M1村田宏彰公認会計士事務所
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税務調査が厳しくなっている。
いままでは無事通っていたから大丈夫だろう、儲かっていないから、ウチは小さいから、というのは早計だ。
税務署員のお目こぼしレベルが減っているうえ、「このくらいならいいだろう」と少額で始まったいい加減な計上が毎年少しずつ多くなっていくのは、よく知られた人間の心理でもある。
早くても数年後の税務調査時には、金額が多額になっているため、どんなにお目こぼししてくれる税務署員でも、見過ごせなくなってしまうのだ。
7年ぶりに税務調査に入られたA氏のケース。
家族の外食費はもちろん、息子の学費や小遣いまで経費で計上していた。
本人もわかっていたはずなのに、「少しぐらいならいいと思って」とは本人の弁。
結局、何も反論できず、ペナルティも含め、数百万円の納税になってしまったのだ。。
ぜひ皆さんにはくれぐれもそんなことが無いようにしていただきたい。
特に注意しなければならないポイントを以下にまとめた。
参考にしてほしい。
(1)自宅の事業割合
店舗がある人はともかく、自宅がオフィスと兼用になっている場合、床面積基準で事業割合を算定するのが原則。
「ウチはよく使うから」と多く計上しようとしても、まず通らない。
自宅で打合せをするからと、(例えば)5割計上しようとしても、「では、週何回、来客があるのですか? 来客はまるまる1日ですか?」と突っ込んでくるだろう。
本当に打合せしているのならまだしも、生活感丸出しだと、調査官が家に来れば一目瞭然。たちまちバレてしまう。
そうすると、家賃、水道光熱費、損害保険料、固定資産税、減価償却費などが否認され、影響は大きい。
(2)車の事業割合
そもそも、法人でない個人が、車を経費計上するのは難しい。
もちろん、利用している部分は落とせるのだが、逆に言えば、利用している部分しか落とせない。
事業利用が前提の法人所有の車とは、ワケが違う。
事業利用が前提でない場合に、事業利用を立証するのは、それなりの努力が求められるということだ。
特に、副業しているサラリーマンが通勤で車を利用している場合は、車経費はおおむね走行距離に比例すると考えられるから、経費計上は少額になるはずだ。
それを、一律に(例えば)80%計上するのは無理があろう。
したがって、実態に応じて、毎年、事業割合を検討する必要がある。
(3)事業関連性
事業である以上、売上をあげるために経費を使うのが当然だが、そこには何らかの必然性があるはず。
プライベートとの境目があいまいなグレーゾーンは、あいまいが故に、目をつけられやすい。
特に、帳簿の摘要で「消耗品」とか「備品代」は、ウソをつきたくない人間の心理が表れており、言わば「逃げている」状態。
本当に事業に利用しているなら、もっと具体的な商品名を記入するからだ。
プロの税務署員なら、見逃すはずはない。それだけを集中的にチェックするベテラン調査官もいるほどだ。
(4)帳簿の摘要
(3)は摘要に入力あっての話。
何も入力されていなければ、もちろん、それ以前の問題だ。
「帳簿」は日付・取引先名・内容・金額が要件とされており、欠けていると、「帳簿」とは言えない。
調査官がやってきても、そんな帳簿で効率的な税務調査などできるはずもなく、すべて否認されるか、整理し直しを求められることになる。
結局、1日で終わるはずが、数日~数週間かかることも多い。
また、統計データを利用して、税務調査先がピックアップされるようになった。
したがって、各業種の利益率からかけ離れていると、調査されやすい。
「赤字だから調査されない」のは、過去の話ということだ。
かつては、税理士のサインがあれば、よほど目を付けられていないと、税務調査などなかった。
しかし今では、おかしなところがあれば、調査される。
調査されると、時間・労力を使うだけでなく、精神的にも良くない。
気を付けたいところだ。
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