M1村田宏彰公認会計士事務所
TEL 03 - 5367 - 6101
info@cpa-murata.com
今年の年末調整におけるトピックは主に3点あります。
(1)税制改正
共働きを支援しようと、2017年税制改正で、年収103万円の壁が150万円に広げる一方、税収確保のため、世帯主本人の所得制限がなされたのは、既にお知らせのとおり。
・M One News No.17-01「税制改正:配偶者控除等の見直し①」
・M One News No.17-02「税制改正:配偶者控除等の見直し②」
それにより、毎月の給与源泉税の計算方法も変わっています。
・M One News No.17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更」
つまり、世帯主の配偶者控除・配偶者特別控除は、世帯主本人の所得と配偶者の所得の組み合わせで決まるのです。
その数、なんと31通り!
したがって、本人の所得はもちろん、配偶者の所得をできるだけ正確に把握することが重要になってきます。
(2)年末調整配布資料
(1)のため、年末調整資料も変更になりました。
2種類から3種類に増えたのです。
単に増えただけではありません。もっともハードルが高いのは配偶者控除等申告書。
配偶者の所得を5万円単位で把握しなければなりません(M One News No.17-06「税制改正:給与源泉税の計算方法変更」P.2の表参照)。
どうりで31通りもあるはずです。
(3)年末調整時期
(2)の配偶者の所得は、1年経過していない当初は見積もりによらざるを得ません。そのため、毎月の給与源泉税の計算上、見積りで行っています。
そしてどうやら年末調整も、見積りで行わなければならないことになりそうです。
なぜなら、12月はもちろん1月に行う年末調整では配偶者の正確な所得金額が必要となるからです。
パートに出ている配偶者の所得は通常、勤務先の源泉徴収票で把握しますが、その源泉徴収票の発行時期は翌1月末までとされています。
ところが、年末調整後に税務署に提出する法定調書提出期限も、翌1月末。
全く同時期なのです。
また、年末調整計算開始までに源泉徴収票が、すべての配偶者の手元に届くとはとても思えません。
面倒だからと自分で確定申告してもらおうとしても、年末調整義務が会社にはあります。
あちら立てればこちらが立たぬ。明らかに制度設計ミスです。
今後は、実務的配慮として何かしらのアナウンスが国税庁から出てくると思いますが、それを待たずに、会社の方針を決めておいたほうがいいでしょう。
例えば、
・法定調書提出期限1月末を守るのなら、年末調整に使用する配偶者所得は見積額にならざるを得ないが、年末調整資料提出期限をいつにするのか?
・その場合、期限後提出の年末調整資料は処理せず、自分で確定申告を行ってもらうのか?
・法定調書提出期限1月末を守らないのなら、年末調整資料提出期限をいつにするか?
・その場合、源泉徴収票発行遅れはどの程度許されそうか?
・・・など。
方針をいずれに決定するにせよ、早めの準備を始めるに越したことはなさそうです。
→ 目次へ戻る