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M One News 16-13           2016/11/11 住民税の給与天引きが義務化

 現在、総務省が号令をかけ、全国の自治体が企業に対し、社員の住民税を給与天引きにさせようとしています。
 
 そもそも、社員の住民税の納付方法は、社員自らが納付する「普通徴収」と、会社が給与天引きして納付する「特別徴収」の2種類があります。
 地方税法では、市区町村での特別の事情がない限り、「特別徴収」を原則としています(地方税法321条の3)。
 
 滞納の少なさ・手続きミスの少なさ・市区町村の手間の少なさ等から、市区町村が「特別徴収」を推奨してきたのは、当然といえば当然でしょう。
 
 
 ただ、中小零細企業の事務能力が追いつきませんでした。
 専任の事務員がいればともかく、社長が片手間に事務をこなしている中小零細企業では、負担が大きいのです。
 そのためか、いわばお目こぼしにあずかっていたのが現状です。
 
 
 そこへマイナンバーの導入。

 その目的が行政の効率化にある以上、これを機にと、総務省が音頭を取って動き始めたのです。
 特別徴収しかもう行わないと宣言する市区町村が数年前から出てきていますし、ここ数年、税務署主催の年末調整説明会では市区町村担当者が出張説明するなど、タッグを組んだ啓蒙活動が始まっています。
 
 企業数が多い東京都とて例外ではありません。
 都内全62市区町村は、共同で「オール東京特別徴収推進宣言」を2015/02/05に採択し、2017年度からの特別徴収完全実施に向け、追い込みにかかっています。
 http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/tokubetsu/index.html
 
 そのスケジュールは次のとおり。
      

    年 月      内 容
    2016/09指定予告通知書送付(→企業)
    2017/01普通徴収該当理由書の導入
    2017/05特別徴収税額通知書送付(→企業)

 「普通徴収を選ぶなら、納得できるだけの理由書を提出せよ」と個別対応のうえ、さらにPRマスコットキャラクターまで作っているのですから、その本気度が伺えようというものです。
 
 
 では、企業にとっては、単なる手間の問題だけかというと、そうでもありません。
 具体的には、
 
(1)社員から天引きした住民税の納付が遅れると、ペナルティが課される。
 会社からすると、社員の税金の徴収を代行しているのに、感謝状どころかペナルティがかかるのは、納得いかないところでしょう。
 一種の社会貢献と考えるしかありません。
 
(2)入社・退社時に手続きを忘れると、面倒なことになる。
 例えば、社員退社時に残りの住民税を全額徴収し忘れると、会社が負担することになりかねません。
 不承不承、負担すると、今度は所得税で給与扱いされ、さらに税金を納付するはめになりかねず、不本意度が増します。
  社員にとっても、デメリット大です。
 
(3)所得税の確定申告を行っていると、収入状況が会社にわかってしまう。
 副業がバレるリスクが大きくなること以前に、個人情報満載の所得状況の管理がきちんとされるのか気になります。
 もっともこれは、マイナンバー自体にも共通するところです。
 
 これだけのデメリットがあるので、中小零細企業への特別徴収がなかなか普及しなかったのですが、今度ばかりは自治体はホンキの模様。
 因みに、市区町村への納付をインターネットバンキングで行うことができますし、(10人未満であれば)所得税同様、半年に1回にまとめられる納期特例もあります。
 
 
 義務化の流れが止められないのであれば、賢く対応したいものですね。

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