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M One News 18-04           2017/12/27 仮想通貨高騰と税金

 最近、何かとニュースを聞く『仮想通貨』。
 ビットコインが代表格として取り上げられているが、1年で約20倍に値上がりと、その激しい乱高下ぶりから、投機の印象が強い。
 
 しかし、非中央集権的な分散型のため、改ざんしにくく信頼性が高い仕組み(ブロックチェーン)は革新的だ。
 一般的に言われるメリットは、以下のとおり。
 ・中央機関に依存していない
 ・信頼性が元来高い仕組みのため、送金手数料が安くすむ
 
 ただ一方で、乱高下する限り、通貨として不適格であるし、その優れた送金特性が価格高騰によって失われてしまっている。
 例えば、国内最大手の取引所ビットフライヤーの場合、送金手数料は0.0004 BTCだったので、17/12/23現在のビットコイン価格約170万円だと680円。
 これは、銀行の国内他行送金手数料を上回るレベルだ。
 17/07/01時点では28万円だったから、送金手数料は112円で済んだのに・・・。
 
 つまり、ビットコイン価格が上がれば上がるほど、送金手段としては割高になってしまう構図なのだ。
 そこにさらなる追い打ち。
 17/12/24付で送金手数料は0.0015 BTCと約4倍に値上がってしまった(ビットフライヤーの場合)。
 
 取引処理が大量に滞っているために台帳に書き込む処理(マイニング)をするマイナー(採掘業者)へのインセンティブをアップさせたのだが、これは同時に、通貨としての利用がさらに遠のくことを意味する。
 結果、利用目的よりも投機目的で所有する人が多くなっているのが現状だ。
 
 
 そんな仮想通貨の取扱いは、国によってまちまちだ。
 中国や韓国では取扱い禁止、韓国では通貨とすら認められていない。
 オーストラリアでは通貨ではないが、財産価値があるものとされている。
 
 日本では2017年に明確化された。
 資金決済法で通貨として認め、財産価値ありとされたのだ。
 
 具体的な取り扱いとして、(通貨なので)消費税は非課税、所得税は売却時・支払手段として使用時に課税される。
 海外と異なるのは、海外では仮想通貨間で交換しても課税されないが、日本では交換時も課税される点。
 
 そして、税率はMax 55%。
 雑所得扱いで総合課税となる。
 
 これは、支払手段としても使用できることから、譲渡所得ではなく、雑所得にされたのであろう。
 所有者としては、価格が上がるのはうれしいものの、だからといって売却すると半分未満しか残らない。
 
 逆に暴落して購入金額よりもマイナスになると、損は切り捨てになってしまう。
 「利食いのタイミングをいつにするか」という贅沢な悩みを抱える人も多いのではないだろうか。
 
 2017年の確定申告で注意しなければならないのは、財産価値があるとされたため、相続財産として相続税も課税されるし、財産債務調書に記載が必要ということだ(国内財産にあたるため、国外財産調書には記載不要)。
 通貨なので、現預金欄に記載することになると思われる。
 調書不記載についてペナルティーはないが、申告漏れがあるとペナルティーが加重されるので、気をつけたい。
 
 
 現在、国税庁は富裕層プロジェクトチームを全国展開して、富裕層を重点管理している。
 国税庁にとっては「宝の山」だが、納税者側からは「ブラックリスト」。
 このリストに載ってしまうと、なかなか外されることはない。
 
 国税庁が調査しがいのあるプロジェクトとして特別に意識しているのは、パナマ文書、パラダイス文書ときて、第3弾がこの仮想通貨高騰だろう。
 国税庁がにんまりして腕まくりする様子が目に浮かぶ。
 
 従来からの富裕層は派手な行動をすることなく控えめにしているが、心配なのは「にわか金持ち」。
 『億り人』としてTVに顔をさらす「にわか金持ち」を見るたびに、後でツケが来るだろうに、という老婆心を禁じ得ない。

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