ある経過措置は、旅客運賃等(M One News 19-04)。
 
 具体的には、以下のとおり。
(1)電車の切符、定期券、回数券
 旅行の切符も先にネット決済した方が安く済みます。定期も大きいですね。JRは2週間前から定期券更新が可能なので、定期終了日が間近であれば、忘れないようにしたいものです。
 私の定期券終了日は2019/10/18でした。トホホ、、
 
(2)遊園地のチケット(年間パスポートも含む)
 例えば、ディズニーランドの当日チケットは引換券を2019/09/30までにネット購入し、有効期間2ヶ月以内に引き換えればOK。
 
(3)必需品(飲食料品を除く)、酒類
 軽減税率にならないものはこちら(M One News 19-07)。
 
(4)値崩れしない家電等の購入前倒し
 例えば、iPadはApple storeでの発注と同時に決済が終了するためか、納品が2019/10/01以降になっても、2%分追加支払いはないようです。トクした感じです(たぶん)。
 Amazonもそうでしょう。楽天のHPには「追加支払あるかもしれない」と注意書きがありました。
 いやはや、どさくさ紛れも結構ありそうです。
 
 
 まあ、あまり気合い入れて買い物しすぎないようにね・・・。

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M One News 19-14           2019/09/24 駆け込み購入①

 消費税率アップまで残り1週間。法人は、何を購入すべきなのでしょうか。
 
 消費税の仕組みを考えればわかることですが、消費税は預かって納付するだけ。
 より正確に言うと、預かった消費税と立て替えた消費税の差額を納付する制度なのです。
 したがって、消費税率がアップしようがダウンしようが、あまり関係ありません。
 
 あえて言うなら、必要なものを前倒しで購入する程度でしょう。
 大型家電やPCは値崩れするから、少々トクしたつもりでも、相殺されてしまいますが(過去もそうだった)、旅費などは今月中に手配・購入したほうがよいと言えます。8%で支払えば、出張が2019/10/01以降であっても、差額を取られることはありません。
 このような経過措置については、M One News 19-04をご覧ください。
 繰り返しになりますが、いまは2%分の支払が少なくても、後でその分、納付額が増えるだけです。
 
 以上は、消費税課税事業者の話。
 しかし、消費税免税事業者にとっては、利益にもキャッシュにも影響します。
 免税事業者は、概ね消費税分を納めなくて済んでいるから(「益税」と言います)、もともと、利益がかさ上げされ、Cashも潤沢のはず。そして今回さらに、消費税up分だけ潤うことになります。
 つまり、免税事業者こそが、駆け込み購入を行うべきと言えるのです。
 
 まとめましょう。

(注1)課税事業者でも入金~Tax納付のタイムラグ分、資金繰りのメリットを受けていますが、
   Cash潤沢に見える気の緩みの方が怖いため、メリットはないものとしています。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-13           2019/09/24 ポイント還元と価格政策②

 ポイント還元制度のわかりにくい原因として挙げられるのが、もうひとつ。
 それは、消費税分と、値引き分 or ポイント還元分が、混在していること。
 
 政府は、ポイント還元分がそのまま値引きされるイメージだったようですが、大手事業者が黙って見ているわけがありません。
 報道されているとおり、さまざまなニュースが流れています。
 
 少し拾っただけでも、以下のとおり。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-12           2019/09/24 ポイント還元と価格政策①

 ポイント還元制度は、(顧問先には配布した)小冊子「Q&A改正消費税 社長のための経営対応策の要点」P.3に詳細が記載されていますが、その要点は、
・中小事業者から
・キャッシュレス決済で
購入 or サービスを受けた場合に、5%還元を9ヶ月間行うというもの。
 
 クレジットカード会社などの決済事業者を通すことによって、事業者に対して5%を国が還元する制度で、消費者にどう還元するか(値引きするか、ポイントをつけるか)は事業者に一任されています。
 
 消費税率アップ分2%で済む還元を5%と奮発したにもかかわらず、この制度への中小事業者の参加率は低いレベルにとどまっています。
 
 その理由は、制度がわかりにくいことに尽きます。
 経営者が高齢なうえ、消費者も敬遠しがちとくれば、9ヶ月間だけのためにシステム改修や操作方法を覚えるのは面倒だというわけです(実際にはシステム改修は決済事業者が行ってくれる)。
 
 ただ、ポイント還元制度の本来の意義は、消費税負担ではなく、キャッシュレス促進にあります。
 オリンピックを来年に控える中、訪日外国人による消費活動(インバウンド)を活発化させ、現金管理による手間を省き、日本経済全体の生産性アップを目指しているのです。
 したがって、9ヶ月間で短期だからと取り組まないのではなく、効率性アップやニーズの取り込みという、経営的なスタンスから取り組むべきと言えましょう。
 
 
 実際に、どのようにポイント還元が価格政策に反映するのか、見てみましょう。
 

 飲食料品を取り扱わない小売店舗の消費税率は、表1のとおり。
 この%分が本体価格にオンされます。
 同じものであれば、明らかに中小店舗の方が安いので、消費者は中小店舗で買い物するでしょう。
 

 

 それに対して、大手はどう出るでしょうか?
 
 値下げや独自のポイント還元制度で対抗してくるのは容易に予想できます(表2)。
 一般に、中小より大手の方が利益率は高く、値下げ余地があるから、もっと値下げしてくることすら考えられます。
 
 この点からでも、中小事業者はポイント還元に積極的に取り組むべきと言えるでしょう。
 

 

 一方、軽減税率の影響はどうでしょう?
 
 中小レストランを前提に、試算してみました(表3)。
 価格ギャップが同様にありますが、外食は店舗内の雰囲気など無形で享受する分があるため、さほど価格引き下げ圧力は無いと思われます。
 コスト的にテイクアウトの容器代を考慮しても、安く済むはず。

 

 とすると、「消費者のわかりやすさ」が最大の価格政策要因になりそうですね。

 因みに、大手チェーンに関する現時点の情報を整理すると、テイクアウト価格と店内価格は、統一と不統一とで二分されるようです(表4)。
 ご参考までに。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-11           2019/09/24 軽減税率③

 引き続き、軽減税率で迷いやすいものの具体例を見ていきましょう。
 

この売り方は8%? 10%? さまざまな販売形態と税率

 

「飲食料品+それ以外」のセット商品は、金額と割合で判断

 おまけ付きの食品食玩・高価な容器の食品・食品の入った福袋などのセット商品(「一体資産」といいます)は、税抜1万円以下、かつ食品部分の価額割合が3分の2以上の場合、8%の軽減税率が適用されます。
 

外食なら10%、持ち帰りなら8%・・・・どこで食べるつもりかがカギ

 

新聞は、定期購読で週2回以上の発行なら8%

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M One News 19-10           2019/09/24 軽減税率②

 標準税率10%と軽減税率8%と税率が2種類になりますが(M One News 19-07)、軽減税率で迷いやすいものの具体例を見ていきましょう。
 

どんな飲食料品が8%?

 

酒類は10%・・・・ただし、全てのお酒ではありません

 

食品添加物は8%・・・・使用目的よりも売主の目的で判断

 

医薬品・医薬部外品は10%・・・・医薬品・医薬部薬は飲食料品ではありません

 

販売に必要な容器や送料はどうなるの?

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M One News 19-09           2019/09/09 価格政策②

 価格政策として、もう1つ付け加えるなら、消費者の立場に立った「わかりやすいか」の視点も重要です。
 この点で明確に分かれたのが、牛丼チェーン3社。
 ニュースを整理すると今日現在、すき家・吉野家・松屋は、価格予定表示がそれぞれ異なります。
 以下、本体価格を仮に¥100とします。
 

 
 価格政策の違いを如実に表していて、面白いですね。
 消費者への訴求力を取るか、価格転嫁を最優先するか、折衷案を取るか、最終的にはどの判断が正解だったとなるのか、目を離せません。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-08           2019/09/09 価格政策①

 経営者として考えるべきポイントは4つ。
 
(1)価格転嫁
 人不足、材料高騰等を原因として、値上げが増えています。
 前回は、便乗値上げダメとして価格転嫁が厳しく制限され、景気低迷の一因となりましたが、今回は、消費税値上げと同時期であっても、経営戦略上必要であればOKとされています。
 中小零細企業は概ね利益率が低いため、適正な価格転嫁をしていかないと、事業が立ち行かなくなりかねないので、積極的に検討すべきでしょう。
 
(2)駆け込み需要への対応
 過去ほどには想定されていないにせよ、一定の駆け込み需要は必ずありますので、取りこぼしがないようにしたいものです。
 生産能力の確保、特に人材不足による取りこぼしにご注意ください。
 
(3)商品開発
 テイクアウトの飲食料品については8%(軽減税率)のままなので、需要シフトに備え、テイクアウトの商品を検討すべきでしょう。
 
(4)需要平準化対策
 駆け込み需要があるということは、その反動があるということでもあります。それをどう平準化するかは、大きな経営戦略課題です。
 特に、駆け込み需要への対応で残業コストが増え、2019/10/01以降は逆に人が遊んでいる状況になってしまっては、かえってコストがかさんでしまっただけという結果に終わりかねません。
 あえて駆け込み需要を取り込み過ぎないというのも、経営判断の一つです。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-07           2019/09/24 軽減税率①

 消費税率が2019/10/01から10%になります(M One News 19-04)が、8%のまま(軽減税率)として認められるものがあります。

 8%のままといっても、10%を標準とする新税率の下での8%なので、現行の8%とは異なることに留意する必要があります。
 

 このとおり、合計の税率では同じでも、内訳が異なります。
 つまり実務では、消費税は10%・8%(~2019/09/30)・8%軽(2019/10/01~)を分けて把握する必要があるということです。
 消費税コードを分けて入力する会計ソフトであれば、自動的に国税・地方税に分けてくれるので、それほど手間はありません。
 

 ただ、その線引きが少々複雑。
 ① 飲食料品のうち、何が8%となり、何が10%になるのでしょうか。
 色分けすると、次のとおりです。

 
 外食は10%なのに、テイクアウトだと8%になる点は、いろいろニュースで報じられているとおりです。
 遊園地で食べ歩きをすれば8%なのに、屋台で買って前にあるテーブルで食べると10%になるのは、少々ややこしいですね。。
 ただ、レジで購入時に「食べ歩き」と言えば、8%で済みます。
 忘れないようにしたいものです。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-06           2019/09/09 経費精算書Form変更

 消費税改正直前対応として、請求書Form変更と同様、経費精算書Formもあらかじめ変更しておかなければなりません。
 請求書同様に、税率が入り混じるためです。経費はさらに、会議用のお茶菓子などで軽減税率(M One News 19-07)も加わります。
 そのため、10%・8%・8%軽の3つの税率が混在することになります。

         項目      摘要
旅費交通費、出張ホテル代・~2019/09/30支払分 : 8%
・2019/10/01~支払分 :10%
仕事時の弁当、出前、会議用のお茶菓子      8%軽
その他
      10%

 経費精算書Formの変更箇所は、10%・8%・8%軽という、3つの税率ごとに金額を集計するようにすればOKです。
 社員への告知徹底も忘れないように行う必要があります。
 
 
 面倒ですね。
 「旅費交通費、出張ホテル代」の8%は年内に無くなっていくでしょうが、「仕事時の弁当、出前、会議用のお茶菓子」は今後ずっとですからね。。
 まあ、それが軽減税率の目的ですから、やむを得ません。
 とはいえ、遠い(?)将来の次回消費税率アップ時は、さらに複雑になるのかと思うと、めまいがします。。。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-05           2019/09/09 請求書Form変更

 消費税の新税率が適用されるのは、2019/10/01以降の取引分からです。
 そして、この「取引」は、物品であれば引き渡し時期、サービスであればサービス提供時期に行われると考えるのが原則です。
 
 したがって、2019/09/30までと2019/10/01以降の取引とで、税率が変わってきます(M One News 19-04)。
 請求書上で税率が異なる取引が混在するということです。
 
 
【請求書上で税率が混在する例】

         例      説明

9月に仕事をした分と、10月に仕事をした分を、

11月に請求する場合

・ 9月に仕事をした分 : 8%
・10月に仕事をした分 :10%
定額サービスと実績請求が入り混じる場合・9月分の実績計算分 : 8%
・サービス料10月分 :10%
売上が20日締めなど末日締めでない場合
・~2019/09/30売上分 : 8%
・2019/10/01~売上分 :10%

 このように、普通に税率が入り混じります。
 
 
 では、どのように請求書Formを変更すればよいかというと、具体的には、請求書を税率ごとに金額を合計するように変更すればOKです。

 「① 軽減税率の対象品目である旨」は、軽減税率対象商品(食料品・新聞)の売上が無ければ不要なので、「② 税率ごとに合計した対価の額」だけ追加すればよいことになります。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-04           2019/09/09 消費税率

 消費税は、商品引渡しやサービス提供が行われたときの税率が適用されます。
 したがって、消費税改正前後では次のとおりになります。

 
 
 ただ、駆け込み需要の緩和や税率引き上げ前後の混乱を防ぐため、税率引き上げ後でも旧
 税率が適用される「経過措置」が、設けられています。
 主な経過措置は、以下のとおりです。

                                             → 目次へ戻る

M One News 19-03           2019/03/20 過熱するふるさと納税返礼品競争

 ふるさと納税の適正化(M One News 19-02)で触れたとおり、昨年閣議決定された2019年度税制改正大綱では、指定を受けた自治体以外への寄附(2019/06/01~)は、ふるさと納税制度の対象外となる見直しが盛り込まれています。
 
 この指定を受けるには一定の基準を満たす必要があり、特に返戻品を送付する自治体は、①返礼割合は3割以下②返礼品は地場産品、の要件が求められることとなります。

  ご覧のとおり、2015年度から受入額と受入件数が大幅に増えています。
 
 これは、自治体が返礼品の充実に力を入れ始めたことが大きな要因です。
 そして、返戻品の選択を目的としたふるさと納税専用サイトの充実や決済方法の整備など、利用しやすい環境が整えられ、さらに報道や確定申告が不要となる税制面での後押し等も手伝い、認知や定着が図られ、年々増加しています。
 
 特に、返戻品の充実は過熱の一途をたどり、いつしかふるさと納税は本来の趣旨を離れ、返礼品や返戻割合で選ばれる傾向となりました。
 
 この歪んだ状況是正のため、総務省は何度も「返礼割合は3割以下」「返礼品は地場産品」とするよう通知を出しましたが、次ページのとおり、2018/12/27公表の総務省調査結果では、52団体が実質返礼割合が3割超、100団体が地場産品以外の返礼品を送付しています。

  改正後は、指定だけでなく、指定取り消しもできるため、自治体は指定後も、一定の基準を遵守し続ける必要があります。
 特に、上記赤字自治体が指定を受けるには、前述の要件を満たすよう見直しが必要となります。
 
 今後、返礼割合や取扱い返礼品がどう変わるのか、目を離せません。

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M One News 19-02           2018/12/28 ふるさと納税適正化ほか

 消費税率アップに伴う消費テコ入れ策以外は、細かい点ばかりです。
 
(1)ふるさと納税の適正化
 行き過ぎたふるさと納税を是正するため、返礼品を返礼率が3割以下の地場産品に限定したうえで、適用自治体を総務省が指定する改正がなされます。
 2019/06/01~の寄付に適用されます。
 
(2)個人事業主の事業承継税制創設
 法人に関しては事業承継税制が昨年、大幅緩和されましたが、個人事業主にも同様の制度が創設されます。
 土地400㎡、建物800㎡までの贈与税・相続税を全額猶予されるとのことなので、かなりの効果が期待できるでしょう。
 多額の税負担による廃業を防ぐためですが、旅館や酒蔵、町工場などが想定されているようです。
 
(3)未婚のひとり親支援
 子ども貧困に対応するため、低収入の未婚ひとり親の住民税を非課税にしたうえで、年17,500円の手当を出すこととしました。
 
(4)教育資金贈与の範囲を一部限定
 子や孫の合計所得金額が1,000万円超の場合や、23~29歳の子や孫の趣味・習い事は対象外となります。
 
(5)NISA口座開設の年齢要件引き下げ
 NISA口座開設の年齢要件が、1/1時点で20歳以上から18歳以上に引き下げられます。

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M One News 19-01           2018/12/28 消費税率アップに伴う消費テコ入れ策

 今年の税制改正案の目玉は、何と言っても消費税率アップに伴う消費テコ入れ策です。
 
 前回の消費税率アップ時の景気低迷の反省から、景気低迷させないよう、さまざまな消費テコ入れ策が講じられています。
 
 
 例えば、住宅。
 2019/10/01~2020/12/31購入の自宅に適用される住宅ローン控除を3年間延長し、11~13年目に消費税2%分を税額還付しようというもの。
 「延長」とありますが、1~10年目は住宅ローン残高×1%、11~13年目が建物価格×2%と、還付税額の計算方法が異なるので、別の制度と思っておいたほうがいいかもしれません。

(ポイント)
 ・適用は居住用の自宅のみ
 ・11~13年目に所得税・住民税ともに税額が無ければ、還付されずに切り捨て
 
 売却してしまった場合でも還付されるのか、などの細かい点はまだわかっておりません。
 
 
 車に関しては、自動車取得税が1年間非課税となります(良燃費車のみ)。
 ついでに触れると、毎年支払う自動車税の恒久減税もなされます(2019/10/01~新車登録分)。

 所有から利用への変化に対応できているとは言い難く、また、排気量を課税ベースにする税体系では、排気量がない電気自動車には対応できないなど、まだまだ議論は道半ばといったところです。
 
 
 生活必需品への税率を抑える軽減税率も、同時に導入されます。
 食料品が代表的なものですが、10%の食品と8%の食品が入り混じる売り場で正確なレジ処理ができるのか、店内飲食とテイクアウトをきちんと区分できるのか、など懸念が尽きません。
 
 
 プレミアム商品券も発行されます。
 2万円で2万5千円の買い物ができる商品券です。
 2020/03までの利用期限とされています。
 
 
 また、キャッシュレス決済促進のため、ポイント還元制度も導入されます。
 この制度は、キャッシュレスで買い物した場合に限り、ポイントで還元するというもの。
 ただ、中小零細商店やカード会社を中心に反対の声も多く、悪用されかねない制度の欠陥も見つかったことから、本当に導入されるのか予断を許しません。

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M One News 18-25           2018/12/24 エターナル・サンシャイン

 バレンタインの直前に、あるカップルは喧嘩をして別れてしまう。
 
 彼が仲直りしようと思っていた矢先、「彼女はあなたの記憶をすべて消しました」という手紙がクリニックから届き、ショックを受ける。
 
 彼女に会いに行くと、自分のことを全く覚えていない彼女の態度に、彼女は本当に自分の記憶を消したのだとわかり、さらにショックを受ける彼。
 
 思い悩んだ挙句、つらい記憶を消そうと、彼女同様、そのクリニックを訪れる。
 自分も彼女との記憶を消去するために・・・。
 
 そんな冒頭シーンから始まる映画「エターナル・サンシャイン」。
 
 
 
 誰にもつらい記憶や嫌な記憶はある。
 その記憶が心のとげのようにささったままだったり、ふとしたことで蘇って仕事や勉強が手につかなくなったり。
 忘れようとすればするほど、ますます頭を離れなくなる・・・。
 いっそのこと、きれいさっぱり忘れてしまいたいと願うのは、誰しも同じだ。
 
 「忘却はより良き前進を生む」(ニーチェ)
 
 ニーチェの言葉どおり、記憶を消す手術を受け始めた彼だったが、彼女こそ記憶から消してはいけない大事な女性であると次第に気づき、最後は必死に抵抗を試みる。
 器具につながれ、別れから出会いの新鮮さに遡る記憶を逆行する中で、愛したり、喧嘩したり、葛藤したりした毎日を思い出す。
 
 そして、甘い愛の言葉をささやきあうだけでなく、葛藤や喧嘩などを含めた全体こそが、2人の絆であり、「現実」だったと悟るのだ。
 
 
 
 きっと、2人とも記憶を消したのは1回だけではあるまい。
 医院に行けば、簡単にリセットしてくれる。
 喧嘩してできた心の傷に耐えられない、もうイヤだ!
 と、楽しい記憶もあるものの、つらい記憶の方が多いから、完全に忘れようと、記憶を何回も安易に消してきたはずだ。
 
 にもかかわらず、また出会い、惹かれ、別れ、記憶を消すという、同じ行動を繰り返すことも、映画の中で明らかになる。
 
 失敗を次に生かすのは、難しい。
 特に男女関係はなおさらだ。
 
 
 
 映画では、ニーチェの言葉に続いてもう1つ、言葉が紹介される。
 「忘却は許すこと」(アレキサンダー・ポープ)
 
 2人は徐々に気づき始める。
 過ちは消せばいいってものじゃない、と。
 
 忘れ去るのではなく、乗り越えなければ、前進はない。
 そう、過去を捨てることでは何も生まれないのだ。
 
 つまり、ニーチェの言う「忘却」は、捨て去ることではなく、許すことだったのだ。
 
 今後もきっと、このカップルは大きな喧嘩をするだろう。
 だが、もう記憶消去には走らないはずだ。
 現実を受け入れ、乗り越えることこそが、成長へのステップだと学んだのだから。
 
 
 
 不器用な2人がそれに気づき、お互いに深く理解しあったところで、映画は終わる。
 
 「気持ちを変えて振り返ってごらん。
  気持ちが変われば世界も変わるから。」
 ベックのエンディング曲が心に響く。
 
 アレキサンダー・ポープはこうも言っている。
 「間違っていたと認めるのを決して恥じるべきではない。
 それは、言い換えれば、昨日よりも今日の方が賢くなったということだから」

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M One News 18-24           2018/12/03 カルロス・ゴーン②

 個人的には、ゴーン体制20年は長すぎたように思う。
 
 JALと日産を比べてみる。
 いずれも、技術力は高かったのに、官僚主義で組合が強かったため、経営危機に陥った。
 そして、前者は京セラ稲盛氏に、後者はルノー・ゴーン氏に助けを求め、いずれも大規模リストラを行い、業績をV字回復させた。
 
 異なるのはその後。
 稲森氏は次期経営陣にバトンタッチ、さっと身を引いたのに、ゴーン氏は君臨し続けた。
 
 入れ替わらない水は淀む。
 2014年の業績悪化の責任を志賀俊之氏に取らせて更迭(代取→取)。
 最近ではリコールの責任を西川廣人代取に押し付けたりと、自分の責任は棚上げ。
 
 そして、グローバルに行動するゴーン氏の出社は、当初こそ4割だったが、最近は月わずか数日だったという。
 それでも役員報酬は高止まりのまま。
 
 かつて松下幸之助氏は、諫言(かんげん)役として、ポケットマネーで1人雇っていたという話を聞いたことがある。
 自分が神になったように感じてしまうCEO病は、CEOなら誰しも免れ得ないが、松下幸之助氏の何とバランス感覚の優れていることよ。
 
 

 会社の今後の将来について考えてみよう。
 2017年の世界の販売台数は、右のとおり。
 
 現在、首位に肉薄している第2位グループなのだ。
 ルノーと日産は、開発・調達・生産拠点などをうまく補い合っている。 
 
 

 会社規模で比べると、日産がルノーを大きく凌駕している。
 
 
 
 
 

 ところが、ルノーと日産の資本関係はというと、まるで不平等条約。
 日産のルノー株15%の無議決権は仏国内法のためらしいが、不平等であることに変わりはない。
 
 
 
 日産としては、開発・調達・生産などで補完しあういい関係を維持したいが、資本関係によってルノーに吸収されるのは避けたいところ。
 
 
 
 西川氏はどう出るか。
 
 普通に考えれば、ゴーン氏とケリー氏を取締役から外すこと。
 それは株主総会でしかできない(一方、代表権剥奪は取締役会でできる)。
 しかし、筆頭株主ルノーが43%も所有していると、2位が数%程度では、プロキシー・ファイト(議決権争奪戦)は著しく分が悪い。
 
 いっそのこと、現在の株式15%を25%まで買い増しして、ルノーの議決権を無くしたいと考えているはずだ。
 25%まで買い増しできれば、ルノーの議決権を無くせるからだ(会308①)。
 そうすれば、平等な立場で交渉できる。
 
 ところが、株式の買い増しは、取締役会の専決事項として取締役会で決めなくてはならない(会362)。
 そして、日産自動車の取締役9人のうち4人がルノー出身者。
 残り5人は日本人だが、現時点でも取締役会で株式購入決議を行っていないのは、ルノーの息がかかっている人物がいるからか。
 それとも、ルノーと日産の間に何かしら契約があり、縛られているからか。
 
 ルノーの株主の15%は仏政府。
 株式比率が下がってきたとはいえ、元国営企業で、フランスを代表する企業。
 マクロン仏大統領の意欲ぶりを見る限り、何らかの圧力をかけてくるだろう。
 
 
 カルロス・ゴーン氏、そして日産自動車の行く末はどうなるのか。
 しばらくの間、目を離せない。

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M One News 18-23           2018/12/03 カルロス・ゴーン①

 日産自動車元CEOカルロス・ゴーン氏が2018/11/19に逮捕されてから早10日あまり。
 最初こそ情報が錯綜していたが、ようやく情報が整理されてきた。
 
 どうも、ルノーCEOの任期切れが間近に迫ったゴーン氏が、マクロン仏大統領と密約かなにかで、日産自動車をルノーに吸収する方向で動き出し、それを日々肌で感じて危機感を持った日産自動車と、2018/06/01に始まった司法取引で実績を上げて失地回復を目指したい検察庁の利害が一致し、電撃的な逮捕劇となったようだ。
 
 逮捕後の日産自動車代表取締役の西川(さいかわ)廣人氏の単独記者会見では異様感だけが漂っていたが、西川氏はゴーン・チルドレン筆頭らしい。
 記者会見を見ていた人なら、誰しも「クーデター」の文字が頭をよぎったと思うが、あながち誤っていなかったというわけだ。
 
 
 さて当初、極悪人のようにメディアでは報道されていたが、よくよく情報を整理してみると、役員報酬の単なる後払い。
 コンサルティング契約として、退任後に受け取る形だったとのこと。
 何のことはない、オーナー社長がよくやっていることではないか!
 
 
 メディア報道には注意する必要がある。
 
 「100億円の報酬を50億円に過少記載」と報道されていたが、この100億円は5年分。
 たとえば、年収500万円のサラリーマンが「2500万円の収入をもらっている」と言われたら、おかしいと思うだろう。
 
 また、傾きかけた会社を再建するにはリストラが必要だが、「人を首にしておいて報酬100億円ももらって」と嫉妬心満載で報道するのは、いやらしさにも程がある。
 本当に倒産してしまえば、現在時価総額4兆円を超える現在の日産自動車はなかったのだから。
 
 さらに、全世界に家を会社に買わせたというが、CEOなら全世界で「〇〇邸」「〇〇庵」などで業務使用するのはよくあること。
 
 
 
 とはいえ、無罪と無実は異なる。
 
 報酬の後払い契約は、取締役会を通さなかったそうだし、契約書を秘書室で極秘に管理していたことこそ、わかっていてやった証拠だ。
 業務使用で全世界に接客用に家を買うなら、ファンドやペーパーカンパニーを通さずに堂々と買うべきだ。
 姉へ業務実態のない契約で年1,200万円支払っていたことや、家族旅行の会社負担に至っては、言語道断。
 せこすぎる。
 
 
 金融商品取引法違反になるかどうかは、役務提供が過去分か将来分かの1点に絞られるだろう。
 
 過去の実績に対して、単に後払いにしたのなら、金商法違反であるし、脱税にもなる。
 そうではなく、不満だけれども(高額でいろいろ言われるのがイヤだから)報酬10億円に抑えて、退任後に業務委託契約で、つまり将来の役務提供の分としてもらうのなら、違反にならないし、脱税にもならない。
 
 お膳立てをしたグレッグ・ケリー前代表取締役は米国弁護士であり、お粗末な仕事をするとは考えづらいし、有価証券報告書不記載について金融庁に事前確認済みというニュースすらある。
 また、ゴーン氏やケリー氏は自身の弁護を米国の弁護士に依頼したそうだ。
 スター経営者ゆえ、海外からさまざまな横やりもあろう。
 検察庁の思惑通りにいくかどうかは不明だ。
 
 
 カルロス・ゴーン氏の経営者としての力量は、自他ともに認めるところ。
  ただ以前、ゴーン氏が日産のV字回復を成し遂げたときに、ゴーン氏を招いた塙義一元会長が「手法はありきたりだが、私が実施したら血を見た。ゴーンだからできた」と言っていたそうだ。
 思わせぶりな言い方だ。
 
 また、周囲の協力あっての話。
 贈答品を受け取ったり接待を受けたりしたら、始末書と誓約書を社員に書かせるなどコストカッターに徹する一方で、自分だけには甘くするのでは、社員がついてこまい。
 自分にだけ甘いゴーン氏の実態が白日の下にさらされたら、信奉していた社員が動揺するのは当然だろう。
 
 かつて村上龍がさまざまな成功者にインタビューする企画で、カルロス・ゴーンにだけはオーラを感じないというか、言っていることは間違っていないのだが、迫力というか面白みを感じないと発言していたことを、思い出す。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-22           2018/11/22 マイナンバー提供を拒否されたら?

 社員、士業、講師、大家などからのマイナンバー提供を拒否されたら、会社としてはどうすればいいでしょう?
 
 そうした場合の対処方法として、国税庁はFAQやガイドラインで明らかにしています。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/FAQ/gensen_qa.htm#a113
http://www.ppc.go.jp/legal/policy/answer/#q4-6
 
 そのポイントは、2点。
・義務であることを相手に伝え、提供を求めること。
・それでも拒否されたときは、経緯を記録しておくこと。

 
 経緯をメモしていないと、マイナンバー記載の無い理由が、相手の拒否にあるのか、会社側の単なる紛失なのかがわかりません。
 つまり、説明責任+記録が求められるということです。
 
 当分の間、税務署提出書類にマイナンバー記載が無くても、書類の受け付けはされるようですが、いずれ、マイナンバー提供拒否に何らかの理由がある、つまり、叩けばホコリが出ると思われ、(マイナンバー未記載者に対して)集中的に税務調査されるでしょう。
 とばっちりを受けないためにも、会社側も記録を残しておくことが大事です。
 
 具体的には、
・拒否された日
・義務であることを説明した日時・方法・人
・それでも拒否された日
などを記録しておくといいでしょう。


                                             → 目次へ戻る

M One News 18-21           2018/11/22 報酬等支払先の法定調書手続②

【Step 2】ピックアップした報酬等支払先へマイナンバー書類送付
 M One News 16-12「マイナンバー収集時の本人確認」で、社員の本人確認手続きを説明しました。
 報酬等支払先も、同様の手続きを行わなくてはなりません。
 
 異なる点は、毎日顔を合わせる社員とは違って、直接、会う機会が少ないという点。
 必然的に郵送等にならざるを得ないため、時間がかかります。
 手続きを誤ってしまうと面倒なため、郵送で収集する場合と、E-mailで収集する場合とで、必要書類やそのポイントをまとめました。

 社員同様、①②③のどれかを送っていただく必要があります。
 住民票にはマイナンバーが記載されていなければなりません。
 そして、その返送には信書便を利用するなどの、リスク対応策を講じる必要があります。
 
 
 信書便は普通郵便・書留・レターパックなどが該当し、ゆうパック・宅急便は信書便にはあたりません。
 コストがかかりますが、会社は「個人番号関係事務実施者」として重い責任が課されているため、やむを得ないでしょう。
 信書便利用は当然として、実務上、追跡機能も欲しいため、窓口扱いになる書留よりも、投函で済むレターパックがお勧めです。
 
 
 返送してもらう書類は、番号確認書類+身元確認書類。
 ただ、以下の書式で送付すれば、身元確認書類だけは省略できるものとされています。

 住民票にはマイナンバーが記載されていなければなりません。
 また、添付ファイルにパスワードをかけ、添付ファイルE-mailとパスワード通知E-mailを分けるなどのリスク対応を行う必要があります。
 パスワードをかけられない、いわゆる「写メ」はダメということです。
 一見、郵送よりも簡単に思えますが、撮った写真にパスワードをかけるのは、ワザが必要なため、難しそうです。
 
 
 詳しくは、「Q&A中小企業のためのマイナンバー制度実務対応ガイドブック」Q10~11を参照してください。
 個人的見解ですが、郵送による収集が無難でしょう。
 さらに、郵送でのやり取りに時間がかかることを考えると(1回でのやり取りできれいに終わるとは思えませんものね)、11/末までに発送できればいいですね。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-20           2018/11/22 報酬等支払先の法定調書手続①

 M One News 16-16「年末調整よりも法定調書の方が大変です」で、法定調書関係の処理量がかなり増えるため、準備に早めに取りかかった方がよいことをお伝えしました。
その概略は、以下のとおりとなります。
 
【Step 1】 マイナンバー収集先のピックアップ
【Step 2】 ピックアップした報酬等支払先へマイナンバー書類送付
【Step 3】 報酬等支払先からマイナンバー入手
【Step 4】 支払先ごとに1/1~12/31の金額集計
【Step 5】 支払調書作成
【Step 6】 法定調書合計表提出
 
 
【Step 1】マイナンバー収集先のピックアップ
一般的には、こちら。

   内容           収集先  金額
報酬、講師謝礼など税理士、社会保険労務士、弁護士、司法書士、講師など 年5万円超
不動産家賃大家年15万円超
不動産仲介手数料不動産屋年15万円超
株主配当金株主年10万円超

 
詳しくはこちら。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2017/pdf/13.pdf
 
 

上記金額以下の場合のマイナンバー収集は禁止なので、ご注意あれ。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-18           2018/11/07 年末調整は早めの準備を

  今年の年末調整におけるトピックは主に3点あります。

(1)税制改正
 共働きを支援しようと、2017年税制改正で、年収103万円の壁が150万円に広げる一方、税収確保のため、世帯主本人の所得制限がなされたのは、既にお知らせのとおり。
 M One News No.17-01「税制改正:配偶者控除等の見直し①」
 M One News No.17-02「税制改正:配偶者控除等の見直し②」
 それにより、毎月の給与源泉税の計算方法も変わっています。 
 M One News No.17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更」
 
 つまり、世帯主の配偶者控除・配偶者特別控除は、世帯主本人の所得と配偶者の所得の組み合わせで決まるのです。
 その数、なんと31通り!
 したがって、本人の所得はもちろん、配偶者の所得をできるだけ正確に把握することが重要になってきます。
  
 
(2)年末調整配布資料

 (1)のため、年末調整資料も変更になりました。

  2種類から3種類に増えたのです。
 単に増えただけではありません。もっともハードルが高いのは配偶者控除等申告書。
 配偶者の所得を5万円単位で把握しなければなりません(M One News No.17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更P.2の表参照)。
 どうりで31通りもあるはずです。
 
 
(3)年末調整時期
 (2)の配偶者の所得は、1年経過していない当初は見積もりによらざるを得ません。そのため、毎月の給与源泉税の計算上、見積りで行っています。
 そしてどうやら年末調整も、見積りで行わなければならないことになりそうです。
 なぜなら、12月はもちろん1月に行う年末調整では配偶者の正確な所得金額が必要となるからです。
 パートに出ている配偶者の所得は通常、勤務先の源泉徴収票で把握しますが、その源泉徴収票の発行時期は翌1月末までとされています。
 ところが、年末調整後に税務署に提出する法定調書提出期限も、翌1月末。
 全く同時期なのです。

  また、年末調整計算開始までに源泉徴収票が、すべての配偶者の手元に届くとはとても思えません。
 面倒だからと自分で確定申告してもらおうとしても、年末調整義務が会社にはあります。
 あちら立てればこちらが立たぬ。明らかに制度設計ミスです。
 
 今後は、実務的配慮として何かしらのアナウンスが国税庁から出てくると思いますが、それを待たずに、会社の方針を決めておいたほうがいいでしょう。
 
 例えば、
・法定調書提出期限1月末を守るのなら、年末調整に使用する配偶者所得は見積額にならざるを得ないが、年末調整資料提出期限をいつにするのか?
・その場合、期限後提出の年末調整資料は処理せず、自分で確定申告を行ってもらうのか?
・法定調書提出期限1月末を守らないのなら、年末調整資料提出期限をいつにするか?
・その場合、源泉徴収票発行遅れはどの程度許されそうか?
 ・・・など。
 
 方針をいずれに決定するにせよ、早めの準備を始めるに越したことはなさそうです。

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M One News 18-15           2018/07/26 西日本豪雨等への対応

  「平成30年7月豪雨」により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
国税庁より、今回の豪雨により被害を受けた方々への支援措置として「平成30年7月豪雨に関するお知らせ」が発表されました。被災された皆様やご関係の方々は内容をご確認の上、ぜひご活用いただければと思います。
 
 
●国税庁「平成30年7月豪雨に関するお知らせ」内容
・国税に関する申告、申請、納付等の期限の延長
・財産に相当の損失を受けた場合の納税の猶予
・災害発生後に期限の到来する予定納税や給与所得者の源泉徴収税額の減額、徴収猶予
・住宅や家財などに損害を受けた場合の所得税の軽減
・消費税簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例
 
詳細は以下の国税庁HPをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/h30/0709.htm

 
 
 また、中小企業庁からも、被災された中小企業の皆様が一刻も早く事業の復旧・再開ができるよう、支援策を検討し、その内容をまとめた「被災中小企業者等支援策ガイドブック」が発表されています。
 
 ガイドブックの中では、各種融資の実施や、借入金の返済猶予への対応、資金繰りに関する相談会など、事業の継続、再開に向けた経営全般に関する支援策が記載されております。詳細は以下の中小企業庁のHPをご参照ください。
http://www.chusho.meti.go.jp/201807gouu/ 
 
 被災された皆様が、一日も早く普段の生活を取り戻されることを、心よりお祈り申し上げます。

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M One News 18-14           2018/06/15 紀州のドン・ファン③

  今回は、愛犬イブの話。
 野崎幸助氏が亡くなった日が18/05/24。溺愛されていた愛犬イブが亡くなったのは、わずか18日前の18/05/06。
 事件との関りを調査するため、現在、遺骸を掘り起こし、外部の専門機関で検査しているという。
 
 
 野崎氏は愛犬イブに財産を全て遺したいとも言っていたと聞くが、法律的には犬は人間ではないので、財産をもらえない。
 「信託」という形でなら遺すことができる。遺言のようなもので、ペット信託とも言われる。
 つまり、「50億円をイブの世話に使ってくれ。世話人は〇〇。もしイブが亡くなったら、残りの財産はこう処理を頼む」と。
 遺言と異なるのは、1回目の遺す相手を指定できるだけでなく、2回目も指定できる点だ。その意味で、遺言よりも進んでいると言えよう。
 
 
 とはいえ、信託でも遺留分は考慮しなければならない。
 つまり、妻Sさんと兄弟は最低取り分として、法定相続割合の半分が保証されているから、妻Sさんは19億円、兄弟は1人1億円は最低でも受け取ることができる。
 50億円の半分は遺族に、半分は愛犬イブに遺す信託を設定できたということだ。
 
 
 とはいえ、そのイブも没。
 もうすぐ解剖結果が出るだろう。その結果で捜査も進展するに違いない。
 これで犯人が判明すれば、火葬ではなく土葬にこだわった野崎氏の報いた一矢となるかもしれない。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-13           2018/06/15 紀州のドン・ファン②

  M One News 18-12「トピック:紀州のドン・ファン①」では、妻Sさんが犯人だった場合は相続権がなくなると書いたが、それは刑が確定したときの話。
 逮捕・起訴されても、裁判を経ないと刑が確定しないから、長期化するのは容易に想像できよう。
 
 和歌山毒物カレー事件では、1998年に逮捕・起訴されてから2009年に最高裁で死刑が確定するまで、11年もの年月がかかっている。
 今回も同じで、この間、いわば宙ぶらりん状態ということになる。

  今度は、相続税がどうなるかを見てみよう。
 
 妻Sさんは38億円、兄弟6人は1人2億円を相続する。
 そうすると、妻Sさんの相続税は約20億円、兄弟は1人約6,500万円と計算される。
 この相続税は、野崎幸助氏の死亡日18/05/24から10ヶ月以内、つまり19/03/24までに納付しなければならない。
 
 
 20億円納付としても38億円もらうんだからいいでしょ、と思うかもしれないが、そう簡単にはいかない。
 
 銀行の立場に立って考えてほしい。
 相続人1人からの引出し要請に銀行が安易に応じてしまうと、他の相続人から後日文句を言われてしまうかもしれない。そこで、全員の了承を得たうえで、引き出しに応じることにしているのだ。
 通夜・告別式で亡くなった時の状況を親族にロクに説明もせず、スマホばかりいじっていて、親族が声を荒げたとか、不謹慎ないろいろな話が聞こえてくるから、親族が銀行への用紙に全員すんなり押印するとは思えない。
 
 
 とはいえ、相続税は連帯債務。
 つまり、妻Sさんが相続税を納付しないと、兄弟6人が納付しなければならない。感情的には許せなくても、最終的には押印しなければならないだろう。
 銀行も巻き込まれるのを避けたいから引き出しに簡単に応じることはないと思うが、書類がそろっていれば拒否できない。
 
 
 
 また、遺産50億円がすべてキャッシュとは限らない。
 不動産かもしれないし、所有している会社の株式かもしれない。現金化にも時間がかかるから、そうゆっくりとはできないはずだ。
 
 相続税納付期限の方は最初から決まっているから、現金化に時間がかかり、10ヶ月以内に納税できないとしよう。
 すると、年8.9%の延滞税がかかる。
 
 妻Sさんの相続税は20億円だから、年1.8億円の、いわば利息がかかることになる。
 兄弟ですら、1人あたりの相続税6,500万円の利息は約600万円にものぼる。
 
 
 実務家が「もめると損ばかり」と言う意味はここにあるが、はたしてすんなり納税資金を用意できるかどうか、この点からも見ものだ。
 
 
 
 次回は愛犬イブについて。

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M One News 18-12           2018/06/15 紀州のドン・ファン①

  現在、耳目を集めている、和歌山の実業家、野崎幸助氏(77歳)が18/05/24に急逝した事件。
 不審な点が多いことから、警察が捜査に乗り出し、死因は急性覚醒剤中毒、殺人事件として捜査されている。
 野崎氏の遺産は50億円とも言われ、55歳年下の22歳の自称モデルSさんと3ヶ月前に結婚したばかり。
 事件の臭いがプンプンするが、和歌山県警の捜査ではいまだに決定的証拠があがっていないようだ。


 和歌山県警と言えば、直接証拠が乏しいまま状況証拠だけで逮捕・起訴せざるを得なかった1998年の毒物カレー事件を想い起こさせる。
 真相究明を今度こそと雪辱を期す県警は、第一発見者の妻Sさんと家政婦Tさんをウソ発見器にかけたり、会社の従業員まで尿検査や粘膜採取したりと、やっきになっている。
 野崎邸に設置されている38台もの監視カメラに残っている映像も調べているだろう。
にもかかわらず、捜査があまり進んでいないとは本当だろうか。


 それはともかく、この事件を相続の観点から見てみよう。
 相続財産50億円はどうなるのか。

 子供もおらず、遺言もないため、法定相続割合どおり、50億円の4分の3(38億円)を妻が、4分の1(12億円)を兄弟6人が相続することになる。
 妻が多額なのはもちろん、兄弟ですら1人2億円にもなる。 

   仮に妻Sさんが犯人とすると、相続人欠格となり、相続権を失う(民法891①)。
 その場合、兄弟6人が50億円を相続することになる。1人あたりの相続財産が、2億円から8億円と4倍になるわけだ。 

   殺人動機に十分と思うがいかがだろう?
 つまり、妻Sさんをそそのかすか、あるいは妻Sさんが容疑者になるように仕組んだ兄弟が、もしいたとしたら・・・。
 ミステリー小説はだしだが、県警も当然にそう考え、慎重に捜査しているに違いない。


 一方、妻Sさんがもし妊娠していたら、兄弟には一銭も行かず、Sさんが半分相続、Sさんの子供が半分を相続できることになる。 

   妻Sさんが犯人かどうか、他に真犯人がいるかどうか、妻Sさんが妊娠しているかどうかで、財産の行方は大きく変わる。
 当分の間、目を離せない。 

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M One News 18-11           2018/03/22 青色申告特別控除の見直し

 給与所得控除・公的年金等控除引き下げ(M One News 18-08M One News 18-09)に伴う所得控除調整です。
 そのポイントはこちら。

 他も合わせてまとめると、このとおりになります。

 freeeやMFクラウド等のクラウド会計ソフトのほとんどは、電子帳簿には対応していません。
 
 「えっ?」と思う人も多いでしょうが、電子帳簿保存法で規定する「電子帳簿」には、「帳簿」(総勘定元帳・仕訳帳)と、その関係書類の「領収書等」の2種類があり、クラウドソフトで対応しているのは後者だけなのです。
 クラウドソフト会社のHPを見ても、領収書等のスキャナー保存には大々的にアピールしていますが、帳簿の電子保存については記載がなく、注意が必要です。
 したがって、freeeやMFクラウドを使用している場合、総勘定元帳・仕訳帳を紙印刷し、7年間保存する必要があります。
 
 
 そして、基礎控除改正(M One News 18-07)とトータルで見ると、以下のとおりとなります。

 つまり、一見増税に見えるけれども、増税どころか、電子帳簿保存 or e-Tax申告している人を優遇するという減税なのです。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-10           2018/03/23 所得控除調整による配慮

 給与所得控除・公的年金等控除引き下げ(M One News 18-08M One News 18-09)に伴う所得控除調整です。
 そのポイントはこちら。

  「給与年収850万円超の子育て世帯等」とは、給与等収入850万円超で次に該当する人を言います。
 ・22歳以下の扶養親族がいる
 ・本人 or 扶養親族が特別障害者である
 
 給与等収入が1,000万円以下までは増税の影響をゼロ、1,000万円超は増税の影響を緩和するよう調整するというもので、その調整内容は、(給与等収入-850万円)×10%(Max 15万円)を給与所得等から控除することで行います。
 
 子育て世帯等はいろいろ支出もあり負担も大きいことから、今回の増税にあたって配慮したということです。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-09           2018/03/22 年金控除引き下げ

 続いて、公的年金等控除。
 改正ポイントはこちら。

 それに伴い、公的年金の速算表は大きく変わります。

 ご覧のとおり、非常に複雑になります。
 基礎控除10万円引き上げ(M One News 18-07)と相殺され、実質的に影響ないのは給与所得控除と同様(M One News 18-08)ですが、異なるのは、公的年金収入以外の所得が多額の人は公的年金控除が引き下げとなる点です。
 
 年金収入は高齢者の生活基盤となるために控除を多めにとる配慮をしているのですが、年金収入以外に所得が多い人はその配慮を減らしたということです。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-08           2018/03/22 給与所得控除引き下げ

 次は、給与所得控除です。
 その改正のポイントはこちら。

 より具体的に給与所得控除を見てみましょう。

 上記改正ポイントでは、給与所得控除10万円引き下げで「増税」としましたが、基礎控除10万円引き上げ(M One News 18-07)と相殺され、実質的には影響ありません。
 
 影響があるのは、年収850万円~1,000万円のサラリーマンですが、支出がかさみがちな子育て世帯等には別途、配慮されています(M One News 18-10)。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-07           2018/03/22 基礎控除引き上げ

 昨年の今頃の国会は籠池氏問題で紛糾していましたが、その流れで今年は、元国税庁長官である佐川宣寿氏の証人喚問まで事態が進んでいます。
 証言の内容によっては、麻生太郎財務相辞任どころか内閣も飛ぶだけに、例年3月下旬に成立する税制改正法案はどうなるのか、目が離せません。
 
 税制改正のうち、所得税関連で大きな目玉が所得控除です。
 多様な働き方に対応するため、給与所得控除・年金控除から基礎控除に10万円振り替え、そのうえで、税制が本来持つ所得再分配機能を強化し、高所得者層に増税するというものです。
 
 その所得控除の主な改正内容を順次、説明していきます。
 
 
 まずは、基礎控除。
 ポイントはこちら。

 具体的には以下のように変わります。

                                             → 目次へ戻る

M One News 18-06           2018/01/09 国税庁がビットコイン長者のリストアップを開始

 先日、M One News 18-04「仮想通貨高騰と税金」でお伝えしたとおり、「儲けたと公言している億り人は大丈夫か?」と思っていたら、新年早々、国税庁がビットコイン長者のリストアップに着手したとのニュースが流れてきた。

 
 時価総額1位のビットコインは1年間で20倍、2位のリップルは200倍となれば、売却益の申告漏れについて国税庁が放っておくはずがない。
 東京と大阪の国税局ネット商取引専門チームが分析し、重点管理富裕層プロジェクトチーム(富裕層PT)にデータを提供、データベース化を進め、追跡管理体制を取ることになると思われる。
 
 富裕層PTは、富裕層による過度な節税や課税回避への監視を強めるため、2014/07に東京・大阪・名古屋の3国税局に設置された約50人のチーム。
 資産家本人はもちろん、親族や関連企業・団体の国内外での資産の動きを組織的に監視・追跡し、資産の把握と申告の適正性をチェックするもの。
 数年かけてノウハウの蓄積を図ることができたことから、2017/07には増員して全国12国税局に展開・設置された。
 2017/07以降、既に一部の取引業者からデータを入手し始めているという。
 
 仮想通貨取引はインターネットで完結するから税逃れができそうだ、と勘違いした人は多かったのではないだろうか。
 従来の情報収集手段では、確かに難しかったろう。
 だが、ブロックチェーンは、改ざんができにくい信頼性の高い技術。国税庁はそれを逆手に使えるというワケだ。
 
 特に、資金決済法で仮想通貨を「通貨」と認め、取り扱い業者を許可制とし、本人確認を義務化したから、なおさらのこと。
 したがって、取引所さえ押さえれば、首根っこをおさえることができることになる。
 
 法定調書の面ではまだ義務化されていないが、取引所に協力を求めれば、データを入手することができる。
 正当な税務調査手続を行えば、それも可能だ。
 財産債務調書も、その趣旨上、当然ながら記載が必要。
 
 以上の情報を、2018/02~03申告の確定申告書と照合。
 不審な点があれば、調査に入り、追徴課税や脱税容疑での立件が検討されることになるだろう。
 
 ただ、海外では「通貨」と認めていない国も多く(日本は仮想通貨先進国なのだ!)、100ヶ国以上との情報交換制度の本格運用が始まらないと、抜け穴になってしまう。
 懸念されるところだ。

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M One News 18-05           2017/12/27 財産債務調書

  年末時点で3億円以上の財産 or 1億円以上の上場株式等を持っている人は、財産債務調書を税務署に提出しなければならないという制度で、2015年分の申告から適用されている。
 
 概要は以下のとおり。
 確定申告書を提出する人のうち、総所得等が2000万円超ある人で、年末時点で財産3億円以上 or 株式等1億円以上の人は、翌3/15までに財産債務調書を提出しなければならない。

  詳しくはこちら。
 https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hotei/zaisan_saimu/index.htm
 
 これは、あまりに申告漏れが多いことから、収入の申告が正確かどうかを、資産残高からもチェックすることで、所得税・相続税の申告漏れを防ごうとするもの。
 
 対象者を富裕層にしぼったため、従来の「財産及び債務の明細書」に代わるものと言っていいだろう。
 提出しないこと自体にはペナルティは無いのは同じだが、申告漏れが生じた場合はペナルティがプラスされるのが異なるところ。
 質問調査権も税務署に認められているし、拒否や妨害をすると、1年以下の懲役 or 50万円以下の罰金が課されるので、そのリスクは十分理解しておくことが必要だ。
 
 
 では、財産の評価はどうするのか。
【評価のポイント】
 ・12/31時点の時価
 ・「財産」は、海外も含む
 ・「財産」の不動産は、固定資産税評価額で評価
 ・「株式等」の未上場株式は、簿価純資産で評価
 ・「財産」には、生命保険も含む
 ・「財産」には、仮想通貨も含む
 
 相続税の評価でないのは救われるところだが、実務上、集計が毎年必要になるのが面倒な点である。
 特に最近は仮想通貨が高騰しているから、きちんと記載を忘れないようにしたい。
 通貨なので、現預金欄に記載することになると思われる。
 
 トピック的な話題は税務署も意識するから、記載を安易にパスすると、後からペナルティーがかかってくることになりかねない。
 マイナンバーも導入されたし、ペナルティにつながるので、資産管理体制を整えた方がいいだろう(というより、会計士の立場からすると、資産管理は必須なのだが・・・)。

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M One News 18-04           2017/12/27 仮想通貨高騰と税金

 最近、何かとニュースを聞く『仮想通貨』。
 ビットコインが代表格として取り上げられているが、1年で約20倍に値上がりと、その激しい乱高下ぶりから、投機の印象が強い。
 
 しかし、非中央集権的な分散型のため、改ざんしにくく信頼性が高い仕組み(ブロックチェーン)は革新的だ。
 一般的に言われるメリットは、以下のとおり。
 ・中央機関に依存していない
 ・信頼性が元来高い仕組みのため、送金手数料が安くすむ
 
 ただ一方で、乱高下する限り、通貨として不適格であるし、その優れた送金特性が価格高騰によって失われてしまっている。
 例えば、国内最大手の取引所ビットフライヤーの場合、送金手数料は0.0004 BTCだったので、17/12/23現在のビットコイン価格約170万円だと680円。
 これは、銀行の国内他行送金手数料を上回るレベルだ。
 17/07/01時点では28万円だったから、送金手数料は112円で済んだのに・・・。
 
 つまり、ビットコイン価格が上がれば上がるほど、送金手段としては割高になってしまう構図なのだ。
 そこにさらなる追い打ち。
 17/12/24付で送金手数料は0.0015 BTCと約4倍に値上がってしまった(ビットフライヤーの場合)。
 
 取引処理が大量に滞っているために台帳に書き込む処理(マイニング)をするマイナー(採掘業者)へのインセンティブをアップさせたのだが、これは同時に、通貨としての利用がさらに遠のくことを意味する。
 結果、利用目的よりも投機目的で所有する人が多くなっているのが現状だ。
 
 
 そんな仮想通貨の取扱いは、国によってまちまちだ。
 中国や韓国では取扱い禁止、韓国では通貨とすら認められていない。
 オーストラリアでは通貨ではないが、財産価値があるものとされている。
 
 日本では2017年に明確化された。
 資金決済法で通貨として認め、財産価値ありとされたのだ。
 
 具体的な取り扱いとして、(通貨なので)消費税は非課税、所得税は売却時・支払手段として使用時に課税される。
 海外と異なるのは、海外では仮想通貨間で交換しても課税されないが、日本では交換時も課税される点。
 
 そして、税率はMax 55%。
 雑所得扱いで総合課税となる。
 
 これは、支払手段としても使用できることから、譲渡所得ではなく、雑所得にされたのであろう。
 所有者としては、価格が上がるのはうれしいものの、だからといって売却すると半分未満しか残らない。
 
 逆に暴落して購入金額よりもマイナスになると、損は切り捨てになってしまう。
 「利食いのタイミングをいつにするか」という贅沢な悩みを抱える人も多いのではないだろうか。
 
 2017年の確定申告で注意しなければならないのは、財産価値があるとされたため、相続財産として相続税も課税されるし、財産債務調書に記載が必要ということだ(国内財産にあたるため、国外財産調書には記載不要)。
 通貨なので、現預金欄に記載することになると思われる。
 調書不記載についてペナルティーはないが、申告漏れがあるとペナルティーが加重されるので、気をつけたい。
 
 
 現在、国税庁は富裕層プロジェクトチームを全国展開して、富裕層を重点管理している。
 国税庁にとっては「宝の山」だが、納税者側からは「ブラックリスト」。
 このリストに載ってしまうと、なかなか外されることはない。
 
 国税庁が調査しがいのあるプロジェクトとして特別に意識しているのは、パナマ文書、パラダイス文書ときて、第3弾がこの仮想通貨高騰だろう。
 国税庁がにんまりして腕まくりする様子が目に浮かぶ。
 
 従来からの富裕層は派手な行動をすることなく控えめにしているが、心配なのは「にわか金持ち」。
 『億り人』としてTVに顔をさらす「にわか金持ち」を見るたびに、後でツケが来るだろうに、という老婆心を禁じ得ない。

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M One News 18-03           2018/01/10 セルフメディケーション税制

 医療費控除提出書類と並んで、2017年度税制改正で新設されたのが、セルフメディケーション税制(2017年分申告から適用)。
 
 従来の医療費控除が「治療」を主な目的にするのに対して、こちらの目的は「予防」。
 つまり、健康維持(=病気予防)に取り組む人の医薬品購入を、税制面で優遇しようというもの。
 クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life。生活の質)を充実させるだけでなく、国の医療費の膨張を抑える狙いがある。
 
 具体的には、健康診断・メタボ検診・人間ドック・予防接種など自助努力をしている人は、同一生計の家族の市販薬代の金額が年12,000円を超えた場合、その超えた金額の所得控除を受けることができる(Max 88,000円)。
 
 対象市販薬の品目一覧はこちら。
 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000333659.pdf
 
 見てもらえればわかるが、ひとつひとつ該当するかを探すのはとても面倒だ。
 したがって、実際には、ドラッグストアでの購入時に、薬のパッケージに右のマークがあるかどうかで、判断することになろう。
 
 健康を維持し、病気を予防するという考え方は立派だが、実務上、集計が簡単であることも大事なポイント。
 
 具体的には、確定申告における注意点は、通常の医療費控除との選択適用という点だ。
 つまり、通常の医療費控除の方がトクなのか、セルフメディケーション控除の方がトクなのかをシミュレーションして、どちらを適用するかを判断する必要がある。

 当事務所では、どちらの適用が有利かシミュレーションできるよう、また、明細書も自動作成するよう、いずれExcelファイルを提供する予定だ。

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M One News 18-02           2017/12/27 医療費控除の改正

 明細書を提出する代わりに領収書は提出不要。
 その代わり、いつでも税務署に提示できるよう、領収書原本を5年間保存しておく必要があるというもの。
 
 これは実務上、非常な『改悪』だ。
 何が『改悪』かといぶかる向きもあるかもしれないが、従来は領収書の合計金額を出すだけでよかったのに対し、明細書には、治療を受けた人の名前(同一生計の家族も含むため)・病院や薬局などの支払先・金額を記載しなければならない。
 つまり、従来なら電卓で足し上げるだけでよかったのに、明細書だと一つひとつ記載しなければならず、手間が増えるということだ。記載しないと明細書にならないからだ。
 
 もっとも、健康保険組合加入者は、組合からの通知書で明細書の代わりになるので、組合加入者は従来よりも楽になろう。
 
 問題は、国民健康保険に加入している高齢者だ。
 ただでさえ病気がちで領収書が多いのに、Excelが使えないとしたら・・・。
 
 3年間(2017~2019年分の申告)は、従来どおりの領収書提出でもいいのだが、その間に健康になっておけ、ということか。
 いやはやホント、健康に勝るものはありませぬ。

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M One News 18-01           2017/12/26 天網恢恢 疎にして漏らさず?

 『天網恢恢(てんもうかいかい)、疎(そ)にして漏(も)らさず』。
 
 「天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。
 悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ」(故事ことわざ辞典)
 
 
 最近、脱税摘発事件をよく耳にするようになった。
 コンプライアンス意識が高まっている社会風潮や、内部通報制度の整備だけでなく、税務調査が広く浅くというより、怪しいものに対して集中的に行われる方向に変わっているのが、一因だろう。
 また、支払調書を含めた情報収集精度が上がってきているのも、影響しているのに違いない。
 
 その中で、情報連携の本格運用が2017/11/13 に始まったマイナンバー制度は、3年目に突入する。
 もう少し具体的に言うと、2018/01/01 からマイナンバーが預金口座とひもつきになるのだ。
 
 正確な資産把握を行うのが、国税庁の目的(=納税者のデメリット)。
 マイナンバー提供は任意だから、イヤであれば拒否できるが、問題は海外。
 
 というのは、マネーロンダリング防止や税収確保といった観点から、経済協力開発機構(OECD)が策定した共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)が2018/01/01 からスタートする。
 これはタックスヘイブン(軽課税国)を含む100 以上の国や地域間における自動的情報交換制度で、銀行・証券会社・保険会社・信託の口座を対象とし、納税者の名前・住所・納税者番号・残高・利子配当等を電子ファイルで提供しあうというもの。
 
 この納税者番号が日本ではマイナンバーにあたる。
 つまりマイナンバー提供は、日本では任意でも海外では義務なのだ。
 
 そして例えば、シンガポールに口座を持っていると、2017/12/末の情報が2018/09 までに国税庁に送付されてくる。
 
 集計が面倒で申告をパスする場合はもちろん、パスワード失念等でログインできなければ、本人は金額すら把握できず、もちろん申告もできない。
 国内利子の20%課税とは異なり、海外利子はMax 55%課税だから、申告しなければ、期限後のペナルティも含めると、ほとんど手取りが残らなかった、なんて話になってしまう。
 
 
 また、2017/01/01 から海外で口座開設時にマイナンバーを求められるようになり、困惑するケースが続発している。
 日本人の感覚からすると、「日本ではマイナンバー提供は任意なのに、なぜ海外で提供しなければならないのか」と思うだろうが、海外では義務なのだから、提供しないと口座を開設してもらえない。
 
 海外に渡航する場合にマイナンバーを携える人はまずいないから、もし家族が日本にいて手伝ってもらえなければ、口座開設はできないことになってしまう。
 
 CRSにはタックスヘイブンで有名なケイマン諸島・マン島やスイスが入っている一方、米国は加盟していない。
 
 そのため、一部の富裕層に米国に資産を移す動きも出始めているが、国税庁は「米国にも情報交換を要請していく」としているから、安易な対応では税務調査のきっかけになるので、気をつけた方がいいだろう。
 
 何しろ、富裕層に調査に入りたくてしょうがないのだから。不利になるきっかけを自ら与えるのはスマートな人のやることではない。
 
 マイナンバーの本格運用開始で、国税庁は「天網恢恢、疎にして漏らさず」と呵々大笑しているだろうが、ジョージ・オーウェルが「1984 年」で描いた情報管理社会が身近に迫っているような危惧を覚えるのは、考えすぎだろうか。

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M One News 17-12           2017/12/26 個人事業主の税務調査のポイント

 税務調査が厳しくなっている。
 いままでは無事通っていたから大丈夫だろう、儲かっていないから、ウチは小さいから、というのは早計だ。
 
 税務署員のお目こぼしレベルが減っているうえ、「このくらいならいいだろう」と少額で始まったいい加減な計上が毎年少しずつ多くなっていくのは、よく知られた人間の心理でもある。
 早くても数年後の税務調査時には、金額が多額になっているため、どんなにお目こぼししてくれる税務署員でも、見過ごせなくなってしまうのだ。
 
 7年ぶりに税務調査に入られたA氏のケース。
 家族の外食費はもちろん、息子の学費や小遣いまで経費で計上していた。
 本人もわかっていたはずなのに、「少しぐらいならいいと思って」とは本人の弁。
 結局、何も反論できず、ペナルティも含め、数百万円の納税になってしまったのだ。。
 
 ぜひ皆さんにはくれぐれもそんなことが無いようにしていただきたい。
 特に注意しなければならないポイントを以下にまとめた。
 参考にしてほしい。
 
(1)自宅の事業割合
 店舗がある人はともかく、自宅がオフィスと兼用になっている場合、床面積基準で事業割合を算定するのが原則。
 「ウチはよく使うから」と多く計上しようとしても、まず通らない。
 自宅で打合せをするからと、(例えば)5割計上しようとしても、「では、週何回、来客があるのですか? 来客はまるまる1日ですか?」と突っ込んでくるだろう。
 本当に打合せしているのならまだしも、生活感丸出しだと、調査官が家に来れば一目瞭然。たちまちバレてしまう。
 そうすると、家賃、水道光熱費、損害保険料、固定資産税、減価償却費などが否認され、影響は大きい。
 
 
(2)車の事業割合
 そもそも、法人でない個人が、車を経費計上するのは難しい。
 もちろん、利用している部分は落とせるのだが、逆に言えば、利用している部分しか落とせない。
 事業利用が前提の法人所有の車とは、ワケが違う。
 事業利用が前提でない場合に、事業利用を立証するのは、それなりの努力が求められるということだ。
 
 特に、副業しているサラリーマンが通勤で車を利用している場合は、車経費はおおむね走行距離に比例すると考えられるから、経費計上は少額になるはずだ。
 それを、一律に(例えば)80%計上するのは無理があろう。
 したがって、実態に応じて、毎年、事業割合を検討する必要がある。
 
 
(3)事業関連性
 事業である以上、売上をあげるために経費を使うのが当然だが、そこには何らかの必然性があるはず。
 プライベートとの境目があいまいなグレーゾーンは、あいまいが故に、目をつけられやすい。
 特に、帳簿の摘要で「消耗品」とか「備品代」は、ウソをつきたくない人間の心理が表れており、言わば「逃げている」状態。
 本当に事業に利用しているなら、もっと具体的な商品名を記入するからだ。
 プロの税務署員なら、見逃すはずはない。それだけを集中的にチェックするベテラン調査官もいるほどだ。
 
 
(4)帳簿の摘要
 (3)は摘要に入力あっての話。
 何も入力されていなければ、もちろん、それ以前の問題だ。
 「帳簿」は日付・取引先名・内容・金額が要件とされており、欠けていると、「帳簿」とは言えない。
 調査官がやってきても、そんな帳簿で効率的な税務調査などできるはずもなく、すべて否認されるか、整理し直しを求められることになる。
 結局、1日で終わるはずが、数日~数週間かかることも多い。
 
 
 また、統計データを利用して、税務調査先がピックアップされるようになった。
 したがって、各業種の利益率からかけ離れていると、調査されやすい。
 「赤字だから調査されない」のは、過去の話ということだ。
 かつては、税理士のサインがあれば、よほど目を付けられていないと、税務調査などなかった。
 
 しかし今では、おかしなところがあれば、調査される。
 調査されると、時間・労力を使うだけでなく、精神的にも良くない。
 気を付けたいところだ。

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M One News 17-11           2017/11/24 給与源泉税の計算方法変更②

 M One News 17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更」でお知らせしたとおり、2018/01支給分の給与から、配偶者の「扶養」の概念が変わることで、源泉所得税の計算方法が変更になります。
 そのため、扶養控除等申告書の形式も、2017年分と2018年分とで異なっています。
 従来は、2018年分の扶養控除等申告書への記入内容で2017年分の年末調整を行っていた会社も、2017年分の扶養控除等申告書と2018年分の扶養控除等申告書の2枚を配布せざるを得ないケースが多いと思われます。
 
 
 TKCのPXまいポータルを利用している会社は、Webで扶養控除等申告書の回収が終わり、非常に簡単ですが、そのポイントは2点。

(1)2017年分と2018年分とで分けて入力

 
(2)配偶者がいる場合、『質問形式による扶養区分』で判定がベター

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M One News 17-08           2017/11/17 年末調整もすべてオンラインに

 国によるICT(Internet Communication Technology(情報通信技術))活用の第2点目が、年末調整。
 確定申告同様、年末調整もオンラインになる方向です。
 保険会社から発行される保険料控除証明書、銀行から発行される住宅ローン控除証明書などがオンラインで発行され、既に電子化が認められている扶養控除等申告書等と合わせ、オンラインで年末調整が完結します。

 また、年末調整後の毎年5月頃に発行される住民税の特別徴収額通知書(給与から天引きする住民税の通知書のこと)の社員分も、電子化が検討されています。
 現在は、市区町村から紙で送付され、自治体側は印刷・封印・送付、会社側は開封・確認・システム入力・社員への配布・保管等、膨大な作業が発生しています。
 これこそ、最も電子化すべきものでしょう。

 売上に直結しない間接部門は、経費が即、利益に反映します。
 人不足が事業のネックになる現在、間接部門の生産性を今後、いかに上げるかは、ICTをどう活用するかにかかっています。
 経営者も、ITリテラシーがますます求められる時代になりました。

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M One News 17-06           2017/11/14 給与源泉税の計算方法変更

 2017年税制改正で決まった配偶者控除等の見直し。
 2018/01支給分の給与から、源泉所得税の計算方法が変更になります。
 改正のポイントは2点。
 (1)配偶者の所得要件の緩和 減税
 (2)世帯主の所得制限    増税
 
 詳しくはこちら。
 M-One News 17-01「税制改正:配偶者控除等の見直し①」
 M-One News 17-02「税制改正:配偶者控除等の見直し②」
 
 増税と減税が入り混じっていますが、年収1,220万円以上で配偶者控除が一切取れなくなるなど、高収入者に厳しい改正となっています。
 
 例えば、年収1,220万円のサラリーマンの場合、増税額は年12.5万円。
 月額の手取りベースで1万円以上減ることになります。
 昨年発表されたときは減税ばかりが報道されていましたが、増税の影響はかなり大きいと言えましょう。
 
 年収1,220万円未満のサラリーマンは、増税・減税どちらに転ぶかはわかりませんが、給与計算上、本人の年収と配偶者の年収の組合せで、配偶者控除 or 配偶者特別控除を適用するかどうかが決まるのです。
 それを表にしたのが次の表。

 注意しなければならないのは、その年の見積額で判定するということです。
と言っても、年初に1年間の年収が見積もることができることはそうないと思うので、前年の源泉徴収票や月々の給与明細から推定し、判定することになりましょう。 

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M One News 17-03           2017/07/10 藤井聡太氏の強さ

 藤井聡太四段の連勝記録が「29」でストップし、肩の荷が下りた31戦目。
 守備戦法「穴熊囲い」の破り手で有名な中田功七段相手に、藤井聡太が選択した戦法が、まさかの「穴熊囲い」。
 
 経験の差あって苦戦したようだが、最後は解説者も驚く打ち手の連続で、鮮やかな逆転勝ち。見事、30勝目を挙げた。
 
 
 経営においては、自分の強みを発揮して他社より優れないと、勝ち目がない。
 したがって、相手の得意なところを避け、自分の得意なところで戦うのが鉄則だ。
 
 アリジゴクがどんな姿をしているか知っている人は少ないだろう。
 巣から出てこないからだ。
 そして、巣の中であれば、必ず相手に勝てる。
 
 そう、自らの強みをフルに発揮して、自分の土俵で勝負することが、勝利につながるということだ。
 しかし、藤井聡太氏はあえて相手の土俵で闘った。
 
 記者からの質問への答えがふるっている。
 「(勝ちに)妥協するのは面白くない」と。
 
 
 「名人を超す」ことを目標に置いたのが、小学校4年生のとき。
 大欲は無欲に見えるというが、名人を超すには、眼前の勝利に一喜一憂してなどいられないのが本音だろう。
 
 31戦目を観戦していた師の杉本昌隆七段は、「勝利よりも内容を重視しているようだ。真正面から行って大丈夫かなと思った」。
 弟子よりも師の方が、よほど勝ちを意識しているではないか。
 
 連勝中のときも、周囲の熱狂に惑わされることのない自然体を維持していた。
 並の棋士なら有頂天だったろう。
 
 
 本人は言う。
 「弱点を無くせるように頑張りたい」と。
 
 弱冠14歳にして、驕らず謙虚に学ぶ。
 遥か先の目標に精進しつづける姿勢。
 
 強いはずである。

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M One News 17-02           2017/03/27 配偶者控除等の見直し②

 2つ目のポイントは、増税です。
 
(2)世帯主の所得制限 増税
 減税の一方で、税収確保のため、世帯主の所得制限が課されました。

         (注1)世帯主の給与収入は、他に何も所得が無いと仮定したときの目安。

 メディアでは(1)配偶者の所得要件の緩和 の報道のみで、税収確保の観点からの(2)世帯主の所得制限 はほとんど報道されていませんので、注意が必要です。
 実際、(1)配偶者の所得要件の緩和 による減税と、(2)世帯主の所得制限 の増税とを比較天秤にかけると、夫婦合計では増税の可能性がかなり高いと思われます。
 
 
 世帯主の所得900万円超で影響が出始め、所得1000万円超になると、配偶者控除が一切取れなくなることにより、確実に増税です。
 
 影響は各人によって異なるのですが、イメージとしては、このような感じでしょうか。

               (注1)給与収入は他に所得が無いと仮定して算定。

 所得900万円超のサラリーマンや経営者は、特に留意しなければいけません。
 サラリーマンは対応しようがありませんが、経営者は役員報酬見直しが必要になりますね。
 
 所得900万円超の納税者は全体の約1割なので、働き方改革への税制面でのサポートのしわ寄せは、結局、約10%の高額所得者にいったと言えましょう。

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M One News 17-01           2017/03/27 配偶者控除等の見直し①

 現在、国会は籠池氏問題で紛糾していますが、税制改正法案の方が各人には影響が大きいでしょう。
 その最大の影響は配偶者控除。
 専業主婦が減って共働きが増えており、年収103万円の壁を上げ、より働きやすい環境を整えるべく改正されました。
 いろいろ論点が入り混じるのですが、できるだけ平易に解説していきます。
 
 今回の改正のポイントは2点。
(1)配偶者の所得要件の緩和 減税
(2)世帯主の所得制限    増税
 いずれも2018年からの適用です。それを図にしたのがこちら。   

 
(1)配偶者の所得要件の緩和 減税
   

 図2のとおり、従来の103万円の壁が150万円に広がりました。
 ただ、世帯主の配偶者特別控除適用枠が広がっただけで、配偶者は給与収入103万円超で課税されることに変わりない点に、ご注意を。
 
 他の壁と合わせて整理すると、以下のとおりとなります。

 従来は、配偶者の課税される分岐点と、世帯主の控除不可となる分岐点は同じだったのが、異なることになりましたので、混同しないように注意しなければなりません。   

                                             → 目次へ戻る

M One News 16-20           2016/11/26 年末調整よりも法定調書の方が大変です

 郵便料金や発送配達費の節約は、コスト削減には欠かせません。
 2015/04/01のヤマト運輸の「メール便」廃止騒動は、「信書」って何?という疑問を多くの人に投げかけました。
 
「信書」とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、または事実を通知する文書」をいい、「民間事業者による信書の送達に関する法律」(通称:信書便法)で規制されています。
 
 信書とそうでないもの(以下、信書外と呼ぶ)の具体例を挙げると、
・信書・・・・請求書、納品書、申告書、通知書、招集通知、免許証などの許可証、印鑑証明書などの各種証明書、履歴書、給与明細など
・信書外・・・新聞、雑誌、カタログ、DMなど
 
 
 これはいいとして、わかりにくいのが、次のケース。
 
【ケース1】取引先から会社宛に送付する請求書は「信書」ですが、本社から支店へ送付するときは信書外
【ケース2】給与明細も、本社から支店へ送付するときは信書外ですが、支店から社員へ送付するときは「信書」
 
 
 ???ですが、もう少し見てみましょう。
 
【ケース3】ダイレクトメールでも、チラシなら信書外ですが、受取人名が文書自体に記載されているDMは「信書」
【ケース4】履歴書を応募者から企業に送付するときは「信書」ですが、企業が応募者に返送するときは信書外。ただし、合否通知を同封するときは「信書」
 
 
 つまり、内容物の重要さではなく、差出人の意思が込められているかどうかが、信書となる基準と言えそうです。
 前述の「信書」の定義にあったとおりだということですね。
 
【ケース5】キャッシュカード、クレジットカード、会員証、パスポート、航空券、入場券は信書外
 
 意外なのが、クレジットカードやキャッシュカードは信書外という点。
 航空券や入場券は金券ですらあるのに・・・。
 
 と考えてくると、信書とは別に、損害リスクを考えなくてはならないことに気づきます。
 また、実務上、紛失したときに備え、追跡可能性も実務上、外せない点です。
 
 つまり、差出人や受取人は、損害リスクと追跡可能性を考慮し、信書になるかどうかを考えるべき、ということになります。

  送付物の内容に応じて、うまく使い分けたいものですね。
 
 最後にもう1点。
 差出人の信用や評価も受取人に見られる点も、注意する必要がありますよ。

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M One News 16-16           2016/11/15 年末調整よりも法定調書の方が大変です

  M One News 16-15「マイナンバーで国税庁が虎視眈々と狙うもの②」で、法定調書関係の処理量が増えることをお伝えしました。
 補足で、マイナンバー収集先と法定調書の関係を図に表すと、下記のとおりとなります。

 社員は毎日顔を合わせているのでそれほど大変ではないとしても、報酬や家賃の支払先は意外と大変ではないでしょうか。
 テナントにマイナンバーカードや免許証を見せている大家さんの姿は、どうもイメージしにくいですからね。
 
 ましてや、講師をお願いしている先生にはなかなか言い出しにくいもの。。
 いずれにせよ、今年はマイナンバー初年度。
 準備は早めに取りかかったほうが良さそうですよ。

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M One News 16-15           2016/11/15 マイナンバーで国税庁が虎視眈々と狙うもの②

 M One News No. 16-07「マイナンバーで国税庁が虎視眈々と狙うもの①」で、国税庁が収入の元となる資産の情報を把握しようとしていることをお伝えした。
 それが本丸には違いないが、それも、情報収集体制が整ってこその話。
 つまり、マイナンバー導入後、国税庁は、情報収集体制を整えることに焦点を当て始める。
 
 この情報には、本人が提出する情報と、第三者が提出する情報がある。

 前者は確定申告、後者は法定調書と考えればよい。
 「法定調書」とは、給与、家賃、報酬などの支払った内容を記載して、税務署へ提出しなければならない書類を言う。
 おなじみの源泉徴収票や支払調書がそれにあたる。
 
 この「法定調書」提出は義務なのだが、実務的にはあまり重視されず、曖昧に処理している中小零細企業も多かった。
 税務署に一切提出していない中小零細企業もあったほどだ。
 源泉徴収票や支払調書は従業員や取引先に発行しても、税務署への提出は「ついで」な中小零細企業が多かったということだ。
 
 その主な理由はひとえに、実務が非常に煩雑な点にある。
 給与・報酬・家賃等の合計額を「法定調書合計表」に記載して税務署に提出するだけでなく、その根拠となる「源泉徴収票」は、給与年500万円以上の従業員・給与年150万円以上の役員の分を添付しなければならない。
 「支払調書」の添付は、外交員は年50万円以上を支払った個人の取引先のみ。
 税理士や司法書士、原稿料、講演料などは年5万円以上を支払った個人の取引先のみ。
 「家賃」は年15万円以上支払った個人の大家のみ(他にも細かい規定あり)。
 
 これら1/1~12/31の金額を集計して記載し、翌1/末までに提出するのだが、その時期は年末調整と重なる繁忙期。
 とてもやっていられない、というのが、実務担当者のホンネだろう。
 
 
 それに対し、税務署は言わばお目こぼし状態だった。
 それでも5~6年前から、年末調整説明会で、年末調整の説明が終わるとその後にある法定調書の説明を聞かずにさっさと帰る人が従来は後を絶たなかったため、年末調整よりも法定調書の説明を先にしたりするなどして、指導を強化してきた。
 
 そこに、2016/01/01からマイナンバーの導入。
 税務署の指導が、年末調整よりも、マイナンバーを記載する法定調書により一層重点が移ってくるのは、容易に想像できる。
 
 源泉徴収票には、本人だけでなく家族のマイナンバーも記載しなければならなくなったため、大きさが倍になったし、マイナンバー収集が容易な役員や社員はまだしも、士業(税理士・司法書士・弁護士など)や遠方の講師からも収集しなくてはならない。
 さらには、大家からも収集が必要だ。
 個人の大家は年配の方が多いから、収集に素直に応じてくれるかどうか、はなはだ疑問であろう。
 
 
 一方で、市区町村も脱税許すまじ、と動き始めている。
 というのは、源泉徴収票を給与支払報告書と名前を変えて提出させることにしているのだが、1ヶ所だけに提出すればいい税務署とは異なり、社員の住所地ごとに集計して提出しなくてはならない。
 税務署に提出しない中小零細企業が、市区町村だけきちんと提出するはずもない。
 市区町村は、提出された給与支払報告書に基づいて住民税を計算するから、提出しない企業の社員は、結果として住民税を脱税することになってしまう。
 
 補助金をもらいに窓口に行ったらバレてしまい、補助金どころか、数年間遡って住民税を支払うことになった社員もいるほどだ。
 きちんと実務処理していなかった会社が悪いのに、とばっちりを受けた社員こそいい迷惑だが、税収減に苦しむ市区町村が見逃すわけがない。
 
 
 さらに、一生変更できないマイナンバーの管理には高いセキュリティが必要なため、国は、マイナンバーを取り扱う会計事務所や社会保険労務士などに重い責任を課した。
 
 こうして、マイナンバー導入をきっかけに、税務署、市区町村、さらには社会保険管轄の日本年金機構も含めた包囲網が、専門家まで巻きこみ、構築されていると言える。
 われわれも情報管理社会に早く意識を慣らす必要がありそうだ。
  

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M One News 16-14           2016/11/11 住民税の給与天引きが義務化②

 M One News No.16-13「住民税の給与天引きが義務化」で、東京都の都内全62区市町村が「オール東京特別徴収推進宣言」を共同採択し、2017年度から住民税が特別徴収が原則となることをお伝えしましたが、実は、例外的に普通徴収が認められる場合があります。

  「(A)2人以下」は、夫婦でお店を営んでいるケースに配慮したのでしょう。
 つまり、人を雇っていれば、特別徴収せざるを得ないということです。
 
 しかし、上記A~Fに該当する場合でも、1/末の給与支払報告書提出時に、「普通徴収切替理由書」も併せて提出することとされました。
 これは、特別徴収が原則であることを事業主に対して強く認識してもらうために、あえて理由書を提出させているのでしょう。
 
 上記では「認められる基準」と記載しましたが、東京都・全62区市町村からのお知らせでは「普通徴収を認める基準」と記述され、思いっきり上から目線となっており、何が何でも、という意気込みを感じさせます。

                                             → 目次へ戻る

M One News 16-13           2016/11/11 住民税の給与天引きが義務化

 現在、総務省が号令をかけ、全国の自治体が企業に対し、社員の住民税を給与天引きにさせようとしています。
 
 そもそも、社員の住民税の納付方法は、社員自らが納付する「普通徴収」と、会社が給与天引きして納付する「特別徴収」の2種類があります。
 地方税法では、市区町村での特別の事情がない限り、「特別徴収」を原則としています(地方税法321条の3)。
 
 滞納の少なさ・手続きミスの少なさ・市区町村の手間の少なさ等から、市区町村が「特別徴収」を推奨してきたのは、当然といえば当然でしょう。
 
 
 ただ、中小零細企業の事務能力が追いつきませんでした。
 専任の事務員がいればともかく、社長が片手間に事務をこなしている中小零細企業では、負担が大きいのです。
 そのためか、いわばお目こぼしにあずかっていたのが現状です。
 
 
 そこへマイナンバーの導入。

 その目的が行政の効率化にある以上、これを機にと、総務省が音頭を取って動き始めたのです。
 特別徴収しかもう行わないと宣言する市区町村が数年前から出てきていますし、ここ数年、税務署主催の年末調整説明会では市区町村担当者が出張説明するなど、タッグを組んだ啓蒙活動が始まっています。
 
 企業数が多い東京都とて例外ではありません。
 都内全62市区町村は、共同で「オール東京特別徴収推進宣言」を2015/02/05に採択し、2017年度からの特別徴収完全実施に向け、追い込みにかかっています。
 http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/tokubetsu/index.html
 
 そのスケジュールは次のとおり。
      

    年 月      内 容
    2016/09指定予告通知書送付(→企業)
    2017/01普通徴収該当理由書の導入
    2017/05特別徴収税額通知書送付(→企業)

 「普通徴収を選ぶなら、納得できるだけの理由書を提出せよ」と個別対応のうえ、さらにPRマスコットキャラクターまで作っているのですから、その本気度が伺えようというものです。
 
 
 では、企業にとっては、単なる手間の問題だけかというと、そうでもありません。
 具体的には、
 
(1)社員から天引きした住民税の納付が遅れると、ペナルティが課される。
 会社からすると、社員の税金の徴収を代行しているのに、感謝状どころかペナルティがかかるのは、納得いかないところでしょう。
 一種の社会貢献と考えるしかありません。
 
(2)入社・退社時に手続きを忘れると、面倒なことになる。
 例えば、社員退社時に残りの住民税を全額徴収し忘れると、会社が負担することになりかねません。
 不承不承、負担すると、今度は所得税で給与扱いされ、さらに税金を納付するはめになりかねず、不本意度が増します。
  社員にとっても、デメリット大です。
 
(3)所得税の確定申告を行っていると、収入状況が会社にわかってしまう。
 副業がバレるリスクが大きくなること以前に、個人情報満載の所得状況の管理がきちんとされるのか気になります。
 もっともこれは、マイナンバー自体にも共通するところです。
 
 これだけのデメリットがあるので、中小零細企業への特別徴収がなかなか普及しなかったのですが、今度ばかりは自治体はホンキの模様。
 因みに、市区町村への納付をインターネットバンキングで行うことができますし、(10人未満であれば)所得税同様、半年に1回にまとめられる納期特例もあります。
 
 
 義務化の流れが止められないのであれば、賢く対応したいものですね。

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M One News 16-12           2016/11/11 マイナンバー収集時の本人確認

 企業が、社員からマイナンバーを収集するときは、必ず本人確認を行わなくてはなりません。
具体的には、扶養控除等申告書に記載したマイナンバーが合っているかどうかの『番号確認』と、本当に本人かどうかを確認する『身元確認』の2つの手続が必要です。
 
 その際の必要書類がこちら。

 社員は入社時に『身元確認』を済ませているでしょうから、『番号確認』だけで足りますが、外部の専門家や講師については『身元確認』まで必要です。
 
 注意したいのは、社員の家族のマイナンバー。
 企業は、社員の扶養家族のマイナンバーの本人確認不要という点。
 何故なら、家族のマイナンバーの『番号確認』・『身元確認』は社員が企業の代わりに行うため、企業は社員だけの本人確認を行えば足りるのです。
 
 ただ、扶養親族について国民年金の第3号被保険者の届出を会社が行うときは、例外的に扶養親族の『身元確認』が必要になります。詳しくは「Q&A中小企業のためのマイナンバー制度実務対応ガイドブック」のQ3~6をご覧ください。
 
 通知カードは約1年前に送付されていますが、本人が紛失してしまっていたり、またマイナンバーカードを本人がまだ申請していないことも考えられるため、マイナンバー初年度という点を考慮し、手続きは早めに着手したほうがいいでしょう。 

                                             → 目次へ戻る

M One News 16-07           2016/03/30 マイナンバーで国税庁が虎視眈々と狙うもの①

 マイナンバーの税務実務への影響は大きい。
 
 よく言われるのが、利益の把握。
 個人事業主や不動産の大家は、サラリーマンとは異なり、ガラス張りではない。
 経費は落とせるし、収入だって何とかなるかもしれない。
 税務署からすると、経費はプライベートとの境目が曖昧だから突っ込みにくいが、収入は首根っこをつかむようなもの。
 マイナンバー導入で収入を押さえることができれば、大きな武器になる。
 税務署が導入を待望していたのも納得できる。
 
 
 と、この「収入の捕捉」は誰でも容易に想像がつく。
 ただ、逆に言えば、収入がないと捕捉もできないし、ましてや摘発などできない。
 後手後手に回らざるを得ない。
 
 
 それが、もし事前に収入を予測できていたらどうだろう。
 そんなことが可能なのかと思うかもしれない。
 いや、十分可能なのだ。
 もし収入の元手がわかっていたら・・・。
 
 銀行口座や証券会社口座にマイナンバーを義務化しようとするのは、そのためだ。
 例えば、証券会社にA社の株を○○万株持っているとする。
 もうこの時点で将来の株式配当を税務署は予測できることになる。
 
 納税者がうっかり申告を忘れようものなら、国税総合管理(KSK)システムでアラートが鳴り、ペナルティ付きで納付書が送られてくる。。
 そんな未来になるかもしれない。
 
 銀行口座も同じだ。
 年収の何倍もの異常な入出金があれば、即座にアラートが鳴り、無申告の収入を捕捉できる。
 
 
 
 無申告ではないが、実際、それでつかまった人がいる。
 
 アニータ・アルバラードという女性を覚えているだろうか。
 チリから出稼ぎに来日し、日本人男性と結婚した女性だが、夫が勤務先の青森県住宅供給公社から横領した14億円のうち、大半の11億円を受け取ったという。
 発覚したのは国税局の税務調査とされているが、実は国際送金だった。
 
 時は2001年。
 そう、アメリカ同時多発テロがあった年だ。
 CIAが躍起になって調査した対象には、国際送金も含まれていた。
 銀行間の国際送金は、コルレスバンクと言って、いわば中継銀行経由で行われることが多い。
 日本とチリ間の国際送金では、米銀がコルレスバンクとして使われたのだろう。
 
 青森の片田舎からチリに数億円を送金している。
 しかも1年に何回も。
 
 絶対に怪しいとにらんだCIAが、日本の公安警察に通報。
 だが、公安警察は調査権限が無い。
 そこで、仙台国税局が税務調査として乗り込む。
 
 調査に入ってから30分で帳簿上「これだ!」と見つけたという。
 何回も税務調査に立ち合っているとわかるが、30分で発見することなどまずない。
 何をどの帳簿で探すかが最初からよくわかっていた証拠だ。
 公安警察官もその日限りは、臨時の国税調査官となったに違いない。
 

  
 マイナンバーが導入されれば、そんな銀行の入出金の異常値も即座に検知できる。
 資産の情報を押さえるのは、収入を押さえることより、何倍も戦略的価値があるのだ。
 

 ましてや、財産債務調書制度や国外財産調書制度も運用開始となっている。
 本人から報告させた資産の情報とマイナンバーで自動集計された資産情報を突合すれば、その精度は高まろう。
 本人が意図的に隠すのはもちろん、仮に意図せずにウソの報告をしてしまっても、ペナルティが課されるからやっかいだ。
 
 
 従来は、他人名義の口座や簿外の口座に振り込ませたり、収入の一部を家族の口座に分散させたりして、脱税を企てる人がいた。
 昔からあるそんな手口も、マイナンバーですぐ発覚する。
 いったん発覚すれば、その人は昔からやっていたであろうから、過去7年間遡って調べれば、かなりの多額になる。
 毎月の金額は少額でも、84ヶ月になると、自動的に多額になる。
 時効が7年ではなく10年に改正予定だから、なおさらだ。
 
 さらに年14.6%のペナルティがつく。
 分割納付よりも、サラ金で借りて一括納付した方が安くつくかもしれない。
 笑えない話だ。
     

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M One News 14-02           2014/01/01 海外財産調書制度

 国外財産調書制度がいよいよ始まる。
 これは、年末において5,000万円超の海外財産を所有する個人に対し、その海外財産の詳細を、確定申告期限の3/15までに税務署に提出しなくてはならないというもの。
 2014/01/01以降提出分から適用ということは、2013/12/末で5,000万円の時価があるかどうかが、判断基準ということだ。
 
 国税庁によると、2012/07~2013/06までの1年間で所得税の平均申告漏れ額は1件839万円であるのに対し、海外取引者だけに絞ると、1件1,551万円に跳ね上がるという。
 そのため従来から、金融機関から提出される海外への送金調書・海外からの送金調書を重点的に調査してきた。
 ただ、海外で授受されると把握しようがなく、限界があった。
 
 国際課税は、人や資本がグローバル化する過程において発生するTAXの奪い合いという、国どうしの租税競争という側面をそもそも持つ。
 
 
 が、それをはねのけたのが、2008年に発生した2件の国際的な脱税事件。
 
 1件は、2008/02にリヒテンシュタインの銀行の元従業員が1,400名の顧客情報をドイツの情報機関に500万€(当時約8億円)で売却した事件。
 各国で調査が開始され、ドイツでは有名な実業家の脱税事件にまで発展した。
 日本にも情報提供され、帝京大学の元総長の相続財産15億円申告漏れが発覚。
 
 もう1件は、スイスUBS銀行が米国人顧客に対して脱税指南をしていたことで、米国課税当局がUBS銀行に対して米国人顧客の情報開示を正式に求めた(召喚状発行)事件。
 この事件は両国の外交問題、さらにはスイス議会・裁判所まで巻き込むまで発展したが、2010年に両国間で租税条約を改正し、スイスが情報提供する形で政治決着。
 この過程でも、米国人富裕層の一部が制度を悪用して脱税をしていた事実が発覚した。
 
 
 さらに、リーマンショックが追い打ちをかける。
 2008/秋の世界的な金融危機発生により、多額の財政出動を迫られた各国政府は歳入不足を補おうと、タックス・ヘイブン(軽課税国)や情報交換に消極的な国に対して厳しい姿勢を鮮明に打ち出した。
 金融システムの安定化の観点からも、マネー・ロンダリングを含む不透明な資金の流れが問題となった。
 
 
 こうしたことから、2009/04のG20サミットでは「銀行機密の時代が終了」と宣言、政府間での情報交換の新しい基準「国際的に合意された租税基準」が策定された。
 その特徴をざっくりまとめると、
 ・他国のために情報収集義務を負う
 ・要請を受けた国は、金融機関保有情報まで開示する
 の2点。
 
 現在、このOECDの新基準に基づいて、租税条約が多数改正・締結されている。
 
 
 この流れを受けて、タックス・ヘイブンとの間では租税条約を締結しない方針だった日本政府もその方針を転換し、2009年以降、ケイマン・バミューダ・バハマ・マン島・ジャージー・ガーンジー・香港などのタックス・ヘイブンとも租税条約を締結し、情報交換によって日本人の海外財産の情報を取得できる体制を整えている。
 ナチ戦犯の情報開示を拒否したこともあるスイスとて例外ではない。
 改正された日本とスイスの間の租税条約は2011/12/01に発効、情報交換は2012/01/01以降の年度から開始されている。
 
 この情報交換には、「要請に基づく情報交換」「自発的情報交換」「自動的情報交換」の3種類があるが、実際、情報交換件数はうなぎのぼりで、しかも、日本から海外への情報交換の要請件数は海外から日本への件数の約4倍だという(2012/04~2013/03。国税庁発表)。
 
 
 いわば外堀を埋められている状態だ。
 こうなってくると、知らぬは納税者本人だけかもしれない。
 罰則もあるので、気をつけたいところだ。

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M One News 13-08           2013/07/29 クレンズ

 弁護士である義理の親族が亡くなり、告別式に参列してきた。
 そこであるハプニングがあった。
 
 火葬場に行き、待合室で火葬が終わるのを待っていたときのこと。
 小一時間も待った頃、1人の青年が入ってきて、すたすた喪主に挨拶に行ったと思うと、いきなり泣きじゃくり始めるではないか。
 
 人目もはばからず涙を流し、頬を濡らす涙を繰り返しぬぐい続ける姿に、一同、目が釘付け。
 「あれは誰だ?」
 
 通夜にも告別式にもいなかったその青年を、喪主以外は誰も知らないようだ。
 喪主が青年の肩をたたいて慰めるその姿から、親しい様子が読み取れる。
 
 いやが応にも疑問が膨れ上がったとき、骨上げに呼ばれ、疑問を抱えたまま、待合室を後にしたのだった。。
 
  
 精進落としの後、喪主に事情を聞いた。
 合意だったはずなのに婦女暴行で訴えられ、故人が国選弁護人として弁護し、執行猶予を勝ち取ったそうだ。
 
 その青年の家族は全員、歯医者だったそうだから、優秀な弁護士をいくらでも雇えたはずなのに、国選弁護人を依頼せざるを得なかったことから、家族の恥さらしとして誰もお金を出さなかっただろう事情を、容易に想像できる。
 エリート一家から出た犯罪者。
 いわば村八分であったろう。
 
 そんななか、信じ、励まして、執行猶予を勝ち取った。
 執行猶予期間中も、再犯すると刑が重くなるため、半年ごとに心配のTEL。
 青年に彼女ができたら、一緒に家に食事に呼んだりと、息子同然の目のかけよう。
 
 やっつけ仕事とは言わないまでも事務的な国選弁護人が多い中で、故人はそこまで親身になった。
 
 家族から見放された青年にとって、実の親以上に近しい存在だったに違いない。
 それなのに、その死に目にも会えず、火葬前に拝顔することすらできなかったのは、痛恨の極みであっただろう。
 
 
 
 「なんかね、最近いろんな人に会って、それでね、あ、この人って本当にこの道のプロだなあ、って痛感するときがあるのね。
 うまく言葉にできないんだけど、たとえばウエイターでも、ホテルマンでも、弁護士さんでも、お医者さんでも、なんかね、あるタイプの人は、そこに存在して仕事をしているだけで、その人の仕事に私が接しただけで、私がクレンズされちゃうの」
 「クレンズ?」
 「うん、それまで鬱々として濁ってたものが、一瞬にしてピカピカのきれいな水に変わってしまうような、そんな感じ」
 「なんかわかる」
 「ほんとにね、ごくたまにだけれど、そういう仕事人がいてね、そういう人の仕事に触れるだけで、私の日常がお掃除されたみたいになるのね。
すごいな、って思うの」
 「あたしはそういう仕事してきたかなあ・・・と思って。
 誠意をもって、最大限の集中力を払い、それでいてエレガントに、かつ明晰に、そして大胆に・・・・。そういう感じなんですよ、彼らは。
 常にパースペクティブがあり、そのくせ直感的なの。かっこいいの。そういう風になりたいなあって、思うんだよね。
 残りの人生で自分も・・・・」
 
 
 
 名人の仕事ってのは、周りにいる人間を、クレンズしちゃうんだよ。
 
 ものすごく落ち込んだとき、とてつもなく嫌な言葉に触れたとき、自分が辛い体験でボロボロになっていじいじしちゃうとき、悲しいことが重なってどんよりしちゃうとき。
 そういうときが人生にはままある。
 
 いろんなふうにして、心には細かくて薄汚い澱がたまる。
 どうしても溜まっていく。
 しょうがないことだ。
 
 そういうとき、自分の仕事、自分の役割に、片意地張るでもなく、威張るでもなく、それを楽しんで、ただもう誠実に、真っすぐに向きあっている人たち、そういう人たちに出会うと、言葉ではなく励まされる。
 自分の役割を全うしてる人は、きっと、ただ存在しているだけで、もうそれだけで、たくさんの人を支えているんだと思う。
 たぶん、その人は『労働』ではなくて『働き』をしているんだろう。仕事は、自分が『働き』という作用を担うための手段。
 
 
 ―――最後まで生き方を教えてくれた父であった。

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M One News 10-01           2010/01/01 夏への扉

 ぼくの飼っている猫のピートは、冬になると決まって夏への扉を探し始める。
 彼は、家に12もあるドアの、少なくともどれか1つが、夏に通じていると固く信じているのだ。
 そして、かくいうぼくも夏への扉を探していた。
 
 あなたなら、どんな気持ちになるだろう?
 もし、最愛の恋人には裏切られ、仕事は取り上げられ、生命の次に大事なものを騙し取られてしまったとしたら・・・・。
 ぼくの心は冬そのものだったのだ!
 
 
 そんな滑り出しで話が始まるのは、米国SF作家の巨匠ロバート・A・ハインラインの名作『夏への扉』。
 
 この本に出てくる猫のピートは、どのドアを開けてみても外は寒い冬なのだけれども、それでもどれかのドアで夏に行けると信じ、試してみたがってしかたがない習性を持っています。
 1つがダメでも、すべてのドアを試してみるまでは納得せず、人間用ドアまで開けろと飼い主にまとわりつく。
 どんなに繰り返そうと、夏への扉を探すのを決してあきらめようとはしません。
 
 何とかしたくても自分ではどうにもできなかったり、追い込まれて八方ふさがりになってしまうことがあります。
 こんなときに、信念があればもう少し頑張れる、やり方を変えてチャレンジすれば乗り越えられる、そんな気がします。
 この頑固な猫が、私にはとってもかわいく思えるのです。
 
 
 未来は、必ず過去に優る。
 人間はその環境に順応し、徐々に環境に働きかけ、新しいより良い世界を築いていく。
 誰がなんと言おうと、世界は日に日に良くなり優りつつあるのだ。
 
 そうはっきり謳い上げることによって、読者を勇気づけてくれる本を、私は他には知りません。
 
 
 
 そしてもう1つ大切なことも、この小説は教えてくれます。
 人生という大事なドアは、自分の手で開けなくてはならないということを。
 
 息苦しい毎日の中でじーっと黙って待っていても、誰もドアを開けてくれない。
 自分で開けないとドアの向こう側には行けない。
 
 もちろん、「向こう側」に何があるかなんて知らないし、考えてもわからない。
 でも、このドアを開ければ何かがある、光があるんだ、と信じきることで道が開けるのでしょう。
 
 行き詰まりや閉塞感―――言葉は何でもいいけれど、その扉を開けるのは誰でもない、自分自身だということです。
 
 
 
 未来への希望と、正直で誠実な人間への暖かいまなざしに、心温まります。
 そしてこの小説は、こう締めくくられています。
 
 「ピートはいつまでたっても、ドアというドアを試せば、必ずその1つは夏に通じるという確信を、棄てようとはしないのだ。
 そしてもちろん、僕はピートの肩を持つ。」

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M One News 09-40           2009/07/28 壁①

 安部公房の小説『壁』の中に、『魔法のチョーク』という短編があります。
 
 主人公の画家のアルゴン君は、あるとき魔法のチョークを手に入れます。
 壁に絵を描けば、その絵が本物になって現れるという魔法のチョークです。
 
 貧乏で常に空腹のアルゴン君は、食べ物の絵を描いて、食べ物を取り出しては食べて、空腹を満たす毎日をおくっているのでした。
 
 
 ある日、アルゴン君は窓を壁に描いてみます。
 ところが、窓は現実にならない。
 
 何故なら、窓の向こうの世界をアルゴン君が描けないからなのです。
 彼は、もんもんとして、見たことのない窓の向こうの世界をあれこれ想像するのですが、描けない。
 数週間、それこそ一生懸命になって考えるのですが、どうしても正確には描けない。
 
 
 このアルゴン君は、例えば、私であるかもしれません。
 歩けばいつか壁に突き当たります。
 迂回しようとしても、壁はどこまでも続いています。
 
 壁の向こうにぜひ行ってみたいのに、壁の手前で途方に暮れている私。
 あるいは、壁がどこかで途切れてはいやしないかと捜し回っている私。
 
 ここにはない理想や夢は、壁の向こう側にあるかもしれないと思うからです。
 
 
 壁は可能性を与えてくれるものかもしれない。
 壁を乗り越えることで、今の自分の限界を変えられるかもしれない。
 
 でも乗り越えられないと、アルゴン君と同じように、私も結局は壁に吸い込まれてしまうかもしれませんね。

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M One News 02-04           2002/01/31 羽生氏の強さ②

  「強い」という場合、どういう形で強いというのだろうか。
 
 普通、たいていの人は自らの勝ちバターンを見つけ、それで勝負する。
 独自の戦法を研究し、磨きをかけ、『○○流』と呼ばれるいわばパターン戦法で一世を風靡したり、あるいは、連勝してタイトルを奪取したりする。
 
 しかし羽生氏の場合は、どうもそれとは異なるようなのである。
 オールラウンドにどんな戦法でも使いこなしてしまい、しかもめっぽう強いときているからである。
 
 
 どんな勝負でも、怖さを感じるのは、相手が伝家の宝刀を抜くとき、つまり、相手の勝ちパターンにはまりつつあるときだろう。
 それとも、いかにそのパターンにはまらないようにするか、脅えつつ戦うときだろう。
 
 それが相手の強みにもなるわけだが、羽生氏には『羽生マジック』という言葉はあるが、では、それがどういうパターンかと言うと、一定のパターンはなく、その時々で全く違う。
 勝つための必然性はあるが、その手法は多彩で、最初から予想できるパターンではない。
 
 そこに恐ろしさがある。
 何故なら、いつどういうときにそれが出るのか、既に出ているのか、あるいは、まだ出ていないのかすらも、後になってみないとわからないからである。
 
 
 史上最強の棋士と言われる大山康弘名人の口癖は、「将棋を指しているときが一番楽しい」であった。
 その大山名人の存在を大きな励みとする羽生氏にとって、真剣勝負である実践こそが、一番の研究の場であるようだ。
 
 大きな勝負でわざと危険を冒すこともあるという。
 だからこそ、「戦い方のオプションは、毎年増えている気がします」と、こともなげに言うのだろう。
 
 『強み』が、時間の経過とともに『弱み』へと変わっていくことは往々にしてあることだが、その『強み』がパターンでないなら、いくら外部環境が変わっても負けることはない。
 
 強いはずである。

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M One News 02-01           2001/12/25 羽生氏の強さ①

 棋士の羽生(はぶ)善治(よしはる)氏は、どうしてあんなに強いのか。
 通算勝率は約75%にまで達するという。
 素人を相手にならともかく、プロを相手に、である。
 
 他のプロ棋士の実力が上がったこともあり、7冠時代に比べると、その強さは相対的にやや薄れているが、やはり圧倒的に強い。
 5冠を維持しており、昨秋も王座戦10連覇を達成した。
 
 その強さの理由として、天才少年と呼ばれた頃は「定石にとらわれずに意表をつく手を打ってくる」「相手を上目使いににらむ‘羽生(ハブ)睨み“で相手はヘビににらまれたカエル状態になる」「羽生マジックと呼ばれる逆転勝ちが多い」・・・などと言われたが、果たしてそうだろうか。
 プロの実力差は、それこそ紙一重のはずである。
 
 
 下記は、1989年の日本経済新聞に掲載された本人のコメントである。
 
 「6才で将棋を覚え、小学生の頃にプロ棋士の存在を意識した私は、早熟と言われた。
 しかし、将棋の進歩が急ピッチになりつつある今の情報化社会の将来は、6才以下の幼児たちが、どんどん将棋を指すということになるかもしれない。
 そうなれば競争はより激しくなり、それにつれて将棋の戦法的進歩のテンポも加速される。
 その結果、現在の将棋は10年後には全く通用しないということになりかねない。
 そうした進歩に取り残されないためにも、油断は禁物、絶えず前向きな勉強が必要と思う」。
 
 
 1989年といえば、株式相場が38,915円の最高値をつけるバブル絶頂期。
 
 一方、15歳でプロ4段になり、19歳で既にトッププロ入りしていた本人の年収は、軽くみても数千万円はあったろう。
 遊びたい盛りの19歳という年代で、金も地位もある。
 加えて周りはバブルで浮かれており、いろいろ誘惑もあったに違いない。
 
 その中で、本人は何を考えていたのだろう。
 
 
 
 『人の真価は、危機に直面したときに表れる』という。
 しかし実は、『人の真価は、順調なときにこそ表れる』のではないだろうか。
 
 危機の時には、打つ手は限定される。
 現状を何とか改善しようと必死に考えるものだし、また、そう考えざるを得ない状態に追い込まれるからである。
 
 しかし、順調なときは、選択肢が数限りなくある。
 
 好きなこと・したいことがいくらでもできるとき、何をするか。
 金も地位も名誉も権力もあるとき、いかに自分を見失わずにいるか。
 
 金も名誉も手にした遊び盛りの弱冠19歳の若者は、毎日がお祭り騒ぎのバブルの真っ只中で、自分の本分を忘れずに、謙虚に精進し続けた。
 使いきれない程の金を持っていたのに、である。
 
 
 
 強いはずである。
 紙一重の実力差のプロの間で、頭2つも3つも抜きん出ることができたのは、この自意識の持ちようであろう。
 
 さらに、「多くの人に将棋を愛してもらいたい」と将棋界のことまで考えるのを怠らない。
 その想いは、「僕の大リーグでの働きで、少年たちに野球をやりたいという気持ちを持ってもらうことになれば嬉しい」と語ったイチローとも共通する。
 
 タイトルホルダーにふさわしい『想い』。
 勝者としての貫禄充分だ。
 
 
 
 羽生善治もイチローも、一見ギラギラしたところはない。
 淡々と勝負しているように見える。
 
 大欲は無欲に見えるという。
 大欲の前では、小欲はどうでもいいと思えるからだろう。
 
 淡々としているように見えるのは、大欲を持っているからに違いない。
 いわば『志』というべきものだ。
 
 そして、その志の高さをいかに守り抜くかは、日常茶飯の自己規律にかかっていることをわかっているのだろう。
 箸の上げ下ろしから、物の言い方・人とのつきあい方・息の吸い方・酒の飲み方・遊び方までの全てにおいて、その志を守り抜く意識で貫かれていなければならないということだ。
 
 
 
 ただ謙虚に頑張って成功するのであれば、誰も苦労はしない。
 大欲を持てるか否かが、成功するかしないかの分かれ目であるとすれば、成功するには大欲を持たねばならぬ。
 どんな大欲を持つか。
 
 
 現在31歳になった羽生善治氏は、次のようにコメントしている。
 「今後の10年間は、棋士としていろいろ難しい時期になると感じている。
 直観力や記憶力は、10代・20代に比べて落ちるだろう。
 しかし、この10年間の経験を盤上で生かしていく方法は必ずあると思っている。
 惰性に流れず、将棋をどこまで極められるか、行けるところまで行きたい、と考えている」

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M One News 00-35           2000/08/05 ストレイト・ストーリー

 映画『ストレイト・ストーリー』を見ました。
 
 アルヴィン・ストレイトという1人の老人が、兄が倒れたとの電話で、兄に会いに旅に出ます。
 時速8㎞のトラクターで。
 米国アイオワ州からウィスコンシン州の560㎞を、野宿しながら6週間もかけて。
 
 2本の杖が無いと歩けず、眼が悪いため車の運転もできないアルヴィン老人にとって、誰にも頼らず、自分でできる方法は、家にあるトラクターでの移動しか無かったのでしょう。
 
 車ならたった1日の距離をあえて自分のやり方にこだわるのは、彼自身の人生でどうしてもやり遂げなければいけないことだと、思っていたからに違いありません。
 
 
 子供の頃のように、一緒に星を見たい。
 ちょっとしたいさか諍いで、10年以上仲違いしていた兄とこのまま死に別れしたくない。
 
 人々の嘲笑と家族の心配をものともせずに、その最後の夢を実現すべく、自分の名前の通り、まっすぐに向かう老人の目は、少年のように輝いています。
 
 
 人は誰でもやり遂げなくてはならないものがあるが、自分はそれを持っているだろうか。
 そして、それを自分の力でやり遂げる意志を持てるだろうか。
 
 思わず、そう自問せざるを得ません。
 
 
 旅の途中で丘にさしかかった時、トラクターが故障して立ち往生したアルヴィンは、「兄のところまで車で送ろう」と声を掛けられます。
 「気持ちは本当に嬉しいよ。だが自分でやり遂げたいんだ」
 「いいかい、アルヴィン。この先は、まだ丘が続くんだよ。また故障したらどうする?」
 「だが、どうしても自分だけの力でやりたいんだ。ぜひ最後までやり遂げてみたい。志を貫きたいんだよ」
 
 そしてアルヴィンはまた走り始める―――――。
 
 
 自分の可能性を賭けてやること。
 それは、自分が生きた証しそのものです。
 
 見事に自力でやり遂げて兄とまた星を見ることができたのは、アルヴィンにとって、さぞかし満足だったのに違いありません。
 この話が実話であるだけに、深く胸をうちます。
 
 
 兄の家に無事たどりつき、兄との再会を果たすアルヴィン。
 「あれで来たのか?」
 「ああ」
 トラクターを見つめる兄の目に涙が・・・・。
 体が不自由な兄にとって、やはり体が不自由な弟がやり遂げたことに、感動がひとしおだったのでしょう。
 
 
 
 年を取れば、何もかもが減っていきます。
 死までの時間・体力の衰え・巡ってくるチャンスの数・・・・。
 
 全てが減っていく中で、本当にやりたいことを、1つか2つに絞らなくてはなりません。
 若い頃のように、脇道にそれたり、道草をしている暇はありません。
 
 「年をとるほど、失うものも大きいんだ」
 アルヴィン老人の言葉です。
 
 
 選択することは誰にでもできます。
 本当に重要なのは、できるかぎり他人に頼らず、自分で出来る方法で、自分が選択したことを、最後までやり遂げることでしょう。
 
 自分が決断したことにエネルギーを注ぎ、それ以外のことにエネルギーを浪費しない。
 何かを選ぶということは、他の何かを捨てることです。

 時間は有限です。
 限られた時間の中で何をするかという姿勢こそが、重要なのです。
 
 
 50~70才代の人には、人間的にすごく立派な人もいれば、全くそうでない人もいる。
 生まれたときには同じだったはずなのに、どうしてだろう?
 その以前からの疑問に対する1つの解答が、そこにはありました。

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