ポイントのメリットは、企業側は囲い込み効果が見込めること、消費者にとっては“おトク感”でしょう。
ところがその“おトク感”は、意外に“おトク”ではありません。
割引率をいずれも同じ10%としましょう。
値引きの場合、支払額は9万円で済みます。一方、ポイント還元では、ポイントを次回の買い物に充当するため、支払額は10万円となります。
最初の買い物10万円で貯まったポイント1万円を、次回の買い物1万円に充当するからです。
このように、割引率は低くなります。
さらに、値引きの1万円はどの店でも使えますが、ポイントは同じチェーン店でしか使えませんから、値引きの方がトクであるのは、言うまでもありません。
このようにトクではないのに、なぜ「ポイント」をトクと思ってしまうのでしょうか?
それは、次の3つの理由によります。
(1)ヒューリスティック
上記の割引率の場合、消費者の心に残るのは「10%」という数字だけ。
よく考えれば値引きの方がトクなのに、直観的に判断し、同じだと思ってしまうのです。
(2)保有効果
自分の持っているものは価値が高いと評価し、手放したくない心の動きのこと。
最初はつい使ってしまってなかなか貯まらないが、いったん貯まり始めると今度は使わなくなる「貯金」と同じ。
残高を見るたびに増えていることが実感でき、いつのまにか増やす楽しみに変わっているというわけです。
(3)メンタル・アカウンティング
ポイントが、財布とは別の勘定に入ってしまう心理。
「心の会計」とも呼ばれ、「ケーキは別腹」と同じ原理と言えるでしょう。
いざ使うときになると、まるで天から降ってきたプレゼントのように感じてしまう。
旅行会社の積み立てや、百貨店の「友の会」と似ています。
そもそもポイントやマイレージは、お店が消費者にたくさん買物をさせようというマーケティング手法です。
消費者も、トクするためにポイントを貯めるのに、往々にしてポイントを貯めること自体が目的化してしまいがちです。
このように、いくつもの心理的な罠が日常の買い物に潜んでいることを、買物をするときは、ぜひ忘れないようにしたいものです。
結論。
「ポイント」よりも次回に使える「キャッシュバック」の方が、「キャッシュバック」よりも今の買い物に使える「値引き」の方が、ベター。
もしポイントが貯まるときは、できるだけ次回の買い物に使いましょう。
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