消費税改正をビジネスチャンスととらえる事業者が消費者にアピールする方法は、概ね3つに集約されるようです(M One News 19-13)。
多くはポイント還元の手法を取っています。特にQR決済業者はポイント還元一色です。
なじみ深い商店街スタンプから始まり、航空会社マイレージで普及し、現在は、Tポイント・楽天スーパーポイント・Pontaポイントなど、花盛り。
さらに、マイナンバーカード取得者へのポイントも、ポイント還元制度終了後の2020/07に始まります(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/dai5/siryou4.pdf)。
その還元率はなんと25%!
日本人のポイント好きに国も乗っかった格好ですが、実際、ポイント市場は年々拡大し、2018年には1兆8884億円まで達するそうです(矢野経済研究所)。
次々に発表される販促キャンペーンがこれだけ盛んだと、消費税率アップによる景気低迷の恐れは杞憂にすら思えてきます。
ただ、ポイント制度が多すぎて、目移りしてしまって迷ってしまう人が大半ではないでしょうか。
ポイントは次回の買い物に使うべきというのが前回の結論ですが(M One News 19-16)、ついでに貯まってしまうポイントも少なくありません。
こうしたポイントをうまく使いこなすには、ポイントの特性をきちんと理解する必要があります。
(1)還元率がまちまち
企業独自で行うため、企業ごとに還元率が異なるのはもちろん、同じポイントでも、このときはこう、あのときはこう、と還元率がさまざまです。
(2)ころころ変わる
ポイントは企業にとっては販促ツール。キャンペーンが出てくると、つい目移りしてしまうもの。
目移りするようなキャンペーンを出してくると最初から思っておいた方がいいです。
というより、消費者が目移りしないようなら、キャンペーンは失敗です。
(3)利用期限あり
ポイントが利用者にとっておトクでも、企業にとっては将来の負債。設けられている利用期限が、さらに一方的に短縮されてしまうことも(規約に最初から織り込まれているため、合法です)。
上記のようなポイントの性質を踏まえると、取るべき行動は自ずと決まってきます。
(1)分散せず、まとめる
あれもこれもと貯まる場所が分散するよりも、できるだけまとめたほうが使えるのは、言うまでもありません。
(2)王道で貯める
一時的なキャンペーンに惑わされないようにしてください。長期戦で臨むものです。
(3)貯め方ではなく、使い方に焦点を置く
いくら貯めても、使うときに不利になるようであれば、貯める意味が薄れます。
仮に\100で1pt(ポイント)貯められても、使い方によっては、0.5ptにも十数ptにもなるためです。
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ポイントのメリットは、企業側は囲い込み効果が見込めること、消費者にとっては“おトク感”でしょう。
ところがその“おトク感”は、意外に“おトク”ではありません。
割引率をいずれも同じ10%としましょう。
値引きの場合、支払額は9万円で済みます。一方、ポイント還元では、ポイントを次回の買い物に充当するため、支払額は10万円となります。
最初の買い物10万円で貯まったポイント1万円を、次回の買い物1万円に充当するからです。
このように、割引率は低くなります。
さらに、値引きの1万円はどの店でも使えますが、ポイントは同じチェーン店でしか使えませんから、値引きの方がトクであるのは、言うまでもありません。
現金であれば、銀行に預ければ金利が付くのに対し、ポイントには金利が付きません。
この点でも、ポイントはトクではないことがわかるでしょう。
使い道がいきなり制限されたり、有効期限が変更されたりするから、なおさらです。そうでなくても、有効期限を過ぎてしまえば元も子もありませんよね。
このようにトクではないのに、なぜ「ポイント」をトクと思ってしまうのでしょうか?
それは、次の3つの理由によります。
(1)ヒューリスティック
上記の割引率の場合、消費者の心に残るのは「10%」という数字だけ。
よく考えれば値引きの方がトクなのに、直観的に判断し、同じだと思ってしまうのです。
(2)保有効果
自分の持っているものは価値が高いと評価し、手放したくない心の動きのこと。
最初はつい使ってしまってなかなか貯まらないが、いったん貯まり始めると今度は使わなくなる「貯金」と同じ。
残高を見るたびに増えていることが実感でき、いつのまにか増やす楽しみに変わっているというわけです。
(3)メンタル・アカウンティング
ポイントが、財布とは別の勘定に入ってしまう心理。「心の会計」とも呼ばれ、「ケーキは別腹」と同じ原理と言えるでしょう。
いざ使うときになると、まるで天から降ってきたプレゼントのように感じてしまう。旅行会社の積み立てや、百貨店の「友の会」と似ています。
そもそもポイントやマイレージは、お店が消費者にたくさん買物をさせようというマーケティング手法です。
消費者も、トクするためにポイントを貯めるのに、往々にしてポイントを貯めること自体が目的化してしまいがちです。
このように、いくつもの心理的な罠が日常の買い物に潜んでいることを、買物をするときは、ぜひ忘れないようにしたいものです。
結論。
「ポイント」よりも次回に使える「キャッシュバック」の方が、「キャッシュバック」よりも今の買い物に使える「値引き」の方が、ベター。
もしポイントが貯まるときは、できるだけ次回の買い物に使いましょう。
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法人の次は、個人です。
ただ前回触れたとおり(M One News 19-14)、法人・個人の区分よりも、消費税課税事業者・免税事業者の区分で考えるべきです。
つまり今回の内容は、免税事業者と個人が、駆け込み購入すべきものについて。
復習になりますが、商品の引き渡しやサービス提供が行われたときの税率が適用されます。駆け込み購入に関係ある経過措置は、旅客運賃等(M One News 19-04)。
具体的には、以下のとおり。
(1)電車の切符、定期券、回数券
旅行の切符も先にネット決済した方が安く済みます。定期も大きいですね。JRは2週間前から定期券更新が可能なので、定期終了日が間近であれば、忘れないようにしたいものです。
私の定期券終了日は2019/10/18でした。トホホ、、
(2)遊園地のチケット(年間パスポートも含む)
例えば、ディズニーランドの当日チケットは引換券を2019/09/30までにネット購入し、有効期間2ヶ月以内に引き換えればOK。
(3)必需品(飲食料品を除く)、酒類
軽減税率にならないものはこちら(M One News 19-07)。
(4)値崩れしない家電等の購入前倒し
例えば、iPadはApple storeでの発注と同時に決済が終了するためか、納品が2019/10/01以降になっても、2%分追加支払いはないようです。トクした感じです(たぶん)。
Amazonもそうでしょう。楽天のHPには「追加支払あるかもしれない」と注意書きがありました。
いやはや、どさくさ紛れも結構ありそうです。
まあ、あまり気合い入れて買い物しすぎないようにね・・・。
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